2024年上半期の総決算
日曜日、京都競馬場で宝塚記念が行われる。有馬記念を勝利したドウデュースを始め、昨年の天皇賞(春)覇者で天皇賞(秋)2着のジャスティンパレス、大阪杯の1着ベラジオオペラに2着ローシャムパーク、3着ルージュエヴァイユ、そして3連勝でGⅠ初挑戦のシュトルーヴェら豪華メンバーが集結した。
世界王者イクイノックスが引退した今、新たな中距離戦線の最強を決める一戦となる。しかし今年は京都開催。昨年までの改修の影響で初コースとなる馬もおり、馬券の面では難しいレースになりそうだ。過去10年のデータから馬券のヒントを探っていきたい。
目黒記念、ドバイシーマクラシック組に注目
<宝塚記念の前走レース別成績>
大阪杯【2-2-1-18】勝率8.7%/連対率17.4%/複勝率21.7%
天皇賞(春)【3-3-3-33】勝率7.1%/連対率14.3%/複勝率21.4%
目黒記念【1-0-1-13】勝率6.7%/連対率6.7%/複勝率13.3%
鳴尾記念【1-2-0-15】勝率5.6%/連対率16.7%/複勝率16.7%
ドバイSC【2-1-1-6】勝率20.0%/連対率30.0%/複勝率40.0%
ドバイターフ【0-0-0-2】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率0.0%
※大阪杯はGⅡ時代含む
まずはローテーション別の成績を確認したい。今回5頭が該当する大阪杯組は23年こそ該当馬がいなかったが、19~22年まで4年連続で馬券に絡んでいる。連対率も他路線より比較的高く、GⅠ昇格以降、2着以内馬に絞ると【1-1-1-4】と信頼度も上がる。今年は開催場所が異なるという事情があるものの、前走を重視するならベラジオオペラ、ローシャムパークは押さえておきたい。
反対に今年は同場開催となる天皇賞(春)。過去10年で出走数が最も多いローテーションだ。3勝を挙げており数字はまずまずだが、好走した9頭のうち7頭が2000m以下の重賞で連対経験があった。「長距離戦に出た中距離馬」が狙いの中心となる。前走天皇賞(春)で2~3着の馬は【0-0-0-10】と不振で、2000m以下での実績が函館記念3着くらいのブローザホーン、4年間2000m以下を走っていないディープボンドは厳しい。
目黒記念組は平均12.5番人気と人気薄の出走が多い中、16年マリアライト8番人気1着、18年ノーブルマーズ12番人気3着と穴を輩出している。2頭ともに前走2着で、勝ち馬の出走例はなし。シュトルーヴェは絶好のチャンスだ。
鳴尾記念組も平均11.3番人気ながら3頭の連対馬を出している。前走から着順を上げた例もあり(14年カレンミロティック4→2着)、ヤマニンサンパは穴馬候補となりえる。
前走ドバイシーマクラシック組は【2-1-1-6】と質は最高だ。前走3着以内で【2-1-1-3】。4着馬の例はないものの、ジャスティンパレスにもチャンスありだ。
ドバイターフは2頭のみ(18年ヴィブロス4着、22年パンサラッサ8着)。前走芝1800mという括りで見ても【0-1-0-5】。ドウデュースには逆風と言える。
追込は絶望的
<京都芝2200m古馬重賞の脚質別成績>
逃げ【0-3-0-11】勝率0.0%/連対率21.4%/複勝率21.4%
先行【8-6-7-29】勝率16.0%/連対率28.0%/複勝率42.0%
差し【6-5-7-57】勝率8.0%/連対率14.7%/複勝率24.0%
追込【0-0-0-58】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率0.0%
マクリ【0-0-0-1】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率0.0%
先行×稍重~不良【4-2-4-9】勝率21.1%/連対率31.6%/複勝率52.6%
続いて今回の舞台となる京都芝2200mの特徴を確認する。過去10年の古馬重賞では逃げ切りこそないが、前有利の傾向が強い。馬場が渋るとその傾向は更に高まり、先行馬の連対率は3割超、過半数が馬券に絡んでいる。今年は明確な逃げ馬不在で先行馬もやや手薄。馬券妙味的にも前に行ける馬を狙いたいところだ。
一方、中団からの差し馬はやや見劣るものの、上がり最速を出せれば【3-2-3-0】と届いている。しかし追込は馬券圏内の好走がない。4角順位で言うと7番手以下【4-4-5-96】に対し、10番手以下【0-1-3-60】。届かないポジションにならないよう、騎手の位置取り意識が明暗を分ける。今年はドウデュース、シュトルーヴェといった人気馬が前走追込だった。18年前のディープインパクトは後方から勝ったが、本来はデータに沿わない。
グランプリ制覇へ
◎ジャスティンパレス
昨年は宝塚記念、天皇賞(秋)とイクイノックスの後塵を拝した後、1番人気で迎えた有馬記念を最後方から上がり2位の脚を繰り出して4着。ややスパートが遅かった。前走のドバイSCでも4着と勝ち星から遠ざかってはいるものの、GⅠで掲示板を確保し続けている実力は本物だ。宝塚記念~有馬記念は追込一辺倒だったが、前走では4~5番手につけており、ルメール騎手とタッグを組んだ4戦はどれも中団より前に構えている。今回も先行すれば脚質面で最も恵まれるだろう。イクイノックスが現役を去った今、中距離王者にふさわしいのはこの馬だ。
◯ローシャムパーク
香港を除いては掲示板を外していない安定感がある。前走の大阪杯は隣のタスティエーラにややかぶされる形で後方からの競馬となった。しかし12番手から1000m通過前の早い段階でマクリを打って2番手まで浮上し、勝ち馬とクビ差の2着。外を回されたロスを考えれば勝ちに等しい内容だったといえる。前々走の海外遠征、前走の初関西遠征で馬体重の大きな増減がなかったのも好印象だ。函館記念では稍重のなか快勝しており馬場の問題はない。本来は後方脚質ではなく、重賞2勝も中団で競馬をしてのもの。好位抜け出しという形を取れれば、後続を振り切れる。
▲ドウデュース
昨年は京都記念勝利後、天皇賞(秋)、ジャパンCと精彩を欠いたが、有馬記念ではマクリを打って快勝。前走のドバイターフでは出遅れもあって5着と不完全燃焼気味だったが、GⅠ・3勝と実績面ではトップだ。その3勝いずれも違うコースであり、初の京都にも適応可能だろう。なんといっても鞍上は京都を庭とする武豊騎手。追い込みでもダービーや有馬記念のような他馬を圧倒する脚を繰り出せればと考え3番手に評価した。
△シュトルーヴェ
去勢後、重賞2つを含む3連勝中。日経賞では短い直線で馬群を縫っての勝利、目黒記念では前残りのなか上がり32秒台で4角10番手から差し切りと内容も非常に充実していた。鞍上にもD.レーン騎手が来日と不足なし。末脚は本物であるが、京都2200mの後方脚質の成績、GⅠで相手強化、右回り経験が一度のみ、初の関西主場遠征と課題点も多い。
以下ベラジオオペラ、プラダリアまで印を回す。馬券は◎◯▲-◎◯▲△-6頭の3連単36点で勝負する。
▽宝塚記念予想▽
◎ジャスティンパレス
◯ローシャムパーク
▲ドウデュース
△シュトルーヴェ
×ベラジオオペラ
☆プラダリア
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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