前走菊花賞組が強い!
2024年12月22日に中山競馬場で行われる第69回有馬記念。ファン投票1位に輝いたのはドウデュース。獲得した47万8415票は、史上最多とのことだ。ネット投票の普及が一番の要因だろうが、趣味や娯楽が多様化するなかで、競馬の人気はまだまだ健在のようである。
真冬の風物詩でもある大一番、有馬記念にはどんな傾向が出ているのか。過去15年の成績を振り返りながら検証していく。
☆所属
美浦所属馬4勝(6連対)、栗東所属馬11勝(24連対)。勝率はともに6%台だが、連対率、複勝率は栗東所属馬が優勢となっている。
☆性別
牡馬(セン馬含む)12勝(22連対)、牝馬3勝(8連対)。所属と同じく、ともに勝率6%台で、連対率、複勝率では牝馬が優勢だ。
細かく見ると「美浦所属馬」と「牝馬」が優勢なのだが、「美浦所属の牝馬」の1着はない。むしろ栗東所属の牝馬が3勝していて、勝率、連対率、複勝率の数字が良い点は覚えておきたい。
☆年齢
3歳馬が7勝。勝率15.6%は、ほかの世代と比べて抜けている。また、6歳以上の連対馬はなし。5歳以上の美浦所属馬も連対なしとなっている。
☆前走クラス
連対馬が出ているのは、前走でGⅠ、GⅡ、そして海外を走った馬だけ。有馬記念で下剋上は起きないようだ。なお、海外帰りの馬は、複勝率31.3%とよく馬券に絡む。
☆出走馬の主な前走
相性の良い前走レースは、3歳戦では菊花賞、古馬戦ではジャパンCか天皇賞(秋)。この3つから勝ち馬が4頭ずつ出ている。牝馬はエリザベス女王杯からの参戦が多いが、2着が最高で、勝ち馬は1頭も出ていない。
☆前走着順
前走1着馬が7勝。ただし、馬券に絡む確率は、1~4着までほぼ同じ。前走5着以下となると勝ち馬は1頭(2009年ドリームジャーニー、前走6着)しか出ておらず、好走率もガクッと下がる。
☆前走人気
前走で1番人気だった馬の好走率が頭一つ抜けており、過去15回で8勝、勝率23.5%、複勝率35.3%となっている(なお、前走海外の馬は除く)。
☆血統
勝ち馬15頭中、13頭がサンデーサイレンス(SS)やロベルトをはじめとしたHail to Reason系種牡馬の産駒だった。内訳はSS系が【11-9-8-113】勝率7.8%、複勝率19.9%、ロベルト系が【2-1-2-12】勝率11.8%、複勝率29.4%となっている。
一方、キングカメハメハなどミスタープロスペクター系種牡馬の産駒は【0-5-4-39】で勝ち馬が1頭もいない。
まとめると、Hail to Reason系の種牡馬と相性がよく、ミスタープロスペクター系の種牡馬とは相性がイマイチのようだ。
☆その他
そのほかで気になったデータは2つ。まずは前走着差。1秒差以上負けた馬から勝ち馬が出ておらず、連対率も3%台と低い。
2つ目はオカルトになるが、前走馬番が8、もしくは11番だった馬は、1頭も馬券に絡んでいない(今年は前走馬番8の馬はいない)。ほかの馬番は、最低1頭は馬券に絡んでいた。
「3歳馬」で「前走1番人気」が狙い
有馬記念のデータをまとめる。
【好走率アップ】
A「栗東所属の牝馬」
B「前走が海外」
C「3歳馬」
D「前走4着以内」
E「前走1番人気」
F「Hail to Reason系種牡馬の産駒」
【勝ち馬なし】
G「美浦所属の牝馬」
H「前走がエリザベス女王杯」
I「ミスタープロスペクター系種牡馬の産駒」
J「前走で1秒差以上の負け」
【連対馬なし】
K「6歳以上もしくは美浦所属の5歳以上」
L「前走クラスがGⅢ以下」
M「前走馬番が11番」
今回はプラスデータが6つ(ABCDEF)ある。勝率順に並べると、E>C>B>D>A>Fの順だ。22頭いる登録馬で、プラスデータに最も多く該当し、連対馬なしデータに当てはまらないのは、アーバンシック(CDF)、ダノンデサイル(CEF)、ドウデュース(DEF)、レガレイラ(CEF)の4頭に絞られる。
4頭のうち、レガレイラは勝ち馬が出ていないG「美浦所属の牝馬」、H「前走がエリザベス女王杯」に該当するので、本命にはしづらい。一旦保留とする。
ほか3頭で、プラスデータのうち勝率上位の「E」と「C」を両方持っているのが前走菊花賞6着のダノンデサイル。前走菊花賞組は4頭の勝ち馬を出している相性の良いレースであり、同4着以下から2014年トゥザワールド(16着→2着)、2018年ブラストワンピース(4着→1着)と巻き返している例もある。
ドウデュースの秋古馬三冠達成も見たいが、ここは若い世代が待ったをかける。
相手候補は2着でもいい。そこでプラスデータを連対率順に並べると、勝率同様、こちらもE「前走1番人気」、C「3歳馬」の順で上位だった。アーバンシック、ドウデュースのうち、最も強い「E」を持つのは後者のみ。ドウデュースが2番手だ。
菊花賞馬アーバンシックは2番目に強い「C」を持つ。同年の菊花賞を勝った馬は、2011年1着オルフェーヴル、2012年1着ゴールドシップ、2015年3着キタサンブラック、2016年1着サトノダイヤモンド、2019年3着ワールドプレミアと、5頭も馬券に絡んでおり心強い。よってこれを3番手とする。
保留にしていたレガレイラは、マイナスデータ「G」「H」がネック。しかし、どちらのデータも勝ち馬こそ出ていないが、連対馬は出ている。押さえとしてなら入れてもいい。
◎ダノンデサイル
◯ドウデュース
▲アーバンシック
△レガレイラ
《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
今回はマイナスデータに「馬番」を入れましたが、時事ネタなど、いろんな角度のデータ(データといえないものもありますが)が飛び交うのが、この有馬記念の特徴でもあります。今年は大谷翔平選手が大活躍しましたが、背番号の「1-7」とか、ドジャーブルーの「4枠」とかが、それに該当するのでしょうか。個人的には、血圧が最高203まで上がったので、「2-3」を買いましょうかね(笑)
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