小牧太騎手とのコンビで5勝
ハンデ戦らしく、波乱含みの一戦としてお馴染みの北九州記念。1800m戦から1200m戦に変わったのは2006年のことで、以降はサマースプリントシリーズのカギを握る戦いとしても親しまれている。
今回はそんな北九州記念の様々な記録を振り返る。なお、期間は小倉芝1800m時代も含めた1986年以降とする。
まずスプリント戦となってからは、追い込み馬が起こした波乱が印象に残る。
ペースや馬場にも左右されるが、2006年以降の上がり3Fタイムを比較すると、34.5秒以内で勝利した15頭のうち11頭は単勝オッズ10倍以上だった。
過去の勝ち馬で、上がり3F33秒台を出した馬は6頭。2012年スギノエンデバーが33.8秒、2015年ベルカントが33.7秒、2011年トウカイミステリーが33.6秒、そして2018年アレスバローズと2022年ボンボヤージが33.5秒で並ぶ。
そして、最も速い上がり3Fタイムを持つ勝ち馬が、2013年に33.4秒を叩き出したツルマルレオンだ。
ハーツクライ産駒のスプリンターで、小牧太騎手との名コンビでも印象に残る。デビューから引退までの23戦でコンビを組んだ騎手は総勢11人いたが、全6勝のうち5勝が小牧騎手とのコンビで、相性の良さが際立った。
また、同馬は3歳シーズンにシンザン記念にも出走していた。2011年の同レースは1着レッドデイヴィスからオルフェーヴル、マルセリーナ、アドマイヤサガス、ドナウブルー、6着のマーベラスカイザーまで、のちに重賞を制する馬が並ぶ「伝説の一戦」だった。
そこで7着だったツルマルレオンも、北九州記念を制して伝説の一戦をさらに彩った。
なお、勝ち馬に限らず歴代で最も速い上がり3Fタイムを繰り出したのが、2013年の4着馬ローガンサファイア。上がり3Fタイムは33.0秒だった。
鞍上は武幸四郎騎手。同騎手は2015年にも、4着馬バーバラとのコンビで歴代2位タイの上がり3F33.2秒を繰り出している。
2011年はプラス18kgとプラス16kgのワンツー
北九州記念は、リピーターの多い一戦としても知られている。2009年に勝利、2010年は3着と善戦したサンダルフォンがその一頭だ。
そして同馬は、北九州記念で馬券圏内に食い込んだ馬の中で最重量の馬体重を誇った一頭でもある。特に8番人気で勝利した2009年は542kgで、前走より8kg増やした中での激走だった。
大幅馬体重増で好走する馬が多いのも、北九州記念の特徴。前走から10kg以上の増加で3着以内に食い込んだ馬はスリープレスナイト(2008年1着、プラス10kg)やモズスーパーフレア(2020年2着、プラス14kg)など10頭いる。
しかも、そのうち8頭は牝馬だった。最も馬体重を増やして馬券圏内に食い込んだのも、2011年の優勝馬にして牝馬のトウカイミステリー。なんと18kg増で後方から差し切った。
その年はサンダルフォンやタマモナイスプレイ、テイエムオオタカといった実力派牡馬が多数参戦していたものの、2着は16kg増の牝馬エーシンリジル、3着は2kg増の牝馬エーシンヴァーゴウと、馬体重を増やした牝馬が上位を独占した。
最後に、リピーターとして最も数多く馬券圏内に食い込んだのが、薔薇一族のロサード。1800m戦時代の2000~2002年にかけて、3年連続で2着に食い込んだ。
こちらは高橋亮騎手、小牧太騎手、芹沢純一騎手と毎年別の騎手とのコンビで好走した。薔薇一族を盛り上げた一頭として愛されるロサードだが、小倉でも強さを見せ続けたのである。
いよいよ本格的な夏競馬が到来。2歳戦や交流重賞なども気になるところだが、各地で行われる重賞の熱戦にも期待したい。
ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。
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