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逃げれば単回収率200%超え、砂の王者は坂井瑠星騎手 東大HCが“ダートに強い騎手”をデータで調査

ダート短距離に強い騎手(過去1年),ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

一年に一回のダート重賞2本立て

今週末は新潟でGⅢレパードS、札幌でGⅢエルムSが開催される。JRAで唯一のダート重賞2本立ての週だ。レパードSにはユニコーンS3着馬ミッキーファイト、エルムSにはドバイWC5着馬で芝とダートの「二刀流」ドゥラエレーデが出走予定。両馬を含め、実力馬たちが秋に向けて賞金を積むことができるのか、注目の一戦となる。

今回は「ダート戦に強い騎手」をテーマにデータを紹介。勝利数で騎手をランキング化する。また、短距離戦(1400m以下)とマイルを含んだ中長距離戦(1500m以上)の2つの区分で行う(参照するデータは2023年8月5日~2024年7月28日の過去1年分)。


逃げ×坂井瑠星騎手は勝率50%超え

ダート短距離戦に強い騎手,ⒸSPAIA


<ダート短距離戦に強い騎手>
坂井瑠星【32-20-21-86】勝率20.1%/連対率32.7%/複勝率45.9%/単回収率91%
川田将雅【30-14-12-26】勝率36.6%/連対率53.7%/複勝率68.3%/単回収率93%
松山弘平【25-28-27-115】勝率12.8%/連対率27.2%/複勝率41.0%/単回収率68%
戸崎圭太【25-16-13-106】勝率15.6%/連対率25.6%/複勝率33.8%/単回収率71%

まずはダート短距離戦について。

トップは32勝で坂井瑠星騎手。逃げた際は【12-1-3-6】勝率54.5%、単回収率244%。1着12回に対して2、3着がわずか4回と、よく勝ち切っている。テンの速い馬に騎乗した時は要マークだ。また、特筆すべきなのが京都ダ1400mでの成績。【14-5-7-26】勝率26.9%、複勝率50.0%、単回収率156%、複回収率104%と、好成績かつ単複ともに100%超えを記録している。

2位は30勝で川田将雅騎手。1番人気では【25-6-7-8】複勝率82.6%という抜群の安定感を発揮。単勝オッズが1倍台だと【14-2-3-1】勝率70.0%、複勝率95.0%。単回収率は113%とプラス域に乗せてくるのだから素晴らしい。人気馬に騎乗する際は逆らわないのが賢明だ。また、中京ダ1400mでは【4-0-0-1】勝率80.0%、単回収率202%と優秀な成績。今夏の中京開催でも信頼したい。

3位は松山弘平騎手。距離短縮の馬で妙味がアップするのが特徴だ。前走と同距離だと勝率11.7%、単回収率54%、距離延長だと勝率6.9%、単勝回収率82%だが、距離短縮では勝率18.6%、単回収率95%にまで上昇する。さらに、前走逃げ×距離短縮だと【7-1-0-8】勝率43.8%、単勝回収率276%と抜群。コース別成績では、東京ダ1400m【2-1-1-7】勝率18.2%、単回収率127%や、阪神ダ1200m【6-1-2-14】勝率26.1%、単回収率112%が狙い目だ。

4位は戸崎圭太騎手。外枠での信頼度が高く、特に8枠では【8-2-1-11】勝率36.4%、単回収率129%と、信頼度、妙味のいずれも格段にアップする。また、東京コースでの勝率が高いのだが、東京ダ1400mが【10-4-3-30】勝率21.3%なのに対し、東京ダ1300mでは【1-1-1-12】同6.7%と控えめになっている。比較的差しが決まる1400mと先行有利の1300mで明暗が分かれている点に注意したい。東京ダ1400mでは「前走差し」の馬に騎乗すると【5-1-1-11】勝率27.8%、単回収率185%と数字が良くなる点がツボだ。


戸崎騎手、松山騎手は先行できるかがカギ

ダート中長距離戦に強い騎手,ⒸSPAIA


<ダート中長距離戦(マイルを含む)に強い騎手>
坂井瑠星【39-23-19-124】勝率19.0%/連対率30.2%/複勝率39.5%/単回収率86%
ルメール【36-23-15-57】勝率27.5%/連対率45.0%/複勝率56.5%/単回収率81%
松山弘平【33-25-21-139】勝率15.1%/連対率26.6%/複勝率36.2%/単回収率77%
戸崎圭太【31-26-26-106】勝率16.4%/連対率30.2%/複勝率43.9%/単回収率49%

次にダート中長距離戦(マイルを含む)について。調査対象は1500m以上のダート戦だ。

トップは短距離と同じく坂井瑠星騎手。こちらも逃げた際の信頼度が高く、【11-3-1-12】で勝率40.7%、単回収率236%、複回収率132%と妙味も十分。逃げの坂井瑠星騎手は距離を問わず買いである。調教師別成績では大久保龍志調教師とのコンビが狙い目。【7-0-2-6】で勝率46.7%、単勝回収率196%。勝利を挙げた馬はすべて3〜4歳の牡馬であり、引き続き要注目である。一方、師弟関係にある矢作芳人調教師とのコンビでは【7-5-2-24】で勝率18.4%、単回収率45%。やや過剰人気であることは覚えておきたい。

2位はC.ルメール騎手。短距離部門2位の川田騎手と入れ替わる形となった。外枠、特に8枠での信頼度が高く【7-3-1-4】で勝率46.7%、単回収率150%。一方、1枠では【1-2-2-9】で勝率7.1%、単回収率15%と、勝ちきれない。競馬場別では、東京【21-13-9-25】勝率30.9%、京都【3-2-0-2】勝率42.9%、新潟【1-1-0-2】勝率25.0%で、この3場の単回収率が90%超と狙い目となっている。やはり東京の大箱コースで安定感が光る。東京では距離短縮だと【9-4-1-10】で勝率37.5%、単回収率133%と、より好成績だ。一方数字を落としているのが、札幌【2-2-0-7】単回収率38%、阪神【2-1-2-6】単回収率38%の2場。ルメール騎手に逆らうなら内枠に入った場合やこの2場に出走した際だろう。

3位は松山弘平騎手。短距離よりもやや妙味がアップしている。実績のほとんどが逃げ、先行馬に集中しているのが特徴。差し、追込馬では【1-5-9-87】で勝率1.0%、単回収率2%と苦戦が続いており、後方からの馬に騎乗する際は大きな割引が必要だ。一方、前目につけられた場合の成績は一級品。逃げ、先行では【31-20-12-51】で勝率27.2%、単回収率142%、複回収率124%をマークしている。とにかく先行できそうな時に狙っていきたい。これに関連して、ポジションを取りやすい距離延長の馬では【12-6-7-43】で勝率17.6%、単回収率105%と黒字域だ。

4位は戸崎圭太騎手。こちらは短距離に比べて単回収率を大きく落としている。松山騎手と同様、前目につけられそうな時が狙い目で、逃げ、先行馬では【29-16-14-33】勝率31.5%、単回収率97%とプラス域に迫る。対して、差し、追込では【2-10-12-73】で勝率2.1%、単勝回収率4%である点は注意したい。前走逃げた馬では【6-3-1-6】複勝率62.5%、複回収率105%と優秀な値を記録しているように、テンが速く前目のポジションを取りやすい馬を狙いたい。

ライタープロフィール
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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