傾向解説
牝馬クラシック第2戦のオークス。東京芝2400mという3歳牝馬にとっては過酷な条件で行われるため、距離適性の評価が非常に重要な一戦。本記事では血統面を中心に、オークスのレース傾向を整理していきます。
まず念頭に置いておきたいのは、3歳牝馬限定の芝2400m戦が特殊条件であること。2~3歳牝馬路線は桜花賞まで芝1600mで強い馬を選定する番組構成にあり、最初の芝1800m以上の牝馬限定重賞は3月後半に行われるフラワーC。桜花賞に出走するような世代上位の実力馬たちは中距離戦を経験していることも少なく、未知の距離への対応力が求められるローテーションとなっています。
そもそも牝馬限定戦ではオークスの2400mが最も長い距離条件であるため、今後2400m以上のレースを使うことがない馬が多数派という点もオークスの特殊性を表しています。
上記の理由からスタミナ面の裏付けがほしいところ。前走上がり3F3位以内を記録するようなゴールまで脚色が鈍っていない馬、特に前走で前目につけられなかった馬の好走が目立つのがオークスの大きな特徴といえるでしょう。過去10年でも、前走で上がり3F3位以内、かつ初角で出走頭数の中央値から後方にいた組が8勝しており、直近6年においては勝ち馬全てがこれに該当しています。
<前走上がり3F3位以内馬の前走初角番手別成績(過去10年)>
出走頭数の中央値より前【1-5-2-17】勝率4.0%/連対率24.0%/複勝率32.0%/単回収率8%/複回収率117%
出走頭数の中央値から後ろ【8-1-3-35】勝率17.0%/連対率19.1%/複勝率25.5%/単回収率86%/複回収率105%
血統面では、Mill Reefの血を引く馬が過去10年で7勝、2着5回と活躍が目立ちます。Mill Reefは英ダービーやキングジョージⅥ&QEDS、凱旋門賞など欧州芝中長距離GⅠで無類の強さを発揮した名馬。その子孫は芝中長距離戦に強く、特にしなやかで息の長い末脚を持ち味とする馬が多いことで知られています。近年では6代以前に隠れるような古い血統になりましたが、2022年はMill Reefの6×7を持つスターズオンアースが1着、Mill Reefの5×5を持つスタニングローズが2着というMill Reefクロス馬のワンツー決着となりました。
また、Mill Reefと同じNever Bend×Princequillo系のRivermanといった、Mill Reefらしさが強化された馬にも注目したいところです。
<血統別成績(過去10年、単勝29.9倍以下)>
Mill Reef【7-5-0-17】勝率24.1%/連対率41.4%/複勝率41.4%/単回収率84%/複回収率92%
Riverman【2-0-0-6】勝率25.0%/連対率25.0%/複勝率25.0%/単回収率207%/複回収率45%