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【マイルCS】「前走1800mで2~5着」の馬が複回収率152% データで導く穴馬候補3頭

2024 11/14 17:00鈴木ユウヤ
2024マイルCS-データで探す穴馬,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

データで見る「穴候補3頭」

今週日曜の京都メインはマイルCS。文字通り1600mの王者を決める競走だ。今年は安田記念が香港馬ロマンチックウォリアーの勝利に終わり、古馬のマイル王が「空位」となっている。アスコリピチェーノやジャンタルマンタルら3歳勢も不在で、想定1番人気はマイル初出走のブレイディヴェーグ。まさに混戦という表現が相応しい。

このレース自体、ここ10年で2番人気以内の勝利は連覇したグランアレグリアの2回だけ。しかし10番人気以下も【0-0-0-82】と馬券絡みがなく、中穴馬の取捨が馬券のキモとなる。様々な切り口のデータを駆使して3頭の穴候補を導き出した。

前年の4着以内馬がまた走る! エルトンバローズ

まずはエルトンバローズを取り上げる。昨年は重賞を連勝してマイルCSに出走し、0.2秒差の4着と善戦した。

マイルCS 前年同レース、同年安田記念との関連,ⒸSPAIA


マイルCSは「リピーターレース」的な傾向を持ち、前年の上位馬が再度好走するシーンが多い。過去10年で「前年マイルCSの4着以内馬」は【2-6-1-14】複勝率39.1%、同5着以下は【0-0-1-21】複勝率4.5%とハッキリ明暗が分かれる。

一方、安田記念とは結果が連動しない。「同年安田記念の3着以内馬」は【4-2-0-11】だが、阪神代替時を除くと【2-0-0-9】複勝率18.2%。むしろ安田記念で4着以下だった馬の方が複勝率、複回収率ともに高い。

安田記念は平均勝ち時計1:31.80、レース上がり3F34.09秒。一方、京都のマイルCSは1:32.86、上がり3F34.63秒(※ともに過去10年)となっている。マイルCSの方が時計を要し、瞬発力が問われない傾向にある。このあたりの質の差が、同じ距離でも違う馬が上位に来るゆえんだろう。

この2点を掛け合わせて「前年マイルCS4着以内」かつ「同年安田記念4着以下」だった馬の成績を見ると【1-5-1-7】複勝率50.0%、複回収率143%。京都開催時に限ると【1-4-1-5】複勝率54.5%となる。ピッタリ当てはまるのがエルトンバローズだ。

エルトンバローズの上がり3F自己ベストは33.6秒。一線級との高速上がり勝負だとやや見劣り、安田記念よりマイルCSの方が適性に合う。2走前はハンデ59kgで0.1秒差3着、前走はキレ負けだった。近走内容も悪くない。

前走1800m組は「惜敗した馬」が狙い目 フィアスプライド

2頭目はフィアスプライドを選ぶ。昨年末にターコイズSで重賞初制覇を果たし、今春のヴィクトリアマイルはハイペースを先行して2着。前に行った馬では唯一の掲示板確保だった。今回は府中牝馬S4着から距離短縮で臨む。

マイルCSには毎日王冠、府中牝馬S組を中心とする「前走1800m組」の出走も多い。そこに着目してデータを見よう。

マイルCS 前走1800mでの着順別成績,ⒸSPAIA


過去10年の当レースにおいて、前走1800m戦で勝った馬は【0-1-0-7】複勝率12.5%、複回収率17%と振るわない。ホットゾーンは「前走2~5着」の【2-1-3-8】複勝率42.9%、複回収率152%。なお負けすぎもダメで、6着以下は【0-0-1-15】となっている。1800mできっちり勝ち切った馬より、距離が長くて少しだけ甘くなった馬が狙い目といえる。

前走1800m戦で2~5着だった馬のうち、過去にGⅠ連対歴があると【2-1-2-4】複勝率55.6%、単回収率167%、複回収率170%とさらに信頼度がアップ。フィアスプライドにちょうど合致する。

フィアスプライド自身、これまで距離短縮ローテでは【2-2-0-1】。唯一の着外も関屋記念の12番人気4着であり、人気以上に走っている。思えばヴィクトリアマイル2着も中山牝馬S9着からの200m短縮で見事な変わり身だった。府中牝馬Sの敗戦で侮られる今回こそ、絶好の買い時だ。

隠れた(?)名コンビ・戸崎圭太騎手×友道康夫厩舎 ジュンブロッサム

ラストは富士Sの勝ち馬ジュンブロッサム。条件戦を突破するのにやや手間取ったが、良馬場のマイル戦では常に強烈な末脚を使い続け、ついに富士Sで重賞初制覇となった。騎乗するのは関屋記念から3戦連続となる戸崎圭太騎手だ。

戸崎圭太騎手×友道康夫厩舎の成績,ⒸSPAIA


この戸崎騎手×友道康夫厩舎というコンビが、実はかなりアツい。通算成績でも【12-14-7-37】複勝率47.1%、単複ともに回収率110%超と見事だが、今年に入ってさらに勢いを増している。2024年は【7-6-3-7】で驚異の複勝率69.6%。継続騎乗に限ると【4-2-1-1】複勝率87.5%、単回収率351%、複回収率191%と冴えに冴えている。

ジュンブロッサムは6月に同コースの水無月Sに出走し、勝ち時計1:31.5、ラスト1F10.9というタイムで快勝した。芝1600mで「ラスト1F10秒台」「勝ち時計1:32.5以下」を満たしたのはこのレースの他、モーリスのダービー卿CTと先日アスコリピチェーノが勝った京成杯AHだけ。数字上、GⅠを勝つだけの資質は既に証明済みだ。

<ライタープロフィール>
鈴木ユウヤ
東京大学卒業後、編集者を経てライターとして独立。中央競馬と南関東競馬をとことん楽しむために日夜研究し、X(Twitter)やブログで発信している。好きな馬はショウナンマイティとヒガシウィルウィン。

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