3つのファクターから推奨馬を見つけ出す
今回は9月28日(土)中京競馬場で行われるシリウスSについて下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。
・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走内容」
・適性と素質を知るための「血統評価」
特別登録のあった17頭を検討対象とし、過去10年データを使用する。
今回は9月28日(土)中京競馬場で行われるシリウスSについて下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。
・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走内容」
・適性と素質を知るための「血統評価」
特別登録のあった17頭を検討対象とし、過去10年データを使用する。
シリウスSは秋競馬になって初めてのJRA・ダート中距離重賞。すでに重賞で実績のある馬、3勝クラスから重賞初挑戦してくる馬など、様々なクラスから出走してくる。
そこで、主な前走クラス別成績を見ていく。まず今回が昇級戦となる3勝クラス組。成績は【1-2-0-8】で複勝率27.3%、複勝回収率は70%となっている。昇級戦としてはまずまずの成績だが、やはり重賞の壁に跳ね返されることが多い印象だ。
続いて重賞組。GⅢは【2-3-3-26】で複勝率23.5%、単勝回収率27%、複勝回収率44%。かなり低調な成績で、GⅡにおいては【0-0-0-3】と一頭も複勝圏内に入っていない。一方、好成績なのはOP・L組と地方組。OP・L組は【3-5-6-64】で複勝率こそ17.9%も、単勝回収率は109%と好調だ。
ここはデータを深掘りする。ピックアップするデータは前走着順。前走OP・Lで1着だった馬は【2-3-2-9】、勝率12.5%、連対率31.3%、複勝率は43.8%まで跳ね上がり複勝回収率は72%となる。これは積極的に狙っていきたいデータだ。
最後に地方組を見ていく。成績は【4-0-1-12】で勝率23.5%、複勝率29.4%、単勝回収率125%と数値上は圧倒的だ。ただ掘り下げるとJDD組が2勝、帝王賞組が1勝といずれも前走がJpnⅠとレベルが高い。今年はエナハツホが門別競馬場で開催されたブリーダーズゴールドカップから参戦するがこれは厳しいだろう。
メンバー的にはオメガギネス、ハギノアレグリアス、ハピという重賞実績が豊富な3頭に、連勝中で勢いのあるロコポルティが加わるという人気になることが予想される。出走登録馬の中で前走OP・Lを勝利しているのは、オメガギネスとロコポルティだけ。この2頭には注目したい。
【前走OP・L勝ちの出走予定馬】
・オメガギネス
・ロコポルティ
オメガギネスの前走は三宮S1着。このレースは京都ダート1800mという条件ながら、レースラップを見ると前半5Fを59.8秒で入っている。当日の馬場状態は稍重だったが、さすがにダート中距離で1000m通過が1分を切るというのはオーバーペースだ。
オメガギネスは最内枠からスタートして、中団やや前の位置に付けた。その後バックストレッチでポジションを上げて、3番手あたりで3コーナーに進入した。同馬がポジションを上げたあたりのラップは12秒台前半で、決して楽に上がっていったわけではないだろう。
展開的には完全に後ろ有利。そんな中で掲示板に載った先行馬は1着の本馬と2番人気3着のデシエルトのみ。2、4、5着は9、14、8番人気と人気薄の差し馬たちだった。
オメガギネスは展開不利のなか、2着に7馬身差をつけての大勝。これは格の違いといえる。1.8倍の1番人気だったがそれでも妙味があると思えるくらい力が違った。今回も上位人気が予想されるが、それでも前走よりオッズはつきそう。ただメンバー的には本馬の地力が一枚上だ。
・オメガギネス
日本での牝祖は三代母ホワイトウォーターアフェア。同馬は競走馬としても重賞勝ちのある実績馬だったが、繁殖牝馬としても優秀でご存知の方も多いだろう。産駒には安田記念勝ち馬のアサクサデンエン(父シングスピール)、小倉記念勝ち馬で天皇賞(秋)2着のスウィフトカレント(父サンデーサイレンス)、そしてドバイWCや有馬記念などGⅠ・3勝のヴィクトワールピサ(父ネオユニヴァース)を輩出した名繁殖だ。
本馬の祖母アスタラビクトリアは父がネオユニヴァースでヴィクトワールピサの全妹にあたる。その後ハービンジャーをつけられたのが母スタートアップ。そこにロゴタイプをつけてオメガギネスという流れになっている。
ファミリーの特徴は持続性能の高さとパワーがあげられる。活躍馬は芝に多いが、ヴィクトワールピサが芝GⅠだけでなくドバイWCを制したようにパワーも備えている。また持続性能に関してはスウィフトカレントの競馬が分かりやすく、小倉記念も道中から動いてそのまま長く良い脚を使って勝利した。同様に、オメガギネス自身も持続性能は高い。
本馬は父がロゴタイプ。サンデーサイレンスの3×4という組み合わせも、気性の悪さはなく操縦性が高いタイプ。また母父ハービンジャー産駒によく見られる「寝た繋ぎ」という特徴はなく、ダートに適した脚元だ。
持続性能の高さはハービンジャーやロゴタイプから受け継いでいる。スパイラルカーブで直線が長い中京競馬場で求められる「操縦性」と「持続性能」を血統的にもクリアしており、ここは最高の舞台だろう。
今回のCアナライズはオメガギネスを推奨する。先週の神戸新聞杯はショウナンラプンタを推奨して4番人気3着。人気以上の結果だったが、執筆時点では5~7番人気を想定していただけに、競馬ファンの予想力の高さには驚いた。
今週は1番人気になる可能性が高いオメガギネスから。とは言っても想定オッズは2倍台後半の予想。まず好走データである「前走OP・L勝ち」に該当している点が好材料。加えてその前走内容も素晴らしかった。そして血統的にも中京ダート1900mはベストに近い条件だ。
中京コースは初めても、東京のグリーンチャンネルCを勝利しており、左回りに対して不安はない。近2走はOPで好走しているが、本来は重賞を複数回制して、GⅠでも好勝負できるだけの素質馬。Cアナライズでは重要データ、前走内容、血統の全てが満点の本馬を本命とする。
【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。
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