傾向解説
先週の阪神JFと同じく、阪神競馬場の改修工事により、京都芝外回り1600mで行われる2024年朝日杯FS。ただ、地力差の大きい2歳戦だけに適性面よりも素質や完成度の方が重要で、京都に舞台を移しても大きくレース傾向が変わることはないのではないでしょうか。本記事では2歳戦に強い血統を中心に、朝日杯FSのレース傾向を整理していきます。
まず、紹介したいデータは前走距離別成績。阪神JFや桜花賞でも同様の傾向にありますが、朝日杯FSにおいても1600m以上からのローテーションとなる組の成績が高水準となっています。日本競馬は芝1600~2500mを中心に番組が構成されており、2歳戦においても1600m以上のレースにレベルの高い馬が集まる傾向にあります。そして、先週の阪神JFでは芝1800mからの距離短縮馬である全3頭が上位を独占。今の荒れた馬場もこの傾向を後押ししています。
ただ、朝日杯FSで注目したいのは前走上がり3F1位だった距離延長馬。これに該当する馬は、芝1400m以下でのハイペース経験に加え、距離延長に対応する余力がある可能性が高く、特に期待値という点では最も高いパフォーマンスを期待できるのではないでしょうか。
また、芝1800m以上路線の有力牡馬はクラシックを見据えて、朝日杯FSに出走することが少ないです。そのため、ローテーション別の序列としては1500m以下(前走上がり3F1位)≒1600m>1700m以上>1500m以下(前走上がり3F2位以下)となっています。
<前走距離別成績>
距離延長【1-2-3-62】
勝率1.5%/連対率4.4%/複勝率8.8%/単回率25%/複回率61%
距離延長×前走上がり3F1位【1-2-2-16】
勝率4.8%/連対率14.3%/複勝率23.8%/単回率83%/複回率162%
同距離【7-6-6-48】
勝率10.4%/連対率19.4%/複勝率28.4%/単回率50%/複回率71%
距離短縮【2-2-1-24】
勝率6.9%/連対率13.8%/複勝率17.2%/単回率47%/複回率47%
(過去10年)
血統面での注目は、オーストラリアで一大父系を築き上げたデインヒル。オーストラリア競馬は2歳戦と短距離戦が充実しており、そのカテゴリーを牽引してきたのがデインヒル父系です。同父系が伝えるスピードと早熟性は日本の2歳戦においても非常に強力で、朝日杯FSでも過去10年で4頭の勝ち馬を出しています。
<デインヒル内包馬の成績>
デインヒル【4-1-1-14】
勝率20.0%/連対率25.0%/複勝率30.0%/単回率180%/複回率64%
(過去10年)
また、スピードとタフさに長けたノーザンテーストにも注目。同馬は1982~88、90~92年と10度の日本リーディングサイアーに輝いた大種牡馬です。
血統的にはLady Angelaの3×2という野心的なインブリードが最大の特徴で、2024年の現在においても強い影響力を持つ血統のひとつ。特にホープフルSのGⅠ格上げ後、当レースではハイペース戦が続いているだけに、今年もノーザンテースト持ちの伏兵には要注意です。
該当馬が多いこともあり数字上では目立った成績になっていませんが、2021年に8番人気で4着のアルナシームや2022年に16番人気で4着のキョウエイブリッサなど惜しくも馬券圏外に沈んだ“隠れ激走馬”も少なくありません。また、阪神JFを制したアルマヴェローチェも母がノーザンテーストの3×4を持っており、今の荒れた馬場にも合っているのではないでしょうか。
<ノーザンテースト内包馬の成績>
ノーザンテースト【2-5-2-49】
勝率3.4%/連対率12.1%/複勝率15.5%/単回率13%/複回率83%
(過去10年)