イメージとの乖離は思った以上にある
この仕事をしていると毎日のように数字と向き合う機会がある。そうすると、イメージ以上に数字の乖離が大きいことに気が付くことも多々ある。例えば洋芝巧者だったつもりの種牡馬の産駒成績が実は奮っていなかった、などがイメージしやすいだろうか。
今週は現在開催中の札幌開催にフォーカスをあて、狙い目のジョッキーと種牡馬の産駒を確認していきたい。なお、データは過去5年(2019年7月1日から2024年7月26日)を使用する。
この仕事をしていると毎日のように数字と向き合う機会がある。そうすると、イメージ以上に数字の乖離が大きいことに気が付くことも多々ある。例えば洋芝巧者だったつもりの種牡馬の産駒成績が実は奮っていなかった、などがイメージしやすいだろうか。
今週は現在開催中の札幌開催にフォーカスをあて、狙い目のジョッキーと種牡馬の産駒を確認していきたい。なお、データは過去5年(2019年7月1日から2024年7月26日)を使用する。
まずは芝レースでの騎手の勝率に注目してみていこう。ここでは100回以上騎乗して10勝以上している騎手をランキングしていく。
<騎手の勝率ランキング>
第1位 C.ルメール【56-46-29-111】勝率23.1%/連対率42.1%/複勝率54.1%
第2位 横山武史【63-36-33-210】勝率18.4%/連対率28.9%/複勝率38.6%
第3位 武豊【32-30-19-130】勝率15.2%/連対率29.4%/複勝率38.4%
第4位 横山和生【25-22-18-140】勝率12.2%/連対率22.9%/複勝率31.7%
第5位 亀田温心【13-5-11-96】勝率10.4%/連対率14.4%/複勝率23.2%
トップは今年、新潟参戦中のC.ルメール騎手。特にこの条件で複勝率は断トツ。スポットで札幌参戦したときは人気でも逆らえない存在だ。2位は横山武史騎手。勝利数はトップ。1800m戦が特に狙い目で【24-8-3-36】勝率33.8%、連対率45.1%、複勝率49.3%でグンと信頼度が増す。これは覚えておきたい特徴だ。
このランキングで一番驚いたのは第5位の亀田温心騎手。正直、数値を出すまで予想もしていなかった。1番人気の騎乗も1回しかないなかでの成績で、単勝回収率162%、複勝回収率124%を記録している。複勝率も23.2%ということは数字上4回に1回程度、馬券に絡む計算になる。穴党は注目しておいてほしい。ただ単勝50倍以上の馬での1着は1度もない。無理な大穴狙いは禁物だ。
芝のレースでは、1200m戦で特に馬券に貢献してくれる騎手が3名いる。
丹内祐次 【13-8-10-75】単勝回収率193%/複勝回収率104%
武豊 【11-12-4-34】単勝回収率103%/複勝回収率83%
C.ルメール 【14-8-4-26】単勝回収率101%/複勝回収率88%
芝1200m戦は138レース行われているが、上記3人が50回以上騎乗し10勝以上あげ、かつ単勝回収率が100%を超えている騎手だ。
トップは北海道函館市出身の丹内祐次騎手。単勝オッズ30.0~49.9倍の馬で【4-0-0-5】と活躍しているため、数字が大きく跳ねている。単勝オッズ50倍以上になると【0-0-0-23】と全く奮っていないので、こちらも無理な大穴狙いというよりは中穴で狙いたい存在だ。
武豊騎手とC.ルメール騎手はこの条件のときは単勝回収率が100%オーバー。人気馬に騎乗しているときも逆らわずに狙いたい。
次にダートレースでの勝率に注目してみたい。芝レース同様、100回以上騎乗して10勝以上あげている騎手をランキングしていく。
第1位 C.ルメール【28-13-9-62】勝率25.0%/連対率36.6%/複勝率44.6%
第2位 横山武史【30-26-23-141】勝率13.6%/連対率25.5%/複勝率35.9%
第3位 池添謙一【16-10-22-78】勝率12.7%/連対率20.6%/複勝率38.1%
第4位 横山和生【18-18-15-97】勝率12.2%/連対率24.3%/複勝率34.5%
第5位 吉田隼人【19-14-9-117】勝率11.9%/連対率20.8%/複勝率26.4%
芝のレースと同じく、率はC.ルメール騎手、1着数は横山武史騎手がトップ。ちなみに武豊騎手は100回未満の騎乗数でランキング入りこそしていないが【23-15-10-49】勝率23.7%、連対率39.2%、複勝率49.5%。芝レースよりも10%近く成績が向上していた。ダートで特に注目したいのは1700m戦で馬券に貢献してくれる騎手3名だ。
