コース紹介
2024年7月14日に函館芝2000mコースでGⅢ函館記念が開催される。この夏の函館開催を締めくくる一戦で、巴賞を2馬身差で制したホウオウビスケッツや2度のGⅡ・2着があるサヴォーナ、GⅡ・AJCC覇者のチャックネイト、9ヶ月ぶりの復帰戦となるトップナイフなど、粒揃いのメンバーが揃った。
当該コースの重賞は函館記念1レースのみ。今週は函館芝2000mについてデータ分析を行っていく(使用するデータは2019年7月13日~2024年7月7日の過去5年分)。
最初にコースを紹介する。4コーナー奥のポケットからスタートし、正面スタンド前の直線半ばまでは下り坂。1コーナーまでの距離は約475mとなっている。1コーナー手前から2コーナーにかけては緩やかな下り坂で、向正面直線は緩やかな上り坂。3~4コーナーはスパイラルカーブで、途中から最後の直線半ばにかけては再び下り坂となっている。今年の函館記念が行われるBコースでは、最後の直線は262.1m。また、ゴール前こそ平坦だが、コース全体の高低差は3.5mと大きい。
基本は内枠、先行
<函館芝2000m・過去5年の枠別成績>
1枠【11-7-8-71】勝率11.3%/連対率18.6%/複勝率26.8%/単回率87%/複回率82%
2枠【15-10-6-68】勝率15.2%/連対率25.3%/複勝率31.3%/単回率306%/複回率114%
3枠【4-10-8-85】勝率3.7%/連対率13.1%/複勝率20.6%/単回率14%/複回率56%
4枠【9-8-15-81】勝率8.0%/連対率15.0%/複勝率28.3%/単回率80%/複回率90%
5枠【12-15-10-86】勝率9.8%/連対率22.0%/複勝率30.1%/単回率47%/複回率94%
6枠【13-6-9-102】勝率10.0%/連対率14.6%/複勝率21.5%/単回率107%/複回率80%
7枠【8-12-12-101】勝率6.0%/連対率15.0%/複勝率24.1%/単回率137%/複回率104%
8枠【4-9-8-123】勝率2.8%/連対率9.0%/複勝率14.6%/単回率18%/複回率46%
枠別成績から見ていく。複勝率ベースでは内枠の成績が良く、大外の8枠の成績が他と比べ格段に落ちている。小回りコースらしく、内枠からロスなく立ち回る競馬がベストで、外々を回すロスは想像以上にマイナスのようだ。
過去10回の函館記念でも同様に内枠有利だった。1~5枠が【8-9-7-75】で複勝率24.2%に対して、6~8枠は【2-1-3-54】で同10.0%。データから軸馬は内枠から選ぶのが無難といえる。ただ7、8枠は【1-1-3-35】ながら単勝回収率193%、複勝回収率146%とプラス域。20年アドマイヤジャスタ(15番人気1着)や21年バイオスパーク(12番人気3着)など超のつく人気薄が馬券に絡んでおり、紐からは外せない。
<函館芝2000m・過去5年の脚質別成績>
逃げ【15-10-10-46】勝率18.5%/連対率30.9%/複勝率43.2%/単回率399%/複回率175%
先行【31-34-24-170】勝率12.0%/連対率25.1%/複勝率34.4%/単回率111%/複回率106%
差し【21-21-27-243】勝率6.7%/連対率13.5%/複勝率22.1%/単回率70%/複回率67%
追込【3-4-12-244】勝率1.1%/連対率2.7%/複勝率7.2%/単回率13%/複回率32%
マクリ【6-8-3-13】勝率20.0%/連対率46.7%/複勝率56.7%/単回率108%/複回率225%
次に脚質別成績について。小回りコースらしく逃げ、先行が圧倒的に有利。マクリも決まりやすい。いずれも単複回収率100%オーバーとなっている。
過去10回の函館記念では、逃げ【2-0-1-8】複勝率27.3%、先行【5-4-5-19】同42.4%、差し【2-4-2-54】同12.9%、追込【0-1-2-47】同6.0%、マクリ【1-1-0-1】同66.7%。似たような傾向で、特に、先行やマクリの好走率が目立っている。
ハービンジャー産駒や横山武史騎手が抜群
