東京の2歳重賞は関西馬に分がある
2歳戦線も11月を迎え、いよいよGⅠを視野に入れたGⅡがはじまる。京王杯2歳S、デイリー杯2歳Sは朝日杯FSへ、東京スポーツ杯2歳SはホープフルSへとつながる。ひと口に2歳重賞といっても、GⅡ格は10月までのGⅢとは傾向が異なる。
2歳戦ではGⅠ以外の格の違いへの意識が薄くなりがちだが、傾向を振り返ると、明確に違う。新馬、未勝利直後でも通じるGⅢに対し、GⅡはそうはいかない。GⅢを通ってきた経験馬が強く、先物買い的な要素が少ない。格が違えば、傾向は変わる。この意識を忘れずに11月のGⅡ戦に向かいたい。データは過去10年分を使用する。
1番人気【3-2-3-3】勝率30.0%、複勝率70.0%がひとつ抜けている印象も、3番人気以内は7勝で上位人気馬は拮抗している。以降は、4番人気【0-2-3-5】複勝率50.0%をはじめ、複勝圏内なら伏兵も入り込む。大穴も10番人気以下【2-1-0-42】勝率4.4%、複勝率6.7%と出現しており気を抜けない。
東京芝1400mに対応できるスピードとひと溜めできる器用さ、確かな末脚と求められる要素は多く、すべて兼ね備える2歳馬はそう多くない。これも必ずしも人気通りに決まらない要因ではないか。
もともと東京競馬場は関西馬の成績がいいが、京王杯2歳Sも関東馬【2-4-7-69】勝率2.4%、複勝率15.9%に対し、関西馬が【8-6-3-33】勝率16.0%、複勝率34.0%と優勢だ。
仕上がりが早い短距離型にとって、次戦のマイルGⅠよりこの1400mが最大目標であり、これを狙ってくる関西馬は確実に狙いたいところ。中4週以上の関西馬【7-6-2-19】、かつ前走1、2着だと【5-4-2-13】。重賞1、2着に限ると【4-3-1-9】勝率23.5%、複勝率47.1%。エイシンワンド、クラスペディアはこのデータに合致する。
スプリント重賞組なら小倉2歳S
小倉2歳Sからは6着エンドレスサマーも参戦予定。函館2歳S4着ヤンキーバローズなど短距離戦線組とサウジアラビアRC3、4着マイネルチケット、シンフォーエバーの比較はつきにくいところだが、カギになるだろう。
前走GⅢは【5-4-2-19】勝率16.7%、複勝率36.7%。キャリアの浅さより重賞経験を上位にとろう。内訳は小倉2歳S【3-1-1-7】勝率25.0%、複勝率41.7%、函館2歳S【2-2-1-5】勝率20.0%、複勝率50.0%とスプリント重賞で培ったスピードが優先。サウジアラビアRC【0-0-0-3】は間隔も詰まっており、そもそも数は少ないが、マイルのゆったりした競馬からの距離短縮は若駒にとって簡単ではない。
前走1200m重賞に出走した馬のうち、3着以内は【4-3-2-11】と高く、好走を前提としていい。そのレース内容は逃げ【0-1-0-1】複勝率50.0%、先行【3-1-1-4】勝率30.0%、複勝率60.0%とスピードを武器に好走した馬は評価しよう。
中団、後方が極端に悪いわけではないが、この時期らしくスピードをいかし優位な位置取りで運べるのは大きい。小倉2歳Sの1、2着馬はどちらも先行して粘った。関西馬でもあり、エイシンワンド、クラスペディアは有力視していい。
前走新馬【2-1-1-16】勝率10.0%、複勝率20.0%は同じ1400mだった馬は【2-0-0-5】、それ以外【0-1-1-11】なので、距離変化なくここに進む馬を上にとりたい。バニーラビット、レモンバームが当てはまる。
一方、前走未勝利【0-2-2-26】複勝率13.3%はほかの2歳重賞と比べると落ちる。前走1400m【0-1-1-13】、距離短縮【0-1-1-3】、距離延長【0-0-0-10】。重賞組とは異なり短縮がいいので、取り違えないよう気をつけよう。今年はヒシアマンが該当している。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『アイドルホース列伝 超 1949-2024』(星海社新書)に寄稿。
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