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【日経新春杯】本命候補は黄金ローテ“逃げバテ後”のケイアイサンデラ 対抗は能力値1位バトルボーン

2025 1/18 17:30山崎エリカ
2025年日経新春杯のPP指数,ⒸSPAIA

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中京芝2200mは差し馬有利

中京芝2200mは4角ポケット地点からスタートして急坂を上り、向上面まで坂を上っていくコース。そのため前半のペースは上がりにくいが、向上面半ばからの下りと3、4角がスパイラルカーブになっていることから、後半の仕掛けが速くなりやすい。

2021年は向上面からペースが上がり、最後方待機だったミスマンマミーア(13番人気)が2着に入った。本コースはスタートから最初のコーナーまで500m以上あり、逃げ馬が前半から飛ばせばハイペースにもなるが、坂の上りで加速するのは消耗度が高く、また大きなリードを奪えない弱点がある。

また現在の中京芝はややタフな馬場。掛かり癖のあるメイショウタバルやケイアイサンデラの出方にもよるが、ここも差し馬有利になる可能性が高い。

能力値1~5位の紹介

2025年日経新春杯のPP指数一覧,ⒸSPAIA


【能力値1位 バトルボーン】
前走で東京芝2400mのメトロポリタンSを逃げ切り勝ちした馬。レースは6番枠からまずまずのスタートを切り、二の脚良くハナへ。道中は3番手以下を離して進め、3角手前では2番手のショウナンバシットも離して3角へ。

3~4角でも2馬身半ほどのリードを維持していたが、4角出口で後続が上がってくると、仕掛けて1馬身半差で直線へ。直線序盤で追われてそのリードを維持し、ラスト2Fでやや後続を離して2馬身差。ラスト1Fでも後続を寄せ付けず、2馬身差で完勝した。

前走は超絶高速馬場で前後半5F60秒5-58秒1のスローペース。距離を延ばしたことで楽に主導権を握り、上手くレースを支配したのは確かだが、逃げて上がり3F最速の2着馬レッドラディエンスと上がり0.1秒差は立派だった。

またレッドラディエンスは次走で七夕賞を優勝、3着シュヴァリエローズもその後に京都大賞典とステイヤーズSを連勝したように、リステッドとしてはレベルが高かった。

本馬は前半3番手で進めた2走前の白富士Sでも2着と善戦。ハナにこだわるタイプではないが、ここではロードデルレイにキレ負けしており、前に行って持久力を生かすのがベストなタイプだ。

中京芝がややタフであることや、メイショウタバルやケイアイサンデラといった逃げ馬がある程度ペースを引き上げてくれるのは、前半でやや楽ができる点でも好都合。今回はスタミナが不足しやすい長期休養明けという不安はあるが、実力は確か。対抗に推したい。

【能力値2位 ロードデルレイ】
昨年1月の白富士S(東京芝2000m)でバトルボーンを2着に負かした馬。そのレースは1番枠から好スタートを決めたが、無理せず中団最内を追走。2角で外から被され進路が狭くなり、やや掛かったがなだめて中団やや後方を進んだ。道中は前にスペースを作り、後方3列目の最内で3角へ。

3~4角で前がじわっとペースを引き上げると、中団最内のスペースを潰しながら最短距離を通り、4角で中目に誘導して直線へ。

直線序盤で好位列が壁となって仕掛けを待たされたが、ラスト2Fで狭い間を割りながらスパっと切れて一気に先頭のバトルボーンに並びかけた。最後はラスト1Fで粘る同馬を交わして半馬身差で勝利した。

白富士Sは超絶高速馬場で前後半5F59秒4-57秒8のスローペース。ラスト3F11秒3-11秒4-11秒4と上がりの速い決着。それをラスト2Fで狭い間を割って伸びてきたのは瞬発力があればこそだ。

近2走のアンドロメダSと中日新聞杯は逃げ馬デシエルトに完敗の2着。2走前は同馬が3角下り坂から仕掛けてラスト2Fで5馬身あった差を2馬身までしか詰めることができず完敗だった。しかし休養明けでいつもより折り合いを欠いた影響もあったとみている。

