ゴール前は流す余裕がありながらの勝利
2024年のJRA開催最終日となった12月28日(土)も、中山競馬場へ撮影に出向いた。2歳の新馬、未勝利戦6レースの中から取り上げるのは、5Rに組まれていた芝2000mの新馬戦。勝利したのは、佐々木大輔騎手騎乗のキタサンブラック産駒ブラックジェダイトだった。
ここ数週、強風吹き荒れ寒かった中山競馬場だったが、この日は風も穏やかな冬晴れ。ブラックジェダイトは18頭立ての13番ゲートから好スタートを決め、すんなりと3番手を確保した。
レースは逃げたチケットトゥヘブンが1角に差し掛かったところから向正面1000m地点の通過まで13.0-13.1-13.1と、13秒台が続く遅いラップのマイペースを刻んだ。
ブラックジェダイトは3角から徐々に前との差を詰めにかかり、4角で先頭へ並びかけ、2番手にいたブライトメールも含めた3頭が横並びで直線へ。残り200mを切ったところでブライトメールを振り切ると、そのまま突き抜けて完勝。外から伸びたドラゴンに2馬身差をつけた。
勝ちタイムは2:03.8と遅く、ラストも11.6-11.8と減速していたが、脚色は最後まで力強く、ゴール前の3〜4完歩ほどは流す余裕もあった。馬体重450kgのデビューと大きくはないものの、均整のとれた馬体の持ち主。今後どのように成長していくのか、長い目で注目しておきたい。
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
堂々とクラシックの主役へ
メインレースには来年のクラシックを占ううえで重要な一戦、ホープフルSが行われた。札幌2歳Sを制したマジックサンズ、好タイムでアイビーSを勝利したマスカレードボールなど例年と比較してもメンバーが揃ったなか、勝利したのは1番人気のクロワデュノールだった。
ジュンアサヒソラが主導権を握る展開となったところ、クロワデュノールはレース序盤7番手を追走。2角から向正面の1000m通過まで12.7-12.7とペースが落ちたところで後方3番手にいたファウストラーゼンが一気に捲り、ペースアップした。
クロワデュノールはそこで冷静かつスムーズに4番手の外までポジションを押し上げ、直線は危なげなく前を捉えた。初の中山コースにも問題なく対応し、2馬身という着差以上の完勝だったと言える。3戦の内容はいずれも文句なく、クラシックの主役はこの馬で間違いないだろう。
ジョバンニは野路菊S、京都2歳Sに続いて3戦連続の2着。勝ち切れない面はあるものの、クロワデュノールや好メンバー相手に好走できた点からも能力の高さは証明した。
同時に、現在故障により戦線離脱中ではあるが、ジョバンニを2度負かしているエリキングが春のクラシックに間に合った場合、必然的に評価が上がる結果となった。
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。
《関連記事》
・【注目2歳馬】東京芝1800mの新馬戦レコードを更新 キタサンブラック産駒クロワデュノール
・【注目2歳馬】シルバーステート産駒の良血キングノジョーが新馬戦快勝 アイビーSのマスカレードボールは重賞レベルの好時計
・【注目2歳馬】母アパパネの超良血アマキヒが新馬戦V ラスト2Fは11.3-11.1、馬体を併せた追い比べで勝負根性を発揮