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【京成杯AH】タフなマイル以下はデインヒル内包馬が滅法強い アスコリピチェーノは条件ピッタリ

2024 9/5 06:00坂上明大
2024年京成杯オータムハンデキャップの注目血統,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

傾向解説

サマーマイルシリーズ最終戦の京成杯オータムハンデキャップ。中山芝1600mというやや特殊な条件で行われる一戦であり、2019年にはトロワゼトワルが日本レコードを記録した超高速競馬が特徴の重賞でもあります。本記事では血統面を中心に、京成杯AHのレース傾向を整理していきます。

京成杯AHは中山芝1600mを舞台に行われるハンデ重賞。中山芝1600mは外回りで行われる点が大きな特徴で、スタート直後から下り坂が続くこと、コーナー角が緩やかであることなどがレースの質に大きく影響を与えています。

また、古馬混合の芝1600m重賞が行われる舞台は新潟(外)、東京、中山、中京、京都(外)、阪神(外)の6場ですが、中山以外の5場は直線距離が400m以上あるのに対して、中山競馬場の直線距離は310m。スタート直後から続く下り坂の影響もあり、道中もペースが緩まないワンペースになりやすい点が中山芝1600m重賞の大きな特徴となっています。

<古馬混合芝1600m重賞のコース別平均ラップ(過去10年)>
新潟:35.1-23.4-34.0
東京:34.8-23.4-34.3
中山:34.9-23.1-35.0
中京:34.7-23.3-35.1
京都:34.7-23.7-34.5
阪神:35.2-23.6-34.3

注目の血統に挙げたいのはデインヒル。同馬はヨーロッパとオセアニアを中心に大成功を収めた名種牡馬で、Danzig系らしい非凡なスピード性能を産駒に伝えています。ただ、母父His Majestyから受け継ぐ底力も凄まじいものがあり、タフなマイル以下のレースには滅法強い名種牡馬といえるでしょう。

本レースでも2021年には勝ち馬カテドラルが母父Rock of Gibraltar、3着馬グレナディアガーズが父Frankelと2頭しかいない該当馬が2頭とも馬券圏内。2022年には12番人気のミッキーブリランテ(母父Dansili)が2着と激走。同馬は昨年も11番人気の低評価ながら0.3秒差5着と見せ場十分の競馬をしています。ただ、日本に輸入されたハービンジャーについてはデインヒルらしさが薄いため、取り扱いには注意が必要です。

過去10年のデインヒル内包馬の成績(ハービンジャーを除く),ⒸSPAIA


<過去10年のデインヒル内包馬の成績(ハービンジャーを除く)>
該当馬【1-1-2-8】勝率8.3%/連対率16.7%/複勝率33.3%/単回収率128%/複回収率173%

また、他では同じくヨーロッパとオセアニアを中心に繁栄したFairy King、サンデーサイレンス系種牡馬の中でも格別のスピードと底力を伝えるダイワメジャーなども注目の血統に挙げられるでしょう。

有力馬の血統解説

・アスコリピチェーノ
母母リッスンは2007年フィリーズマイル優勝馬で、母アスコルティの弟妹にはタッチングスピーチやサトノルークスなどがいます。さらに、母はデインヒル系Danehill Dancer産駒で、繁殖牝馬としてはアスコルターレ(2021年マーガレットS勝ち)などスピードと早熟性に優れた産駒を多く輩出しています。本馬はダイワメジャー産駒でもあり、ワンペースのマイル戦はピッタリの条件。斤量55.5kgは3歳牝馬としてはかなり背負わされましたが、それでも中心視せざるを得ない実力馬でしょう。

ディオ
マイルGⅠ常連のソウルラッシュの3/4同血の弟。兄と同じく母母キャットアリの快速血統を武器にマイル路線で堅実な走りを見せているキングカメハメハ系の芝マイラーです。ただ、本馬はリオンディーズ産駒らしく前向き過ぎる気性が課題。今回も折り合い面がポイントとなりそうです。また、関屋記念はペースも向いただけに、過大評価は禁物でしょうか。

コラソンビート
ウインマリリンなどが出るコスモチェーロ牝系で、本牝系はFair Trialから受け継ぐ機動力が持ち味の一族。母母マイネヒメルは函館芝1800mで3勝、母ルシェルドールも福島芝1800mで2着と好走しており、スワーヴリチャード産駒の本馬も小回り中距離がベスト条件の可能性が高い血統です。堅実なタイプではあるものの、中山芝1600mで古馬相手にどこまで戦えるか。試金石の一戦です。

京成杯AHの有力馬と血統,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。2023年11月には本島修司氏との共同執筆で『競馬の最高戦略書 予想生産性を上げる人の取捨選択の技術』(主婦の友社)を出版。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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