傾向解説
3歳牝馬三冠最終戦の秋華賞。京都競馬場改修工事の影響で2021~22年は阪神芝2000mを舞台に行われましたが、昨年からは京都芝2000mに舞台を戻し、牝馬三冠レースでは唯一の小回りコースでのGⅠ競走でもあります。阪神芝2000mと京都芝2000mとの違い、そして桜花賞やオークスとの違いも含めて、秋華賞のレース傾向を整理していきます。
京都芝2000mと阪神芝2000mでの大きな違いは「ペースの差」があげられます。阪神芝2000mで行われた年の前後半1000mラップは、2021年が61.2-60.0の後傾1.2秒、2022年が59.7-58.9の後傾0.8秒とどちらも後傾ラップを刻みました。一方で過去10年の京都開催だった8回で後傾ラップを刻んだのは3回だけで、昨年の61.9-59.2といったスローペースは珍しいパターンです。
初角までの距離が300m強と短い点は京都も阪神も同じですが、京都では前有利の意識が強過ぎるのか、先行争いが苛烈になる傾向にあります。注目したいのは初角位置別成績で、京都開催の直近8回で初角5番手以内から馬券圏内に粘り込んだのは4頭だけで、2着1回、3着3回という成績。いかに前半で脚をタメられるかが勝敗を分けるポイントとなっています。
<京都開催過去8回の秋華賞、初角番手別成績(単勝オッズ19.9倍以下)>
5番手以内【0-1-2-13】
勝率0.0%/連対率6.3%/複勝率18.8%/単回収率0%/複回収率45%
6番手以下【8-6-2-15】
勝率25.8%/連対率45.2%/複勝率51.6%/単回収率117%/複回収率107%
血統面ではGraustark=His Majestyの血に注目。ブライアンズタイム、グラスワンダー、Kingmamboなどハイペース適性の高い種牡馬たちが共通して持っています。特に同血脈のクロスを持つ馬は京都開催8回で3頭しかおらず、唯一10番人気以内だった2017年モズカッチャンは5番人気3着。集計期間外にはなりますが、2013年にはリラコサージュが15番人気3着と超人気薄での好走も果たしています。
ブライアンズタイムやグラスワンダーは機動力に優れたRobertoの血も併せ持つ相性の良い種牡馬で、Kingmambo+Robertoの配合パターンも大注目の組み合わせです。日本の主流父系であるサンデーサイレンス系の勝率、複勝率が牝馬三冠のなかで最も低いのが当レースで、春の2レースとは少々異なる適性が求められます。
<京都開催過去8回の秋華賞、Graustark=His Majesty内包馬の成績(単勝オッズ19.9倍以下)>
Graustark=HisMajesty【4-2-3-8】
勝率23.5%/連対率35.3%/複勝率52.9%/単回収率59%/複回収率103%