近年は上位拮抗
関西圏は10月からスワンS、京阪杯、阪神Cと月末付近に短距離重賞が続く。特に1400mは来年2月阪急杯までシリーズのようにつながっている。それも今年の阪神Cは京都、来年の阪急杯は一週繰り上がって京都で行われるため、今年はこのシリーズの舞台はすべて京都。京都芝1400mは外回りで、阪神より末脚勝負になる公算が高い。
京都の重賞好走馬を中心に傾向に照らし合わせていく。データは阪神で行われた過去10年分を使用する。
1着賞金6,700万円は1600m以下のGⅡでは最高賞金額。中距離の主要GⅡレベルの賞金は短距離馬を抱える陣営にとって魅力でしかない。定量戦でもあり、この秋を賑わせた馬たちも出走しやすい。
メンバーがそろう激戦になるからか、1番人気【2-0-2-6】勝率20.0%、複勝率40.0%、2番人気【1-3-2-4】勝率10.0%、複勝率60.0%、3番人気【2-3-1-4】勝率20.0%、複勝率60.0%と上位は差がない。4番人気以内が拮抗している一方で、7、8、11番人気が1勝ずつで、人気薄の馬券圏内も十分考えられる。
人気薄の勝ち馬は逃げ1、中団差し2。年齢もバラバラで絞りづらいが、2018年ダイアナヘイローの逃げ切りが最後。直近5年の勝ち馬は1、4、3、1、4番人気と堅い。
年齢別では3歳【3-3-2-19】勝率11.1%、複勝率29.6%、4歳【3-2-2-23】勝率10.0%、複勝率23.3%と若い世代が中心となっている。
短距離戦らしい傾向がある一方、5歳【1-4-5-39】勝率2.0%、複勝率20.4%の馬券圏内や、6歳【2-0-0-29】勝率、複勝率6.5%の一発もある。6歳2勝はリアルインパクトとイスラボニータ。どちらもGⅠ馬だった。
スプリントからの転戦は年齢に注意
マイルCS3着ウインマーベルは連覇がかかっている。近況は申し分なく、防衛の可能性は高い。上半期に活躍したアサカラキング、スワンS1、2着3歳ダノンマッキンリー、オフトレイル、引退を迎えるセリフォスら、今年も豪華だ。
前走レース別の成績をみると、マイルCS【2-3-3-22】勝率6.7%、複勝率26.7%、スワンS【2-1-1-17】勝率9.5%、複勝率19.0%、スプリンターズS【1-1-1-14】勝率5.9%、複勝率17.6%とスプリント、マイルGⅠの名前がみえる。スプリンターズSの上位は例年、香港スプリントに向かうので少し手薄。この点も頭に入れて傾向をみる。
マイルCS3着以内は【0-1-2-1】、6~9着【0-0-1-4】、10着以下【1-1-0-15】勝率5.9%、複勝率11.8%で好走馬もいいが、凡走でも巻き返す。単純に格が下がって好走する例もあれば、距離が1400mに短縮されて好走する距離巧者もいる。
ウインマーベルは当然、1400mに戻ってパフォーマンスをあげるだろう。セリフォスは格が下がって好走するタイプ。GⅢ、GⅡは1、1、1、2、4着。今秋の富士S4着をどうとるか。休み明けととるか、パフォーマンス低下ととるか、解釈がわかれそうだ。
スワンS1着は【1-0-1-1】、以下2~4着【0-0-0-7】、5~9着【1-1-0-4】、10着以下【0-0-0-5】。勝った馬はいいが、2、3着馬はよくなく、大敗でなければいいと難しい。1着ダノンマッキンリー、9着ダノンスコーピオンがプラスで、2着オフトレイル、3着トゥラヴェスーラが割引となる。
前走スワンSの3歳馬は【0-0-0-3】だが、人気内訳は11、13、5番人気でそもそも上位人気ではないので、ダノンマッキンリーが当てはまるかといわれると微妙。4歳【1-0-0-0】、5歳【0-1-1-3】あたりが好走ゾーンとなっている。上のデータとのダブルで一致するのはダノンスコーピオンだ。
福永祐一厩舎に転厩してから1200mを経験し、スワンSは0秒4差9着。浮上のきっかけをつかみつつある。
前走スプリンターズSは、3歳【1-0-0-2】、4歳【0-0-1-3】と若い馬がいい。GⅠの壁にはね返され、ここまで待って立て直した。そんなローテが理想的だ。
ナムラクレア、ママコチャ、マッドクールの5歳は【0-0-0-5】。こちらは11、14、2、4、6番人気となっている。ただし、前走着順はすべて5着以下。3、4着のナムラクレアやママコチャには当てはまらないか。だが、5歳の終わり、GⅠ後に再上昇は簡単ではない。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『アイドルホース列伝 超 1949-2024』(星海社新書)に寄稿。
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