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【スプリンターズS】短距離路線はフォーティナイナーの血が大活躍 血統からの注目馬はウインマーベル

2024 9/26 06:00坂上明大
2024年スプリンターズステークスの注目血統,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

傾向解説

秋のGⅠシーズン第1戦スプリンターズS。サマーシリーズ組や3歳勢の潜在能力、マイル路線との力関係など既存勢力との比較が予想の大きなポイントとなる一戦です。本記事では血統面を中心に、スプリンターズSのレース傾向を整理していきます。

まず押さえておきたいポイントは内枠有利という点。短距離戦はゲートを出る速さやスムーズさなどで隊列が決まってしまうため、スプリンターズSに限らず枠順の影響を受けやすい傾向にあります。

特に外ゲートにあたる11番枠から外は不利が明確で、過去10年で馬券圏内に入った4頭中3頭は3番人気以内、残り1頭は超ハイペースを最後方から追い込んだアウィルアウェイでした。実力馬か展開が向いた馬しか好走できていないというのがスプリンターズSの大きな特徴です。

馬番別成績(過去9年),ⒸSPAIA


<馬番別成績(過去9年)>
1~5番【3-3-5-34】
勝率6.7%/連対率13.3%/複勝率24.4%/単回収率66%/複回収率113%
6~10番【5-4-3-32】
勝率11.4%/連対率20.5%/複勝率27.3%/単回収率36%/複回収率83%
11番~【1-2-1-50】
勝率1.9%/連対率5.6%/複勝率7.4%/単回収率17%/複回収率27%

血統面ではフォーティナイナーの血が大活躍。ただ、これはスプリンターズSに限ったことではなく、高松宮記念も含めた近年の日本の芝スプリント路線をけん引する血統と言ってしまっても間違いではないでしょう。

スウェプトオーヴァーボード、アドマイヤムーン、アイルハヴアナザーという3頭の種牡馬がそれぞれ好走馬を出しており、一昨年2着のウインマーベルの活躍からもまだまだ軽視できない名血です。

フォーティナイナー内包馬の成績(過去9年),ⒸSPAIA


<フォーティナイナー内包馬の成績(過去9年)>
該当馬【3-1-2-9】
勝率20.0%/連対率26.7%/複勝率40.0%/単回収率101%/複回収率195%

他ではRobertoやDanzigなどの機動力に優れた血統がスプリンターズSで活躍しています。特に、これらの血は内枠で持ち味を生かす形がベストのため、内枠を引いた該当馬には要注目です。

一昨年の勝ち馬ジャンダルムは母母父にDanzigを持ち、4代前にRobertoの血も併せ持つ配合形。1枠2番からロスなく立ち回って抜け出した競馬っぷりは、まさにこの血統らしいスプリンターズSにピッタリの走りでした。

血統別成績(1~4枠、過去9年),ⒸSPAIA


<血統別成績(1~4枠、過去9年)>
Roberto内包【3-3-4-12】
勝率13.6%/連対率27.3%/複勝率45.5%/単回収率138%/複回収率155%
Danzig内包【3-3-2-16】
勝率12.5%/連対率25%/複勝率33.3%/単回収率125%/複回収率82%


有力馬の血統を解説

サトノレーヴ
母チリエージェは芝とダートの1400m以下で5勝を挙げたサクラバクシンオー産駒のスプリンターで、繁殖牝馬としても2013年スプリンターズS2着馬ハクサンムーン(父アドマイヤムーン)を輩出しています。ロードカナロア産駒の本馬も短距離路線で頭角を現してきましたが、柔軟で末脚の伸びにも優れる父の産駒は中山芝1200mよりも中京芝1200m向き。先行力があるため苦手とする舞台ではないものの、相対比較では評価がやや下がります。

ママコチャ
母母シラユキヒメに遡る白毛一族で、母ブチコはダ1800mで4勝を挙げたダート中距離馬。本馬の父クロフネはカレンチャンというスプリント女王を出しており、シラユキヒメ牝系のクロフネ産駒にはマイルGⅠ・3勝馬ソダシがいます。マイラー寄りの配合形ではありますが、スタートセンスや機動力を武器に昨年のスプリンターズSを制覇。夏場に調子を上げるタイプでもあり、今年も楽しみな一頭です。

ウインマーベル
父アイルハヴアナザーは米クラシック二冠馬で、今年の登録馬では唯一のフォーティナイナー系産駒です(除外対象のモリノドリームは母父がフォーティナイナー系)。スプリントGⅠでは先行力で劣るものの、父はDanzigの4×4など機動力に優れた配合形で、頭の高い走りをする本馬も馬群を捌くことは得意。2022年の2着馬でもあり、内枠を引ければ再度の好走があっても不思議はない血統注目馬です。

2024年スプリンターズSの有力馬と評価,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。2023年11月には本島修司氏との共同執筆で『競馬の最高戦略書 予想生産性を上げる人の取捨選択の技術』(主婦の友社)を出版。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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