<函館芝2000m・過去5年の産駒別成績>
ハービンジャー【9-5-5-48】勝率13.4%/連対率20.9%/複勝率28.4%/単回率110%/複回率74%
ハーツクライ【5-2-7-43】勝率8.8%/連対率12.3%/複勝率24.6%/単回率48%/複回率78%
ジャスタウェイ【5-2-2-13】勝率22.7%/連対率31.8%/複勝率40.9%/単回率443%/複回率131%
産駒別成績ではハービンジャーの仔たちが9勝でトップ。次点のハーツクライらに4勝以上の差をつけており得意舞台と言える。距離延長がハマりやすく【7-2-1-17】勝率25.9%、単勝回収率218%と非常に優秀だ。
2位はハーツクライ。単勝回収率は50%を割っており、ハービンジャーと比べて妙味は薄い。6月【4-1-4-12】勝率19.0%、単勝回収率108%に対して、7月【1-1-3-28】勝率3.0%、単勝回収率15%。開催後半の荒れた馬場よりも、開催序盤の綺麗な馬場の方が得意だ。
3位はハーツクライの仔ジャスタウェイの産駒。単勝回収率400%オーバーという、見かけたら即買い級の激アツ産駒だ。特に4歳は【3-1-1-4】で勝率33.3%、単勝回収率997%。4歳で覚醒し、天皇賞(秋)を勝利した父を彷彿とさせるデータとなっている。
今週末の函館記念では、エミュー、グランディアがハービンジャー産駒、チャックネイトがハーツクライ産駒に該当。ほかでは、ホウオウビスケッツの該当するマインドユアビスケッツ産駒が【1-0-0-0】、サヴォーナの該当するキズナ産駒が【4-3-1-26】勝率11.8%、単勝回収率245%、デビットバローズの該当するロードカナロア産駒が【1-2-1-14】勝率5.6%となっている。
<函館芝2000m・過去5年の騎手別成績>
横山武史【11-7-11-29】勝率19.0%/連対率31.0%/複勝率50.0%/単回率106%/複回率102%
藤岡佑介【7-2-5-26】勝率17.5%/連対率22.5%/複勝率35.0%/単回率97%/複回率92%
丹内祐次【6-8-3-45】勝率9.7%/連対率22.6%/複勝率27.4%/単回率68%/複回率80%
最後に騎手別成績を見る。トップは11勝で横山武史騎手。複勝率50.0%という安定感があり、単複回収率はプラスだ。積極的に頼っていきたい。特に未勝利戦では【8-3-7-9】で勝率29.6%、単勝回収率136%と信頼度が高い。一方、重賞では【0-0-0-5】と馬券に絡めていない。
2位は7勝で藤岡佑介騎手。こちらも下級条件での信頼度が高く、未勝利戦【4-1-3-11】勝率21.1%、単勝回収率136%、1勝クラス【3-1-1-6】勝率27.3%、単勝回収率118%とプラス域を記録。また、末脚を生かす騎乗に長けており、前走差しに回った馬に騎乗した際は【4-1-4-10】で勝率21.1%、単勝回収率136%とこちらも黒字条件だ。
3位は6勝で丹内祐次騎手。藤岡佑介騎手とは対照的に先行策を得意としており、前走先行した馬では【3-2-1-13】勝率15.8%、単勝回収率102%とプラス。函館記念では19年に9番人気マイネルファンロンで2着と好走した。
今週末の函館記念ではエンパイアウエストに横山武史騎手、サンストックトンに藤岡佑介騎手、マイネルクリソーラに丹内祐次騎手が騎乗予定。ホウオウビスケッツに騎乗予定の岩田康誠騎手は【2-3-4-20】勝率6.9%、サヴォーナに騎乗予定の池添謙一騎手は【2-4-2-19】同7.4%、デビットバローズに騎乗予定の武豊騎手は【6-4-5-21】同16.7%、チャックネイトに騎乗予定の佐々木大輔騎手は【3-3-2-16】同12.5%となっている。
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
《関連記事》
・【函館記念】チャックネイトやハヤヤッコは消し ハイブリッド式消去法
・【函館記念】開催最終週は時計よりスタミナ重視 好走馬多数の「前走・天皇賞(春)組」、4歳馬サヴォーナに熱視線
・【函館記念】過去10年のレース結果一覧