クラシック勝ち馬3頭に続け
今週日曜日は中山競馬場でGⅢ・京成杯が行われる。デイリー杯2歳S2着馬ドラゴンブーストや、同コースの葉牡丹賞をレコード決着の同タイムで駆け抜けたゲルチュタール、ジャスティンパレスの半弟で新馬戦を快勝したキングノジョー、未勝利戦を0秒9差で圧勝したパーティハーンなど14頭が出走予定だ。
2年連続でクラシック勝ち馬を輩出しており、特に昨年は勝ち馬ダノンデサイルがダービーを制覇、2着馬アーバンシックが菊花賞を勝利するなど凄まじい結果を残した。今年も出世馬が出るか期待がかかる。今回も過去10年データから検討する。
同距離組が中心
<京成杯・前走距離別成績>
1600m以下【0-1-0-17】勝率0.0%/連対率5.6%/複勝率5.6%
1800m【4-1-1-31】勝率10.8%/連対率13.5%/複勝率16.2%
2000m【6-8-9-59】勝率7.3%/連対率17.1%/複勝率28.0%
2000mの新馬【1-1-1-4】勝率14.3%/連対率28.6%/複勝率42.9%
2000mの1勝クラスで連対【3-2-2-6】勝率23.1%/連対率38.5%/複勝率53.8%
京成杯は距離延長組が不振なレースである。前走1600m以下からの参戦は勝利がない。唯一の好走例である23年オメガリッチマン(前走ジュニアC7着→2着)も勝ち上がった未勝利戦は1800mだった。
それ以外は5番人気以内の7頭含めて全滅。人気になった馬も一定数いる中でのこの結果は重く受け止めたい。今年は例年より多く4頭が該当するが、どの馬もこのデータを覆すほどの魅力はないと考える。
前走1800m組は勝率で言えば最も高い。内訳を見ると、前走上がり3F3位以下が好走馬ゼロ。速い上がりが使えなかった馬は苦しい。同2位以内だと【4-1-1-15】で信頼度が上がる。今回のタイセイリコルド(前走上がり3F1位)、ニシノエージェント(同2位)は条件クリアと言える。
やはり中心は同距離組であり、ここのワンツースリーで決まった年も4回ある。今年も半数以上の8頭が該当する。この組は人気に忠実で、当日3番人気以内が【4-6-3-6】、2番人気以内だと【3-6-2-3】で連対率64.3%になる。
今年はキングノジョー、パーティハーン、ゲルチュタールが上位人気予想。この3頭の決着になってもおかしくない。
同距離組をクラス別に見ていくと、前走新馬は【1-1-1-4】。連対2頭はどちらも東京デビューという点でキングノジョーと共通している。
未勝利組は【0-3-2-21】と低調。キャリア2戦が【0-2-2-9】、3戦以上が【0-1-0-12】と勝ち上がりに時間を要した馬は厳しい。キャリア2戦のインターポーザー、パーティハーン、マテンロウムーブから選ぶことになる。
1勝クラス組は【3-2-4-19】。前走2着以内だと【3-2-2-6】複勝率53.8%。ゲルチュタールが今年の筆頭候補だ。なお3、4着だと【0-0-2-3】、5着以下は【0-0-0-10】。パッションリッチはちょうど分かれ目にいる。ただ、前走は3着から0秒6離されており、やや負けすぎと考えて今回は見送る。
前走時計を信頼
◎ゲルチュタール
新馬戦は平凡だったが、前走の葉牡丹賞の内容が極めて優秀。残り500mあたりから促されるとロングスパートをかけて上がり3F2位の34秒5をマーク。レコードを記録した勝ち馬とタイム差なしで走破した。
内容的には外を回し、コーナーでやや膨れたのが悔やまれる。4着には0秒6差を付けたように上位3頭が突出していた。前走の1、3着馬がこれ以降まだ走っていないため葉牡丹賞のレベルについては今回が試金石となる。しかし人気に恥じない走りを見せてくれるはずだ。
◯キングノジョー
半兄にアイアンバローズ、ジャスティンパレスといった重賞勝ち馬がいる良血馬。新馬戦は番手追走からマクってきた馬に譲って一度位置取りを下げたが、ノーステッキで上がり最速を記録、2着に0秒4差をつけて快勝した。
結果的に差して勝つ経験ができたのは大きい。全体時計は平凡だったが、前半1000m63秒0のスローペースが影響したもので、ケチをつける材料ではない。鞍上のC.ルメール騎手も京成杯は過去10年【2-1-1-2】と文句なしだ。
▲パーティハーン
新馬戦は仕掛けが早く、残り200mで先頭に立っていたものの最後はヤマニンブークリエ(次走黄菊賞2着)に差されての2着。ただ内容は悪くなかった。前走は0秒9差でしっかり逃げ切った。
京成杯は前走逃げて勝った馬が3連対しており、マイナスにはならない。未勝利戦で負かした相手から勝ち上がりが出ていない点は気がかりだが、上手く先行してレースを運べれば1着まである。
以下、タイセイリコルド、ニシノエージェント、マテンロウムーブまで印を回す。馬券は◎軸の馬連で勝負する。
▽京成杯予想▽
◎ゲルチュタール
◯キングノジョー
▲パーティハーン
△タイセイリコルド
×ニシノエージェント
×マテンロウムーブ
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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