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【京成杯】偉大な兄たちに引けを取らない大器キングノジョーに熱視線 新馬戦の内容優秀、中山替わりも歓迎

2025 1/15 17:00貴シンジ
過去10年の京成杯 前走新馬戦組の成績,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

3つのファクターから推奨馬を見つけ出す

今回は1月19日(日)に中山競馬場で行われる京成杯について、下記3つのファクターを組み合わせるコンプレックスアナライズで分析を行っていく。

・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目に見えない上積みを探る「前走内容」
・適性と素質を知るための「血統評価」

特別登録のあった15頭を検討対象とし、過去10年のデータを使用する。


重要データ:「前走新馬」、「前走GⅠ」組に注目

前走クラス別成績,ⒸSPAIA


京成杯は皐月賞と同じ中山芝2000mで実施される。時期が1月と皐月賞のステップレースとして使うには早すぎることもあり、これまではさほど重要な位置付けではなかった。

ところが、一昨年の勝ち馬ソールオリエンスが皐月賞を制し、昨年は1着ダノンデサイルが日本ダービーを、2着アーバンシックは菊花賞を制覇。ここにきて注目度が飛躍的に高まっている。

京成杯を攻略するうえで、重要なデータとなるのが前走クラスだ。

好成績なのは「新馬戦」と「GⅠ」を使ってきた馬。新馬戦からここに臨む馬は【4-1-2-14】で単勝回収率151%、複勝回収率85%をマーク。よっぽど強い勝ち方でない限り、人気を集めにくい点が回収率を上げている要因だろう。

一方、GⅠ組は【1-0-1-7】単勝回収率146%、複勝回収率61%となっている。こちらは2022年オニャンコポンがホープフルS11着からの出走で勝利、2023年セブンマジシャンはホープフルS6着から3着に入った。

過去10年で計9頭のうち8頭が6着以下からの参戦ということもあり、上位人気とならないケースも多いが、明け3歳になってどのくらいの上積みがあるかを見極めることが重要だ。

他では前走OP・L組も勝ち馬を出して好成績だが、同馬は重賞2着の実績があった。今回出走予定のシマサンブラックは前走の芙蓉Sで4着。同レースの1、2着馬が次走で凡走していることから、今回は評価を下げる。

【前走が新馬戦かGⅠだった出走予定馬】
・キングノジョー
・コスモストーム
・ドラゴンブースト
・ミニトランザット

前走内容:キングノジョーの新馬戦

キングノジョーの前走は新馬戦1着。東京芝2000mのレースで勝ち時計は2分2秒4と特筆すべきタイムではないが、内容はかなり優秀だ。

好発を決め、逃げようと思えば逃げられる展開だったなか、鞍上のC.ルメール騎手はこの先のことも考えてか馬群で我慢させる競馬を選択。前に馬を置くとしっかりと折り合いがついて、直線に向くまで我慢ができていた。

直線では前が壁になるシーンもありながら、ルメール騎手は慌てずにスペースができるのを待って追い出すと、一気に反応して2馬身半差の快勝。ノーステッキ、追い出されたのがラスト1F地点だったことを考えると着差以上の完勝だった。

デビュー前の調教ではレモンポップを相手に引けを取らない動きも見せていたように、能力は相当高い。


血統解説:キングノジョー

キングノジョーの血統表,ⒸSPAIA


・キングノジョー
本馬の日本での牝祖は母パレスルーマー。同馬は競走馬としても優秀だったが、繁殖としてはさらに優秀だ。

産駒にはベルモントS(GⅠ・ダート12F)勝ちなどGⅠ・2勝のパレスマリス(父Curlin)、ステイヤーズS勝ち馬アイアンバローズ(父オルフェーヴル)、天皇賞(春)勝ちのジャスティンパレス(父ディープインパクト)といった活躍馬を出している。

ファミリーに共通しているのは、豊かなスタミナとパワーだ。アイアンバローズ、ジャスティンパレスは父がオルフェーヴル、ディープインパクトで日本の芝のスピード勝負にもある程度対応しているが、本質的には力を要する馬場でのスタミナ比べが得意なタイプである。

シルバーステートはディープインパクトよりもパワータイプを出しやすい傾向にあるため、父にシルバーステートを迎えたキングノジョーはジャスティンパレスよりもアイアンバローズに近いと考えるべきだろう。

京成杯はもちろん、皐月賞など中山の中距離以上の芝コースではRobertoの血が有効だが、本馬は父シルバーステートも母パレスルーマーもRobertoを有している。

走り方を見ても地面をかき込むようなスタイルだから、新馬戦の東京より中山が合う。今回はそこまで強力なメンバーもおらず、しっかりと勝利して皐月賞につなげたい。

Cアナライズではキングノジョーを推奨

今回のCアナライズではキングノジョーを推奨する。

ホープフルSに出走しても良い勝負をしていたのではないかと思わせるほどの新馬戦のパフォーマンスと血統の持ち主で、京成杯ならば文句なく本命だ。

中山替わりは大歓迎で、ここを勝利すれば皐月賞でも人気の一頭になりそう。新馬戦しかサンプルがない現段階であれば、1倍台の1番人気にはならないだろう。ここで先物買いしておきたい。

【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。

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