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【宝塚記念】大阪杯の内容からローシャムパークを推奨 穴はデータと血統が追い風のシュトルーヴェ

2024 6/18 17:00貴シンジ
宝塚記念 主な前走レース別成績(過去10年),ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

3つのファクターから推奨馬を見つけ出す

今回は6月23日(日)に京都競馬場で行われる宝塚記念について下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。

・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走の内容」
・適性と素質を知るための「血統評価」

特別登録のあった13頭を検討対象とし、過去10年のデータを使用する。


重要データ:前走レース別の成績

前走レース別成績,ⒸSPAIA


宝塚記念はグランプリということもあり、荒れにくいレースに分類される。過去10年ではレース全体の単勝回収率は54%、複勝回収率は86%だ。

前走レース別成績を見ると、天皇賞(春)が【3-3-3-33】単勝回収率47%、複勝回収率92%。今年の登録馬ではディープボンド、ブローザホーンが該当するが、今年は天皇賞(春)自体のレベルがそこまで高くなかったことを頭に入れておきたい。

続いて大阪杯。GⅠ昇格後は【2-2-1-16】単勝回収率62%、複勝回収率56%。大阪杯から出ている勝ち馬2頭はクロノジェネシスとサトノクラウン。どちらも大阪杯時に479kg以下の馬体重だった。今年は大阪杯1着ベラジオオペラ、2着ローシャムパークを筆頭に多数の馬が出走してくるが、連対馬2頭はいずれも大阪杯時に500kgを超えていた。

前走目黒記念は【1-0-1-13】単勝回収率167%、複勝回収率76%。好走馬2頭は前走で連対していたことから、勝ち馬のシュトルーヴェには追い風だ。

そのほか、ドバイシーマクラシックは【2-1-1-6】単勝回収率31%、複勝回収率59%で、勝ち馬はいずれも前走で連対。鳴尾記念は【1-2-0-15】単勝回収率78%、複勝回収率90%で、勝ち馬ラブリーデイは前走を勝っていた。今年はこの2レースからの出走馬がいずれも4着以下。勝ち馬の条件からは外れる。


前走の内容:大阪杯のローシャムパーク

ローシャムパークは前走大阪杯で2着。データ的には「前走大阪杯で馬体重500kg超え」は勝ち馬が出ていないが、本馬の前走は見どころがあった。

大阪杯のレースラップを見ると前半5Fが60.2秒で、後半5Fが58.0秒の後傾2.2秒。馬場状態も内側が綺麗だったため、内側を先行した勝ち馬のベラジオオペラは展開に恵まれた面がある。

対してローシャムパークは先行力が足りず後ろからの追走となったが向正面で捲っていた。折り合いがうまくいっていなかった部分もあり、展開次第では逆転していた可能性が高い。大阪杯はレースレベルも高かったので注目したい。

血統解説:ジャスティンパレス、シュトルーヴェ

・ジャスティンパレス
母パレスルーマーが米国産馬なので日本での牝祖は母。本馬はステイヤー色が強いファミリーの一頭だ。

きょうだいを見ても、Palace Malice(父Curlin)はベルモントS(GⅠ・ダート2400m)とメトロポリタンH(GⅠ・ダート1600m)を勝利したし、アイアンバローズ(父オルフェーヴル)もステイヤーズS1着、阪神大賞典2着と3000m以上で結果を残している。

スタミナ適性の高さは言わずもがなだが、器用なタイプのステイヤーで、前年の阪神内回りと比べると京都外回りはやや適性が落ちてしまう。

ジャスティンパレスの血統表,ⒸSPAIA


・シュトルーヴェ
日本での牝祖は祖母アンチョ。伯母ワンダーレディアンエルはCCAオークス(GⅠ・ダート10F)勝ち馬で引退後は日本で繁殖入りした。母アンチュラスは現役時JRA2勝でファンタジーS2着の実績馬。本馬の半兄アンティシペイト(父ルーラーシップ)はJRA5勝で七夕賞3着。ファミリーとしての活力は十分なものがある。

アンチョがCCAオークスを制しているように基本的にはスタミナが豊富なファミリー。母アンチュラスがディープインパクト産駒ということもあり柔らかいタイプの産駒が多く、本馬は父がキングカメハメハで母の柔らかさを受け継ぎつつ胴部は長く、スタミナも豊富なタイプに出た。器用な競馬もできるが、末脚の鋭さが本馬の武器。日経賞、目黒記念を連勝している勢いは本物で、京都競馬場も適性の高い舞台だろう。

シュトルーヴェの血統表,ⒸSPAIA


Cアナライズではローシャムパークを推奨

今回はローシャムパークを推奨する。大阪杯組の好走データとは合致していないが、前走のメンバーレベルと内容を考えればここでも通用する可能性がある。

穴馬であげるとすればシュトルーヴェ。連勝中とはいえ日経賞や目黒記念は辛勝だったため、そこまで人気にはならないだろう。着実に実力をつけていて、京都競馬場であればGⅠでも通用する可能性がある。

ライタープロフィール
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか「競馬王」など商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。

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