穴は外枠から
2024年函館競馬のはじまりはサマースプリントシリーズ開幕戦・函館スプリントS。中距離は上半期の総まとめに向かうなか、スプリント戦線は早くも秋への戦いに突入する。スプリンターズSまで約4カ月。果たしてサマーシリーズからGⅠで主役を張れる馬があらわれるのか。夏の楽しみのひとつだ。データは21年札幌開催も含め、過去10年間のものを使用する。
1番人気【2-1-3-4】勝率20.0%、複勝率60.0%は2018年以降、6年連続で3着以内に入っており、近年は信頼できる。以前はGⅠ馬が参戦し、人気を背負って負ける場面もあったが、最近は明らかな実績上位馬の参戦はなく、それで堅く収まるから不思議だ。
2番人気こそ【0-2-0-8】複勝率20.0%と冴えないが、3番人気は【3-0-1-6】勝率30.0%、複勝率40.0%で5番人気【2-1-0-7】勝率20.0%、複勝率30.0%までは横一線。ただ、10番人気以下も【1-3-2-52】勝率1.7%、複勝率10.3%と穴馬の大駆けもある。開幕週だから穴は内から……といいたいところだが、10番人気以下は1、2枠【0-0-0-13】、8枠【1-2-0-8】勝率9.1%、複勝率27.3%で穴は外から出現する。馬群に入らず、外からプレッシャーを受けずに走れる馬に気をつけよう。
年齢で目立つ3歳【3-2-2-12】勝率15.8%、複勝率36.8%は登録時点では葵S10着から臨戦のオーキッドロマンス一頭のみ。ナムラクレアのような狙いうちタイプが現れれば別だが、2週前に葵Sが創設された影響で近年はそう多くない。ならば、ひとつ年上の4歳【3-2-4-17】勝率11.5%、複勝率34.6%を中心に5歳【3-2-2-38】勝率6.7%、複勝率15.6%あたりが選びやすい。
6、7歳のベテランが好走することもある。傾向で絞るなら、春に重賞で5着以内があった馬を選びたい。
オープン敗退馬にもチャンスあり
今年は阪急杯2着、高松宮記念除外のアサカラキングが注目を集める。除外後は福島のモルガナイトSをきっちり勝ち、賞金を加算した。GⅠ出走を確実にし、さらにメドを立てるためにもきっちりタイトルをとっておきたい。
前走GⅠは【5-2-5-31】勝率11.6%、複勝率27.9%だが、桜花賞やNHKマイルC、ヴィクトリアマイルとマイルGⅠがよく、前走高松宮記念は【2-0-2-22】勝率7.7%、複勝率15.4%でさほどつながらない。ただし高松宮記念組は3着【1-0-1-1】、10着以下【1-0-1-15】で、13着シュバルツカイザー、16着マテンロウオリオンもチャンスがある。春は重賞の壁にはね返されたシュバルツカイザーだが、昨年は北海道シリーズで2勝しており、巻き返す可能性はある。
馬券妙味なら、前走オープン・L【2-5-2-55】勝率3.1%、複勝率14.1%に注目だ。前走1着は【0-1-1-8】複勝率20.0%で勝ち馬はさほどよくもない。2着【1-1-0-4】勝率16.7%、複勝率33.3%、3着【0-1-0-4】複勝率20.0%など惜敗馬が好走し、6着以下も【1-2-0-33】と激走馬が出現する。前走2着以下から来た馬のうち、距離は1000~1200m【2-3-1-35】、1400m以上【0-1-0-12】で短い方がいい。イメージとしては春雷S4着カルネアサーダ、鞍馬S7着レイベリングあたりだろうか。
アサカラキング、ジャスティンスカイ、サトノレーヴの「前走オープン・L勝ち」はデータ上未勝利だったが、期間を広げるとこのパターンで00年タイキトレジャー、05年シーイズトウショウ、12年ドリームバレンチノの3頭が連勝を決めている。ここ10年は出ていないだけで、ないこともない。この3頭のうち、シーイズトウショウ、ドリームバレンチノはその後も重賞勝利を重ね、タイキトレジャーもGⅠ3着があった。どの馬も軌道に乗っていった印象で、アサカラキングら該当馬も連勝を決めるようなら、この先が楽しみになる。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
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