横山和生 【15-16-14-73】単勝回収率236%/複勝回収率105%
武豊 【18-12-9-38】単勝回収率154%/複勝回収率118%
丹内祐次 【12-23-17-130】単勝回収率104%/複勝回収率101%
ダート1700m戦は期間中に241レース行われたが、上記3名が50回以上騎乗して10勝以上をあげ、かつ単勝、複勝回収率100%を超えている騎手だ。トップは札幌で安定した成績を残している横山和生騎手。ダート戦では18勝をあげているが、実に15勝を1700m戦であげている。二桁人気でも2勝しており、積極的に狙いたい。気を付けたいのは1番人気時だ。【2-7-3-7】と勝ちきれず、本命党は注意が必要だ。武豊騎手と丹内祐次騎手は芝1200m戦の特集に続いての登場。この条件でも馬券には絡めておきたい数字を記録している。
次は種牡馬別の成績も見ていく。産駒が100回以上出走して10勝以上している種牡馬でランキング化してみた。
1位 ドゥラメンテ産駒【24-9-15-87】勝率17.8%/連対率24.4%/複勝率35.6%
2位 キングカメハメハ産駒【20-10-6-92】勝率15.6%/連対率23.4%/複勝率28.1%
3位 キズナ産駒【22-6-16-117】勝率13.7%/連対率17.4%/複勝率27.3%
4位 ジャスタウェイ産駒【12-11-9-79】勝率10.8%/連対率20.7%/複勝率28.8%
5位 エピファネイア産駒【16-14-12-115】勝率10.2%/連対率19.1%/複勝率26.8%
6位 ロードカナロア産駒【25-26-20-179】勝率10.0%/連対率20.4%/複勝率28.4%
上記6頭の種牡馬の産駒が勝率10.0%以上となっている。勝利数が27勝でトップだったディープインパクト産駒は勝率8.8%、洋芝巧者のイメージが強かったハービンジャー産駒は24勝も勝率8.1%でランク外となった。
ここでは、1位ドゥラメンテ産駒の距離別成績を詳しく見ていく。
1200m 【1-2-2-13】勝率5.6%/連対率16.7%/複勝率27.8%
1500m 【2-0-2-20】勝率8.3%/連対率8.3%/複勝率16.7%
1800m 【9-3-4-16】勝率28.1%/連対率37.5%/複勝率50.0%
2000m 【6-2-4-32】勝率13.6%/連対率18.2%/複勝率27.3%
2600m 【6-2-3-6】勝率35.3%/連対率47.1%/複勝率64.7%
距離は長い方が成績はいい傾向にあるが、不思議と2000m戦でガクッと率が下がっている。1800m戦と比べると実に半分近くにまで落ち込んでいる。札幌記念の舞台だけに出走馬がいたときは注意したい。
最後にダート戦は産駒が80回以上出走して10勝以上している種牡馬の産駒でランキング化してみた。
1位 サウスヴィグラス産駒【15-7-10-52】勝率17.9%/連対率26.2%/複勝率38.1%
2位 ヘニーヒューズ産駒【21-15-9-97】勝率14.8%/連対率25.4%/複勝率31.7%
3位 マジェスティックウォリアー産駒【11-10-13-52】勝率12.8%/連対率24.4%/複勝率39.5%
4位 ハーツクライ産駒【10-11-8-55】勝率11.9%/連対率25.0%/複勝率34.5%
5位 シニスターミニスター産駒【11-14-4-74】勝率10.7%/連対率24.3%/複勝率28.2%
特筆すべきはマジェスティックウォリアー産駒。同期間の同産駒のダート全国平均の勝率8.1%、連対率16.0%、複勝率23.8%から大きくジャンプアップしている。単勝回収率155%、複勝回収率128%と回収率でも優秀。出馬表で見つけたときはぜひ、馬券検討に加えて欲しい種牡馬だ。
《ライタープロフィール》
高橋楓。秋田県出身。
サクラローレルの馬体の美しさに魅せられて競馬の世界に惹きこまれる。他に好きな馬はホクトベガ、サイレンススズカ。一口馬主を趣味とし、楽しさを伝えることにも注力している。競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』にてライターデビュー。競馬、ボートレースの記事を中心に執筆している。
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