前走はデシエルトが少し掛かってややハイペースで逃げ、イン差し有利の展開。1、3、4着馬は3~4角で最短距離を通っていたのに対し、本馬は3~4角で3頭分外を回るロスがありながらも接戦を制しての2着。本馬の一列前で3~4角ロスを作ったコスモキュランダ(昨年の皐月賞2着馬)には0.3秒先着していることを考えると悪くない。

本馬が自己最高指数を記録したのは、超高速馬場でキレを生かした白富士S。これを考えると今の中京の芝は重いが、前がペースを引き上げれば折り合いがつきやすいぶん侮れない。

【能力値3位タイ ショウナンラプンタ】
前走の菊花賞で4着に健闘した馬。その前走は11番枠から五分のスタートを切り、ほぼ馬なりで中団やや後方から中目を追走。スタンド前ではペースが上がらずやや折り合いに苦労していたが、中団中目で我慢していた。

向正面で外からアドマイヤテラが動き流れが速くなったが、ここで中団馬群の中目のスペースをじわっと詰めて3角へ。3~4角では包まれる馬が多かったが、4角で上手く内のスペースを拾って2列目の内から直線へ。

直線序盤で外に出て追われると3番手に上がり、ラスト1Fで前のアドマイヤテラに迫ったが届かず、最後にヘデントールに差されて4着となった。

前走の好走要因は、3~4角で中団最内を走っていたダノンデサイルのように進路がなくなるところで中団中目を通り、4角で内の馬が失速したことで生まれたスペースを拾って2列目に進出したことだ。

日経新春杯は昨年、前走で菊花賞に出走していたサヴォーナとサトノグランツが2、3着に好走しているように、菊花賞組が有利の舞台。時期的に馬場がタフでスタミナが求められるレースになることが多く、また4歳馬は成長力もある。

この傾向は2023年の本レースで前走菊花賞7着だったプラダリアが3着に好走しているように、中京芝2200mが舞台でも変わらない。

本馬は2走前の神戸新聞杯でも後方から3~4角で中団内目のスペースを拾って押し上げ、4角では狭い最内を捌いて3列目まで上がり3着に善戦。中京芝2200mでの実績もある。

ただ、前走で自己最高指数を記録した後の一戦となると、アーバンシックの有馬記念のようになる危険性もある。

【能力値3位タイ ホールネス】
これまで7戦して【4-1-2-0】と複勝率100%。牝馬ながら馬体重530Kgの大型馬でやや大味な競馬をするところがあるが、デビューから上昇一途。2走前は新潟芝2000mの新潟牝馬Sを勝利した。

その2走前は7番枠から五分のスタート後にややふらつく場面があったが、すぐに立て直して中団を追走。道中は前がペースを引き上げ縦長の展開をポツンと中団6番手で進めた。

3~4角で前が失速し、そこで前のエリダヌスが動くと、それを追いかけて進出。直線序盤で同馬の外に出て追われるとじわじわ伸びて2列目に上がり、ラスト1Fで同馬を差し切って1馬身差で完勝した。

2走前はタフな馬場で前後半5F58秒9-62秒2のかなりのハイペース。差し馬有利の展開に恵まれたのは確かだが、オープンやリステッドとしては水準レベルの指数で勝利した。

前走のエリザベス女王杯は、休養明け好走後の疲れ残りの一戦。1番枠から好スタートを決めて好位の内を追走と勝ちにいく競馬をしたこともあり、ラスト1Fで伸びを欠いての3着。今回は2走前同様にタフな馬場で7番枠なら、前半から無理をさせず、展開に恵まれる可能性が高い。

ただ今回は相手強化の一戦。エリザベス女王杯の出走権を取りにいった2走前ほど仕上がっていない印象はあるが、鉄砲掛けするタイプでもあるだけに侮れない。

【能力値5位タイ キングズパレス】
5走前の新潟大賞典でハナ差の2着。同レースは13番枠から五分のスタートを切ったが、二の脚が遅く、下がって後方を追走。道中はペースが上がらずゆったりと流れ、そこで中団の外まで進出し、3~4角で外から押し上げていった。

