アルテヴェローチェ、ミュージアムマイルは明暗クッキリ
阪神競馬場がスタンドのリフレッシュ工事で開催休止中のため、今年の朝日杯FSは京都競馬場で行われる。この2場の芝1600m外回りは、直線の長さが約70m違うとはいえ、同じ関西圏の右回り。それだけに大きな違いはないように思えるが、データを見る限り似て非なるものだ。
とりわけ朝日杯FSに有力馬を出走させる種牡馬の成績を比較すると、実に面白い傾向が見えてくるので紹介する。
<朝日杯FSに産駒が出走登録している主な種牡馬 阪神&京都・芝1600m外回りの成績>
エピファネイア産駒
阪神【0-0-2-19】勝率0.0%/複勝率9.5%
京都【4-5-4-47】勝率6.7%/複勝率21.7%
キズナ産駒
阪神【5-4-4-35】勝率10.4%/複勝率27.1%
京都【2-0-1-25】勝率7.1%/複勝率10.7%
シルバーステート産駒
阪神【1-2-1-15】勝率5.3%/複勝率21.1%
京都【0-3-1-9】勝率0.0%/複勝率30.8%
スクリーンヒーロー産駒
阪神【1-1-1-11】勝率7.1%/複勝率21.4%
京都【1-1-0-4】勝率16.7%/複勝率33.3%
モーリス産駒
阪神【6-4-8-40】勝率10.3%/複勝率31.0%
京都【0-1-5-20】勝率0.0%/複勝率23.1%
リオンディーズ産駒
阪神【3-6-5-20】勝率8.8%/複勝率41.2%
京都【1-6-3-17】勝率3.7%/複勝率37.0%
※2023年以降
最大の注目はモーリスの産駒だ。朝日杯FSには自己GⅠ最多タイとなる産駒4頭出しを予定。とりわけサウジアラビアRCでワンツーを決めたアルテヴェローチェとタイセイカレントは有力視されている。
しかし、モーリス産駒はリニューアルした2023年以降の京都芝1600m外回りで【0-1-5-20】勝率0.0%、複勝率23.1%と不振。3番人気以内でも【0-0-4-4】で、1頭も連対していないのだ。
阪神芝1600m外回りでは【6-4-8-40】勝率10.3%、複勝率31.0%と上々の成績を残しているだけに、この舞台変更は痛恨かもしれない。少なくとも人気ほどの信頼度はなく、あっても押さえまでの評価でいい。
積極的に買いたいのはリオンディーズの産駒。自身が15年の朝日杯FSを制しているからか、産駒も阪神芝1600m外回りの適性が高く、【3-6-5-20】勝率8.8%、複勝率41.2%と優秀だ。肝心の京都芝1600m外回りとも相性が良く、【1-6-3-17】勝率3.7%、複勝率37.0%。3番人気以内は【1-3-1-1】と安定感があるが、それでいて7番人気や9番人気が3着に好走したこともあり、伏兵も軽視できない。
要は「京都芝1600m外回りのリオンディーズ産駒は人気に関係なく要注意」なのだ。朝日杯FSにはミュージアムマイルが参戦予定。「勝ち切る!」とは言い切れないものの、3連複の軸としての信頼度は高い。
他ではシルバーステートの産駒も侮れない。京都芝1600m外回りで【0-3-1-9】勝率0.0%、複勝率30.8%。勝ち星こそないが、先週のリゲルSで2着だったセッションなどが好走している。ランスオブカオスはヒモで押さえておこう。
以上を踏まえ、馬券の軸にはリオンディーズ産駒のミュージアムマイルを据えたい。モーリス産駒の4頭は思い切って消し。3連複の1頭軸で、相手はシルバーステート産駒のランスオブカオスを含め、手広く流すのがオススメだ。
《ライタープロフィール》
逆瀬川龍之介
国内の主要セール、GⅠのパドックはもちろん、時には海外のセリにも足を運ぶ馬体至上主義のライター。その相馬眼を頼りにする厩舎関係者、馬主は少なくない。一方、マニアック、かつ実用的なデータを駆使して、ネット媒体や雑誌などにも寄稿するなど、マルチな才能を持っている。
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