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【AJCC】「前走重賞5着内の6歳」は複勝率50%超 “最強世代”ボルドグフーシュ、マテンロウレオらは申し分なし

2025 1/19 17:30勝木淳
過去10年のデータから見るAJCC,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

ダービー馬参戦

ダービー馬ダノンデサイルの参戦によって、一気に注目を集める一戦となったアメリカジョッキークラブカップ(以下、AJCC)。ダービー馬でAJCC制覇といえば、グレード制導入後の1984年以降だとスペシャルウィークを思い出す。

三冠レースは皐月賞3着、ダービー1着、菊花賞2着で、武豊騎手をダービージョッキーにした。同年ジャパンCではエルコンドルパサーと激突し、3着。2着エアグルーヴには半馬身差まで迫った。その翌年初戦がAJCC。オリビエ・ペリエ騎手が乗り、2着サイレントハンターに3馬身差をつけ、圧勝。格の違いを見せつけると、3連勝で天皇賞(春)を制した。

伝統のGⅡにダービー馬。有力馬がGⅠ中心のローテーションにおいて、間隔をつめてGⅡに出走するのは珍しくなった。陣営はあえて間隔を詰めると言うが、先約のある横山典弘騎手から戸崎圭太騎手へ乗り替わりとなる。これが刺激になるか注目しよう。

前走有馬記念の勝ち馬は2019年シャケトラが最後。1984年以降、前走有馬記念3着馬は【2-1-0-3】。1987年ミホシンザン、1990年サクラホクトオーが勝ち、2009年エアシェイディが2着。一方、2015年ゴールドシップが1番人気7着に敗れた。た前走3番人気以内で絞ると【2-0-0-1】と良好。伏兵激走後だと危ないが、2番人気だったダノンデサイルは期待できそうだ。

以降は過去10年間のデータを使用して直近の傾向をつかんでいく。

人気別成績,ⒸSPAIA


人気別では1番人気【2-3-0-5】勝率20.0%、複勝率50.0%。以下、4番人気まで各2勝と上位拮抗が近年の傾向だ。GⅠ級の参戦が少なく、実力接近の激戦、ちょっと難解な構図になりがちなレースでもある。さらに、7番人気【2-1-1-6】勝率20.0%、複勝率40.0%など穴馬だって侮れない。ダノンデサイル参戦で、この傾向は崩れるのか。

年齢別成績,ⒸSPAIA


年齢では4歳【2-4-2-15】勝率8.7%、複勝率34.8%に対し、5歳【3-1-3-23】勝率10.0%、複勝率23.3%、6歳【4-1-3-27】勝率11.4%、複勝率22.9%と経験で勝る古馬勢が互角以上の結果。7歳以上【1-4-2-46】勝率1.9%、複勝率13.2%とベテランも馬券圏内には欠かせない。近年では若さより経験を上にとるレースだ。

注目は“最強世代”6歳勢

4歳では他に中山が得意なコスモキュランダや菊花賞5着のビザンチンドリームも参戦。5歳世代には重賞3勝馬レーベンスティールもいて、精鋭が集まる。最強世代候補の6歳勢からは菊花賞、有馬記念2着ボルドグフーシュ、横山典弘騎手を早々に確保していたマテンロウレオもいる。7歳以上もポタジェ、ディープモンスター、アラタ、アウスヴァールと多彩だ。

前走クラス別成績,ⒸSPAIA


前走クラス別で見ていく。昔ほどレベルが高くない組み合わせになりやすいとはいえ、前走GⅠ組は【4-3-2-28】勝率10.8%、複勝率24.3%と高く、GⅡも【3-0-2-23】勝率10.7%、複勝率17.9%で、前走の格は大事にしたい。なお、前走GⅠの4歳は【1-3-0-10】勝率7.1%、複勝率28.6%とイマイチ。前走2着以内なら【1-1-0-1】となるが、近年だと3着では微妙なラインでもある。

そのほか、前走重賞で好データが出ているのは中日新聞杯で【1-1-3-3】勝率12.5%、複勝率62.5%。着順は問わないので、3着マテンロウレオ、6着コスモキュランダ、9着エヒトも好走候補だ。

前走重賞・着順別成績,ⒸSPAIA


ざっくりと前走重賞の着順別で見ると、1着が【0-2-0-1】複勝率66.7%と勝っていないものの、全体的には好走馬が上位。2着【2-2-2-9】勝率13.3%、複勝率40.0%、3着【2-1-1-6】勝率20.0%、複勝率40.0%と頼りになる。

だが、このあたりは決まって人気に推されるので、上位人気でオッズが低いわりには、物足りないともとれる。なんとも微妙なラインだ。ダノンデサイルのほかにも、福島記念を勝ったアラタ、チャンレジC2着ディープモンスター、同じ中山でも繋がりが微妙だが、中山金杯3着ボーンディスウェイは妙味もあるか。

また6~9着【1-2-0-21】勝率4.2%、複勝率12.5%、10着以下【1-2-3-26】勝率3.1%、複勝率18.8%と敗退からの巻き返しも近年のトレンド。2022年11番人気で2着激走のマイネルファンロン、2023年1、3着ノースブリッジ、ユーバーレーベンらがこのパターンだ。札幌記念8着から連覇を目指すチャックネイト、天皇賞(秋)8着レーベンスティールの巻き返しも期待できる。

前走重賞5着以内・年齢別成績,ⒸSPAIA


最後に前走重賞5着以内の馬に着目し、年齢別データを出す。4歳【1-2-1-5】勝率11.1%、複勝率44.4%、5歳【1-0-1-8】勝率10.0%、複勝率20.0%もいいが、6歳【3-1-3-6】勝率23.1%、複勝率53.8%は見逃せない。重賞5着以内の6歳はマテンロウレオ、ボルドグフーシュ、ボーンディスウェイ。実績は申し分なしだ。

逆に6着以下からの巻き返しは4歳【0-2-0-6】複勝率25.0%、5歳【1-1-2-8】勝率8.3%、複勝率33.3%と若い組から出る。こちらはコスモキュランダ、ニシノレヴナント、レーベンスティールが該当。中心はダノンデサイルでよさそうだが、馬券的にはひとひねりが必要だ。

過去10年のデータから見るAJCC,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『アイドルホース列伝 超 1949-2024』(星海社新書)に寄稿。

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