直線序盤では追われても伸びが地味だったが、ラスト2Fで徐々に伸び始めて2列目に上がり、ラスト1Fでは逃げ切りを図るヤマニンサルバムを強襲したが、ハナ差及ばなかった。

同レースは次走で鳴尾記念を勝つヨーホーレイクが好位の最内を立ち回って3着に敗れたように、馬場の内側が悪化しており、外の方が伸びる馬場だった。そのため3~4角のロスは致命的なものではなかったが、外から早めに動き勝ちにいったことは好評価できる。

その後は七夕賞2着、新潟記念3着とし存在感をアピール。本馬はゲート、二の脚ともに安定しているが、先行できるほど速くない。末脚も安定しているが高速馬場で一線級相手にメンバー最速で上がってくるほど速くもない。

つまり、2走前の天皇賞(秋)のようにかなりのスローペースで極端に上がりの速い決着は苦手。ただタフな馬場で上がりの掛かる展開なら本馬の総合力の高さが生きるはず。スピードよりも持久力を生かしたいタイプだけに、距離も2000mより2200mの方がいいだろう。

前走は当初騎乗予定だった松岡正海騎手が負傷し、急遽、M.デムーロ騎手へ乗り替わった。レースでは2走前の天皇賞(秋)で酷く掛かったことを懸念したようで、中団最内から後方に下げて折り合い重視の競馬。揉まれない位置で進めたことで折り合いはついたが、展開を考えると絶望的に後ろ過ぎた。

しかし、この敗戦でM.デムーロ騎手は何かを掴んだようで、今回は自ら立候補しての騎乗。今回は条件もベストオブベストなだけに、重い印を打ちたい。

【能力値5位タイ サトノグランツ】
京都芝2400mで行われた昨年の日経新春杯の3着馬。同レースは大外14番枠からまずまずのスタートを切り、促して好位の外まで進出。道中は前4頭からやや離れた5番手を追走した。

3~4角で仕掛けて好位の外から2列目まで上がり、4角で内に切れ込んで先頭。直線序盤はしぶとく踏ん張っていたが、ラスト1Fで甘くなり、そこを内からサヴォーナ、外からブローザホーンに差された。

昨年の日経新春杯はタフな馬場で前後半5F58秒3-60秒9のかなりのハイペース。さすがに前半である程度の位置につけて3~4角からの仕掛けは早すぎた。一方、ブローザホーンは中団外から3~4角でワンテンポ待って仕掛けており、展開に恵まれての優勝だった。

2走前の目黒記念は前後半5F61秒8-58秒6のかなりのスローペースで先行馬有利の展開。それを好位の内目でレースを進めながらもラスト1Fで甘くなり4着だった。

前走の京都大賞典は前後半5F58秒7-59秒7のややハイペースを1番枠を生かして、上手く3~4角の最内を立ち回り、最後の直線で中目に誘導した。しかしここでもラスト1Fで甘くなり、最後は外差し勢に屈して5着だった。

近2走はやや物足りない内容だが、目黒記念、京都大賞典ともに超高速馬場でキレ負けした面もある。今回はそこから立て直されて休養明けの一戦。タフな中京芝でハイペース濃厚な組み合わせとなると侮れない。

【能力値5位タイ ヴェルトライゼンデ】
2歳時のホープフルS2着。3歳時にはダービー3着、神戸新聞杯2着と三冠馬コントレイルには歯が立たなかったが、世代を代表する一頭だった。

その後は故障に悩まされたが、2022年の鳴尾記念では約1年半の休養明けながら優勝。同年のジャパンCでも3着に好走した。

前記のジャパンCは3番枠からまずまずのスタートを切り、コントロールされながら好位の内目を追走。道中は超絶スローで流れる中、内からひとつ外の2列目と絶好位だったが、3~4角で包まれ、直線で進路作れず仕掛けを待たされた。

