ジャパンCを目指すためのステップレース
毎日王冠が天皇賞(秋)よりマイルCSへ向かう有力馬の始動戦に選ばれるように、京都大賞典はジャパンCを目指すためのステップレースとして定着しつつある。
現在、天皇賞(秋)へ向かう最適解が見いだせない状況だ。来年からは新潟記念がハンデ戦から別定戦に変更されるが、これも天皇賞(秋)を目指す有力馬にとって決して出走しやすい条件でもない。その先のジャパンC、有馬記念まで考えると、今後も主流は直行ローテという選択は変わらないだろう。
ジャパンCを念頭に置いた馬たちが始動することで、京都大賞典は近年、メンバーも集まるようになった。宝塚記念を勝ったブローザホーンはここからジャパンC、有馬記念を予定している。昨年は2番人気に支持されるも、心房細動で競走中止。目標は先とはいえ、嫌な記憶を拭い去るためにも京都大賞典はとっておきたいタイトルだ。
データは阪神開催も含めた過去10年のものを使用する。
1番人気【2-3-3-2】勝率20.0%、複勝率80.0%をはじめ、5番人気【1-0-2-7】勝率10.0%、複勝率30.0%と、ここまでは拮抗している。かつてほど一本かぶりが強い競馬は減ったものの、上位人気馬の力差がない分、激戦になりやすい。
年齢では4歳【3-4-2-17】勝率11.5%、複勝率34.6%、5歳【4-3-2-28】勝率10.8%、複勝率24.3%が一枚上だ。といいつつ、7歳以上【2-1-3-30】勝率5.6%、複勝率16.7%とベテランも奮起する。
今年は4、5歳馬が上位を占めるのだろうか。個人的には京都ならディープボンドだってやれそうな気もするが。
穴は京都巧者ジューンアヲニヨシ
ブローザホーンを追う組は昨年の勝ち馬プラダリア、サトノグランツら京都巧者だろう。サトノグランツは京都新聞杯を勝ち、冬の日経新春杯ではブローザホーンと0秒3差の3着。当時の斤量はサトノグランツが57.5kg、ブローザホーンが57kgだったが、今回はブローザホーンの方が重い。
前走GⅠ【5-6-7-25】勝率11.6%、複勝率41.9%は宝塚記念【4-3-6-14】勝率14.8%、複勝率48.1%が目立つ。前走宝塚記念は5着以内【2-1-3-2】と素直に好走馬中心でいいが、6着以下も【2-2-3-12】と走っており、正直、着順は問わない。ブローザホーン、プラダリア以外にもディープボンドも軽視できない。
前走GⅡ【0-1-1-27】複勝率6.9%は目黒記念【0-1-1-9】が好走馬を出しているが、1着【0-1-1-3】、2着以下【0-0-0-6】で勝っていないと厳しい。4着に終わったサトノグランツは京都に戻ってパフォーマンスをあげてくるだろうが、気になるところだ。
前走GⅢ【3-1-1-27】勝率9.4%、複勝率15.6%は新潟記念【2-1-0-8】勝率18.2%、複勝率27.3%に注目。9着以内【2-1-0-3】、10着以下【0-0-0-5】と好走ゾーンは広い。
9着に敗れたジューンアヲニヨシもデータ上、好走ゾーン。昇級後は重賞で苦戦を強いられているが、全4勝を京都であげており得意舞台だ。相手はかなり強いが、適性で食い込むようなら配当妙味はたっぷりだ。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
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