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【アルゼンチン共和国杯】スタミナに優れるRoberto内包馬は複勝率50%超え 好相性の血統持つのはメイショウブレゲ

2024 10/31 06:00坂上明大
2024年アルゼンチン共和国杯の注目血統,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

傾向解説

春の目黒記念と同じく東京芝2500mを舞台に行われるアルゼンチン共和国杯。日本ダービーやジャパンCより100m長いだけですが、好走馬の血統傾向は大きく異なります。本記事では血統面を中心に、アルゼンチン共和国杯のレース傾向を整理していきます。

まず、紹介したいデータは年齢別の成績。下記データの通り若ければ若いほど好走率も回収率も高く、特に3歳馬においては過去10年で5戦2勝3着2回のハイアベレージを記録しています。

これは番組構成上の影響が大きく、古馬、特に5歳以上の現役トップクラスの馬は豊富な選択肢のあるGⅠに出走することが多く、その結果アルゼンチン共和国杯のメンバーレベルは低めになる傾向にあります。その反面、3~4歳馬には賞金が足りなかった素質馬も紛れているため、基本的には3~4歳の遅咲きの素質馬を狙うのがセオリーといえるでしょう。

年齢別成績(過去10年),ⒸSPAIA


<年齢別成績(過去10年)>
3歳【2-0-2-1】
勝率40.0%/連対率40.0%/複勝率80.0%/単回収率146%/複回収率182%
4歳【6-3-3-21】
勝率18.2%/連対率27.3%/複勝率36.4%/単回収率103%/複回収率88%
5歳【1-4-5-42】
勝率1.9%/連対率9.6%/複勝率19.2%/単回収率9%/複回収率51%
6歳【1-2-1-34】
勝率2.6%/連対率7.9%/複勝率10.5%/単回収率12%/複回収率27%
7歳以上【0-1-0-32】
勝率0.0%/連対率3.0%/複勝率3.0%/単回収率0%/複回収率5%

血統面ではRobertoに注目。東京芝2400mと東京芝2500mの大きな違いは、スタート直後から上り坂をこなさなければならない点。当然、長い直線で伸び負けない末脚は必須ですが、瞬発力重視のダービーやジャパンCよりも「いかに直線までスタミナを残せるか」が末脚の伸びに繋がっている印象です。

これは目黒記念でも同様の傾向にあり、やはり東京芝2500m重賞ではスタミナに優れるRoberto内包馬を狙いたいところです。ちなみに過去10年でも、最も人気薄で好走した2018年3着馬のマコトガラハッド(11番人気)は、母父がRoberto系ブライアンズタイムでした。

Roberto(単勝オッズ19.9倍以下・過去10年),ⒸSPAIA


<血統データ(過去10年、単勝オッズ19.9倍以下)>
Roberto内包馬【5-5-4-13】
勝率18.5%/連対率37.0%/複勝率51.9%/単回収率121%/複回収率124%

有力馬の血統を解説

クロミナンス
母イリュミナンスはフラガラッハ(2012、13年中京記念)、フェルメッツァ(2017年小倉記念3着)、エスティタート(2019年シルクロードS2着)などの半きょうだいで、母自身も2013年クイーンCと2015年クイーンSで3着がある実績馬です。

本馬自身は牝系の特徴が出た伸びの良い体つきで、Nureyevの5×4を中心にHyperion血脈を豊富に併せ持った万能タイプです。アルゼンチン共和杯は5歳以上が苦戦傾向の重賞ではありますが、本馬はロードカナロア産駒らしく7歳になっても大きくはパフォーマンスを落としていません。

サヴォーナ
母テイケイラピッドはその父スニッツェル譲りの大型馬。馬体重530kg前後の恵まれた馬格は母親譲りで、力のいる馬場やダートも苦にしないパワーが本馬の持ち味です。東京芝2400mでの瞬発力勝負では分が悪いですが、東京芝2500mの底力勝負なら東京コースも対応可能ではないでしょうか。格の高いレースを中心に使ってきた4歳馬という点も高く評価したいところです。

メイショウブレゲ
母メイショウスイヅキは芝1400m以下で3勝を挙げた短距離馬。ただ、ゴールドシップ産駒の本馬はサンデーサイレンスの3×4の影響もある、馬体の緩さが目立つ長距離馬で、5走前には芝3000m戦である万葉Sを制しています。またゴールドシップは、東京芝2500mとの相性抜群なRobertoの血も薄く引いており、アルゼンチン共和杯はピッタリの舞台でしょう。

2024年アルゼンチン共和国杯の有力馬と評価,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。2023年11月には本島修司氏との共同執筆で『競馬の最高戦略書 予想生産性を上げる人の取捨選択の技術』(主婦の友社)を出版。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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