今年の桜の女王は?
今週末は阪神競馬場の芝1600mを舞台にGⅠ桜花賞が開催される。数々の名牝が制してきた牝馬三冠の第一戦。阪神JFをレースレコードで制したアスコリピチェーノやそれに迫ったステレンボッシュ、アルテミスSを完勝し約6ヶ月ぶりの実戦となるチェルヴィニア、スウィープフィートやクイーンズウォークなどハイレベルなメンバーが揃った。
そこで今回は桜花賞の予想に生かすため「牝馬限定重賞に強い種牡馬、騎手、調教師」をテーマにデータ分析を行う(参照するデータは2019年4月6日~2024年3月16日の過去5年分)。
ディープインパクト、キズナが親子でワンツー
<牝馬限定重賞に強い種牡馬>
ディープインパクト【23-23-16-236】勝率7.7%/連対率15.4%/複勝率20.8%
キズナ【11-5-8-112】勝率8.1%/連対率11.8%/複勝率17.6%
ドゥラメンテ【10-6-5-38】勝率16.9%/連対率27.1%/複勝率35.6%
まずは牝馬限定重賞に強い種牡馬について。
トップは23勝でディープインパクト。1600m以下は【13-9-5-87】で勝率11.4%、1800m以上は【10-14-11-149】で勝率5.4%。1600mを境に勝率がガクンと落ちるので、マイル以下で狙うのがオススメだ。思い返せば昨年のターコイズS(1600m)を制したフィアスプライドも、今年の中山牝馬S(1800m)で1番人気9着に敗れており、まさにこの傾向に合致していた。
2位は11勝でキズナ。親子で1、2位を独占した。しかしこちらは父とは真逆の1800m以上が狙い目。この条件下では【7-3-4-65】で単勝回収率254%、複勝回収率131%と妙味たっぷり。アブレイズ(フラワーC12番人気1着)やシャムロックヒル(マーメイドS10番人気1着)、アカイイト(エリザベス女王杯10番人気1着)など大穴での勝利を量産しており、該当馬がいれば必ず買い目にいれておこう。
3位は10勝でドゥラメンテ。こちらはマイル以下or2400mが狙い目だ。マイル以下の重賞では【5-4-3-16】で勝率17.9%、単勝回収率133%とハイアベレージ。また2400mのオークスにも滅法強く【2-0-1-2】で複勝率60.0%、複勝回収率286%と大活躍。今年も産駒のミアネーロ(フラワーC1着)やラヴスコール(フェアリーS3着)などが出走してきたら要注目だ。
今年の桜花賞にはクイーンズウォークとライトバックのキズナ産駒2頭が出走する。なおアスコリピチェーノが該当するダイワメジャー産駒は【3-3-5-55】で複勝率16.7%、チェルヴィニアやテウメッサが該当するハービンジャー産駒は【6-1-3-58】で同14.7%、ステレンボッシュやイフェイオンが該当するエピファネイア産駒は【8-6-10-87】で同21.6%となっている。
川田将雅騎手×距離短縮がアツい!
<牝馬限定重賞に強い騎手>
川田将雅【18-2-7-40】勝率26.9%/連対率29.9%/複勝率40.3%
C.ルメール【13-13-6-47】勝率16.5%/連対率32.9%/複勝率40.5%
M.デムーロ【9-3-10-47】勝率13.0%/連対率17.4%/複勝率31.9%
次は牝馬限定重賞に強い騎手について。乙女心を最も理解しているのはどの騎手だろうか。
トップは18勝で川田将雅騎手。1着18回に対して2着はたったの2回と、とにかく勝ち切るのが特徴だ。単勝回収率も116%とプラス域であり、単系馬券の軸として十分に信用できる。特に信頼度が高いのがマイル戦。【9-1-1-13】で勝率37.5%、単勝回収率は220%にアップする。また距離短縮が狙い目。成績は【7-0-3-5】で勝率46.7%、単勝回収率193%。同距離からの臨戦は勝率26.7%、距離延長だと同13.6%と大きな差が生まれている。
2位は13勝でC.ルメール騎手。単勝回収率は72%と川田騎手に比べたら妙味は薄いがこちらも抜群の安定感。やはり距離が長くなるほど安定感がアップする傾向があり、2200m以上の牝馬限定重賞(エリザベス女王杯、オークス)だと【3-2-0-4】で勝率33.3%、単勝回収率135%とプラス域である。やはりGⅠでは逆らえない。
3位は最近復調気味のM.デムーロ騎手。GⅢでは【5-1-3-17】で勝率19.2%、単勝回収率183%と好成績で積極的に狙っていきたい。また末脚自慢の馬に騎乗した際の信頼度が高く、前走上がり最速の馬は【5-0-4-8】で勝率29.4%、単勝回収率275%となっている。
今週の桜花賞では、川田騎手がクイーンズウォーク、M.デムーロ騎手がセシリエプラージュに騎乗予定。アスコリピチェーノの北村宏司騎手は【1-1-0-20】で複勝率9.1%、ステレンボッシュのJ.モレイラ騎手は【0-0-0-1】と意外にも牝馬限定重賞への騎乗がここ5年では1回のみ。スウィープフィートの武豊騎手は【8-4-1-49】で複勝率21.0%となっている。
中内田充正厩舎が独走中
<牝馬限定重賞に強い調教師>
中内田充正【13-6-1-39】勝率22.0%/連対率32.2%/複勝率33.9%
国枝栄【8-14-6-49】勝率10.4%/連対率28.6%/複勝率36.4%
高野友和【6-3-3-39】勝率11.8%/連対率17.6%/複勝率23.5%
最後に牝馬限定重賞に強い調教師について。
トップは13勝で中内田充正調教師。リバティアイランドやダノンファンタジーなどの名牝を輩出しており近年勢いが増している。なんと13勝のうち12勝が川田騎手によるもの。同騎手とのコンビでは【12-1-0-17】で勝率40.0%、単勝回収率は130%だ。また、騎手に関わらず距離短縮ローテだと【6-2-0-8】で勝率37.5%、単勝回収率161%で信頼度、妙味ともにグンとアップする。
2位は8勝で国枝栄調教師。アーモンドアイやアパパネなどを輩出した、こちらも牝馬が強い厩舎だ。1着の回数に比べて2、3着の回数が多く、単勝回収率は88%とまずまずだが、複勝回収率は103%とプラス域。フィアスプライド(22年ターコイズS12番人気3着)など、人気薄で2、3着に飛び込んでくる場合も多く、該当馬がいれば紐にいれておくのが良さそうだ。また東京コースでの信頼度が高く【4-4-2-14】で複勝率41.7%。単勝回収率174%、複勝回収率153%と、単複回収率はともに黒字域をマークしている。
3位は6勝で高野友和調教師。こちらもレイパパレやスタニングローズ、ナミュールなどGⅠ馬を輩出している。牝馬限定重賞に関しては3歳に実績が集中しているのが特徴。4歳以上【0-1-1-24】複勝率7.7%、複勝回収率26%に対して、3歳【6-2-2-13】で複勝率43.5%、複勝回収率216%とかなりの差が生まれている。3歳戦で積極的に狙っていこう。
今週の桜花賞ではクイーンズウォークが中内田厩舎、ステレンボッシュが国枝厩舎に該当する。アスコリピチェーノの黒岩陽一厩舎は【2-3-2-15】で複勝率31.8%、チェルヴィニアの木村哲也厩舎は【3-7-2-34】で複勝率26.1%となっている。
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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