「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

【シリウスS】「人気馬」「4歳」が信頼度高い 満を持して登場のオメガギネスは負けられない

2024 9/22 17:30勝木淳
過去10年のデータから見るシリウスステークス,ⒸSPAIA
このエントリーをはてなブックマークに追加

ⒸSPAIA

冬の大三角とダート重賞

全天体のなかで太陽に次ぐ明るさを誇るシリウスは、北半球から観測できる星としては地球にもっとも近い。といってもその距離は8.6光年なので、約81.7兆km。時速100kmで進むと、約9,000万年もかかる。

大ヒット中のエイリアンシリーズでお馴染みのコールドスリープを使ったとしても、必要な燃料を積みきれないだろう。

話は逸れたが、途方もない距離でも地球に近いシリウスは冬の大三角をつかさどる。残る2つはベテルギウスとプロキオン。競馬ファンには聞き馴染みがある天体ばかりだ。

9月に冬の星とは粋ではないが、これはそもそもシリウスSが1997年12月の阪神で行われたことに由来する(重賞昇格前なら90年以降)。

ベテルギウスSは2000年から23回行われ、すべて暮れの阪神開催。プロキオンSは96年第1回~99年第4回が4月で、以後、6、7月に施行されている。

冬の大三角なのに、冬と関係ないのはシリウスSではなく、じつはプロキオンSだったりする。中京ダート1900mで行われたのは3回だけ。このダート1900mのオープン以上のデータも乏しく、今回はあえて過去10年データを使う。

人気別成績,ⒸSPAIA


ハンデ戦ではあるが、賞金加算のチャンスが少ないダートでは各馬、意欲が高い。1番人気【4-1-0-5】勝率40.0%、複勝率50.0%をはじめ4番人気以内が8勝と上位人気への信頼度は高い。

妙味は7番人気【0-3-2-5】複勝率50.0%あたりか。大穴は期待できないものの、組み合わせ次第で高配当もある。

年齢別成績,ⒸSPAIA


ここはハンデ戦らしく、3歳【2-2-0-8】勝率16.7%、複勝率33.3%、4歳【3-0-3-21】勝率11.1%、複勝率22.2%と、勝率の面では比較的実績が乏しくハンデが抑えられる若い組がいい。

といっても今年から3歳は三冠最終戦ジャパンダートクラシックが翌週にあり、ここは今後、数字も変化するだろう。

5歳【3-5-3-35】勝率6.5%、複勝率23.9%らダートの主力世代は実績馬であれば、当然重いハンデを課せられてしまう。ここに賞金加算へ意欲を燃やす4歳がどこまで対抗できるか。今年もそういった図式になる。


夏を休んだオメガギネス

OP2勝の4歳オメガギネスにとって、この秋から冬の大舞台を目指すうえで勝利は必須。壁となるのは5歳ハピ、昨年の覇者ハギノアレグリアスあたりか。ダート重賞常連組を倒し、その先をみたい。

前走クラス別成績,ⒸSPAIA
前走GⅢ・レース別成績,ⒸSPAIA


前走地方は【4-0-1-12】勝率23.5%、複勝率29.4%だが、帝王賞【1-0-1-2】、今年からなくなったジャパンダートダービー【2-0-0-4】など交流でもGⅠ級が目立つ。ただし、該当馬がいない。

となると、前走JRAのGⅢ【2-3-3-26】勝率5.9%、複勝率23.5%が有力だ。レース内訳はエルムS【1-1-1-8】勝率9.1%、複勝率27.3%、プロキオンS【1-0-0-4】勝率、複勝率20.0%、平安S【0-1-2-8】複勝率27.3%となっている。

プロキオンSは今年小倉ダート1700mだったが、同条件だった(2021、21年)場合は【1-0-0-3】。21年サンライズホープがプロキオンS6着から巻き返した。4着ハピは2走前の平安S2着。距離延長はのぞむところだ。

エルムSは4着以内【1-1-0-1】、6着以下【0-0-1-7】。6着ヴィクティファルスは近走大きな着順も目立っており、データもあわせてここも苦戦を強いられそうだ。

平安Sも5着以内【0-1-2-1】、6着以下【0-0-0-7】。7着ハギノアレグリアスは前年に勝ったことでハンデを背負うはず。強気になれない。

前走OP/L・間隔別成績,ⒸSPAIA


前走OP/L【3-5-6-64】勝率3.8%、複勝率17.9%だが、ハンデも恵まれる可能性が高く、軽視できない。

ここはレース間隔に注目する。中4~8週【1-3-5-27】勝率2.8%、複勝率25.0%とひと開催以上開けるか、中9~24週【1-2-1-15】勝率5.3%、複勝率21.1%と夏をパスして備えてきた組が面白い。

逆に中3週以内と間隔を詰めると【1-0-0-19】。17年メイショウスミトモがラジオ日本賞7着から勝ったのみ。このときは斤量が2kg減っていた。今年は夏を休んだオメガギネス、ロコポルティ、グリューヴルムあたりが好走データに一致する。

オメガギネスは冬の東海S2着。ここは満を持しての出走で負けられない。

過去10年のデータから見るシリウスS,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。

《関連記事》
逃げれば単回収率200%超え、砂の王者は坂井瑠星騎手 東大HCが“ダートに強い騎手”をデータで調査
【競馬】東大HCが中京巧者を徹底検証 ダートはキタサンブラック産駒と外枠の浜中俊騎手に注目
【シリウスS】過去10年のレースデータ