ラスト2Fで狭い内から抜け出し、外のダノンベルーガに並びかけ、ラスト1Fで先頭に立ったが、外からシャフリヤール、さらに中目を捌いて上がってきたヴェラアズールに交わされ3/4差+クビ差の3着だった。

このレースは前半、中盤とペースが上がらず、上がりの速い展開。仕掛けを待たされたのは痛かったが、3~4角の内目を立ち回った馬が有利な展開をほぼロスなく立ち回っていた。

この年のジャパンCは例年と比べるとレベルが高いとは言い難かったが、それでも当時の走りができれば今回も勝ち負けになるはず。実際、2023年の日経新春杯(中京芝2200m)でも、好位の最内を上手く立ち回って優勝している。

その後の近2走はひと息。1年2ヵ月の休養明けとなった前走エプソムCでも9着に負けている。一見ピークアウトしたような成績だが、前走は外差し有利の馬場を4番枠からやや出遅れ外に誘導できず、中団最内を追走と馬場の悪化した内側を通ったことも敗因のひとつ。まだ見限れない。

黄金ローテのケイアイサンデラ

ケイアイサンデラは2023年秋の京都芝2400mの1勝クラスでは逃げて1クラス上の指数で勝利。その後は昨年1月の京都芝2400mの琵琶湖特別(2勝クラス)ではゴールデンスナップと接戦の2着に好走した。

その琵琶湖特別では2番枠から好スタートを決め押して先頭へ。主導権を握ると後続を2馬身、3馬身と引き離していく大逃げを打った。4角でも2番手のリミットバスターに6、7馬身差はあったが、直線序盤でゴールデンスナップが2番手に上がり3馬身差まで迫まると、そこからラスト1Fで同馬に捉えられ、アタマ差で敗れた。しかし3着馬には3馬身半差つけており、今回のハンデ重賞なら通用する指数を記録した。

当時はタフな馬場で前後半5F58秒2-63秒3の超絶ハイペース。先々週の万葉Sを勝利したスタミナ特化型のゴールデンスナップには食らいつかれてしまったが、まさに肉を切らせて骨を断つ逃げだった。

本馬は超高速馬場でかなりのスローでレースを支配した目黒記念では後続馬の決め手に屈し、9着に敗退している一方、消耗戦に持ち込んだ琵琶湖特別では自己最高指数を記録した。

前走の京都大賞典は休養明けのムーンライトHで1着と好走した後の一戦で1Fの距離延長。2番枠から押してハナを主張したところで、外からバビットに競られてオーバーペースの大逃げとなった。

3~4角の外からディープボンドにプレッシャーをかけられて抵抗したこともあり、直線で早々と失速して10着大敗。最後は無理をしなかったブローザホーンには先着したが、実質の最下位だった。

しかし、昨年の皐月賞でオーバーペースの大逃げを打って最下位に敗れたメイショウタバルが次走の神戸新聞杯(中京芝2200m)で逃げ切り勝ちを決めたように、逃げ馬はオーバーペースの逃げバテからよく巻き返すもの。

神戸新聞杯はややタフな馬場だったがメイショウタバルは1~2角でやや掛かって後続を引き離しての大逃げを打ち、それを難なく逃げ切った。

逃げ馬は今回のペース云々よりも、オーバーペースで逃げバテ後の好走確率が高い。息が上手く入れられない競馬をすることでスタミナが強化されるからだ。今回は同型馬のメイショウハダルの出方にもよるが、本馬は上がりの掛かる展開なら2列目に控えても戦えるタイプ。ここは差し馬有利の展開ながらも、逃げ、先行から押し切るパターンに期待したい。

今回、琵琶湖特別時からワンランク成長していることが条件になるが、とてつもなく人気がないのでノーマークになりやすいのも好材料。ここは本命候補に推す。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)バトルボーンの前走指数「-23」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.0秒速い
●能力値 =(前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

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