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【プロキオンS】22年覇者ゲンパチルシファーに二つの好データ 複勝率100%の得意舞台で復活Vへ

2024 7/4 06:00坂上明大
2024年プロキオンステークスの注目血統,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

傾向解説

2021、22年と同じく小倉ダ1700mを舞台に行われるプロキオンS。過去10年の中京ダ1400mで行われた本レースは三連単の最高配当が55,100円と堅い決着ばかりですが、小倉ダ1700mで行われた2022年は三連単719,650円、2021年には三連単1,944,140円の大波乱となりました。

小回りコースらしい紛れの多い競馬になりやすく、同コースで行われる今年も波乱の決着が予想されます。本記事では血統面を中心に、プロキオンSのレース傾向を整理していきます。

まず紹介したいデータは前走クラス別成績。波乱の多い小倉ダ1700mでのプロキオンSですが、意外にも前走のクラス別ではダート重賞のセオリー通り、格の高いレースからのローテーションの馬の好走が目立ちます。特にJRAのGⅡ、GⅢからのローテーションの馬は6頭中3頭が好走するハイアベレージを記録しており、3頭ともが前走15着以下からの巻き返しでした。

夏競馬らしく上がり馬に人気が集まりやすい傾向にあるため、他のダート重賞以上に前走の格を重視した方がよさそうです。

前走クラス別成績,ⒸSPAIA


<前走クラス別成績>
3勝クラス【0-0-0-1】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率0.0%/単回収率0%/複回収率0%
OP・L【1-0-2-17】勝率5.0%/連対率5.0%/複勝率15.0%/単回収率35%/複回収率107%
GⅢ【1-1-0-3】勝率20.0%/連対率40.0%/複勝率40.0%/単回収率396%/複回収率434%
GⅡ【0-1-0-0】勝率0.0%/連対率100%/複勝率100%/単回収率0%/複回収率1650%
GⅠ【0-0-0-1】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率0.0%/単回収率0%/複回収率0%
地方【0-0-0-4】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率0.0%/単回収率0%/複回収率0%

血統面ではNureyev≒Sadler's Wellsが大活躍。2021年はトップウイナーが14番人気2着、メイショウウズマサが12番人気3着、2022年はゲンパチルシファーが4番人気1着、サクラアリュールが12番人気3着と人気薄での好走馬が続出しています。

特にトップウイナーはNureyev≒Sadler's Wellsの3×4、ゲンパチルシファーは父がトゥザグローリー(Nureyevの4×3)、サクラアリュールはNureyevの3×3を持っており、同血脈を増強した配合馬には要注目です。

Nureyev、Sadler's Wells内包馬,ⒸSPAIA


<Nureyev、Sadler's Wells内包馬成績(2021、22年)>
Nureyev【1-1-2-9】勝率7.7%/連対率15.4%/複勝率30.8%/単回収率53%/複回収率292%
Sadler's Wells【0-1-0-5】勝率0.0%/連対率16.7%/複勝率16.7%/単回収率0%/複回収率275%


血統解説

ヤマニンウルス
母はMr. Prospectorの4×3やNorthern Dancerの5×5・4などスピード豊富。ここにHyperionの血を豊富に持つ父ジャスタウェイでスタミナを補強した配合形。馬体重500キロを優に超す巨漢馬でもあり、ダート中距離の先行粘着型として新馬戦時から大きな期待を背負っている素質馬です。母母父ジェイドロバリーの母NumberはNureyevの3/4同血の妹で、薄く血統傾向もクリア。ただ、昇級戦かつ多頭数替わりはハードルが高いことから、1番人気を背負うのは少々酷かもしれません。

ハピ
3歳時にチャンピオンズCで3着に入った実績馬。久々にダートに戻した前走の平安Sで2着と好走しており、それでいて斤量57キロは恵まれ過ぎた条件。母父キングカメハメハを通してNureyevの血を5代前に1本持つだけのため血統傾向から推すことは難しいですが、ヤマニンウルスに人気が集中するなら本馬のオッズは実力以上に甘くなりそうです。

ゲンパチルシファー
2つの注目ポイントを満たすのが2022年覇者である本馬。父トゥザグローリーはNureyevの4×3を持っており、本馬自身は小倉ダ1700mで【2-1-2-0】のコース巧者。8歳にはなりましたが、前走のアンタレスSでは上がり3F2位タイの時計を記録しており、展開次第ではまだまだ重賞でも好走する力を秘めています。

2024年プロキオンSの有力馬と評価,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。2023年11月には本島修司氏との共同執筆で『競馬の最高戦略書 予想生産性を上げる人の取捨選択の技術』(主婦の友社)を出版。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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