ついに冬へ移ったプロキオン
夏場のGⅢからフェブラリーS前哨戦のGⅡへ。東海Sと入れ替わる形で冬へやってきた。プロキオンはシリウス、ベテルギウスとともに冬の大三角を司る恒星であり、ある意味、ふさわしい季節にやってきた。ちなみにプロキオンSが冬に施行されるのははじめてだ。
GⅡに昇格し、注目度の高いレースとなった。東海Sは近年、フェブラリーSとつながりが薄かったが、昨年はペプチドナイルが東海S6着から優勝。5年ぶりに好走馬を出した。これも東海SとプロキオンSが入れ替えられる前触れだったのか。データは昨年までの東海Sの過去10回分を使用する。
1番人気【4-3-2-1】勝率40.0%、複勝率90.0%と堅い。さすがにダート中距離の実績馬は易々とは崩れない。さらに2番人気も【4-2-0-4】勝率40.0%、複勝率60.0%と強力で、1着馬は比較的絞れる。
その分、複勝圏はバラつきがあり、10番人気以下【0-2-2-55】複勝率6.8%と大穴が割り込む余地もある。10番人気以下はすべて中京で馬券に絡んでおり、今年も安易に絞ると痛い目にあうかもしれない。
年齢では5歳【5-3-2-25】勝率14.3%、複勝率28.6%が目を引く。6歳【3-2-6-36】勝率6.4%、複勝率23.4%、7歳以上【1-3-1-45】勝率2.0%、複勝率10.0%とベテランが元気いっぱい。ダートは経験がモノをいうということか。
4歳は【1-2-1-13】勝率5.9%、複勝率23.5%で、好走馬は1、4、2、1番人気。4歳は上位人気なら買いだ。
伏兵はサンデーファンデー
今年の4歳勢といえば、チャンピオンズC6着サンライズジパング。武豊騎手が騎乗停止で乗り替わりになってしまったが、ジャパンダートクラシック3着、みやこS勝ちと実績は申し分なし。人気になるなら素直に買いだろう。
前走GⅢ【2-3-1-15】勝率9.5%、複勝率28.6%、GⅠ【2-3-4-15】勝率8.3%、複勝率37.5%と重賞中心も、3勝クラス【2-0-0-8】勝率、複勝率20.0%、OP/L【3-3-4-68】勝率3.8%、複勝率12.8%にも目を配らないといけない。だが、今年は有力馬たちが前走重賞ばかりなので、ここでは重賞組を中心に傾向をみる。
年齢でトップに立つ5歳勢の前走クラスは、重賞【1-2-2-4】勝率11.1%、複勝率55.6%で安定感がある。
チャンピオンズCは【0-0-2-2】複勝率50.0%と悪くなく、3着ドゥラエレーデも評価は落とせない。その前哨戦である武蔵野S【1-0-0-0】、みやこS【0-2-0-2】も成績がよく、暮れのGⅠ飛ばしも有効だ。武蔵野S2着カズペトシーン、みやこS10着オメガギネスがさらにいい。
カズペトシーンは中京ダート1800m【2-0-0-0】。2、3勝クラス連勝の舞台であり、コース替わりも大歓迎だ。オメガギネスもシリウスS2着と距離こそ違うが、実績十分。ただ、前走10着はひっかかる。凡走後で上位人気だと嫌いたくなるところ。しかし、前走重賞10着以下の5歳は【1-0-1-2】勝率25.0%、複勝率50.0%と実際はまずまず。大敗を根拠に切るのは危険だ。
最後に全世代の前走重賞内訳を。チャンピオンズCは【2-3-4-13】勝率9.1%、複勝率40.9%と悪くないが、分母も多く、きっちり仕分けしたい。チャンピオンズC9着以内は【2-2-2-8】。ドゥラエレーデ、サンライズジパングは順当に評価しないといけない。
傾向から人気どころはそう崩れそうにないが、人気薄も絡むレース。暮れのベテルギウスSを勝ったサンデーファンデーは好位から展開利をいかしての好走がある。なにせベテルギウスとプロキオンは冬の大三角つながり。昨年のシリウスS、ベテルギウスSと出走し、プロキオンSに挑戦するのはサンデーファンデーだけだ。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『アイドルホース列伝 超 1949-2024』(星海社新書)に寄稿。
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