ダノンマッキンリーの折り合い難とハイペース
2024年3月16日に中京競馬場で行われたファルコンステークスは、7番人気ダノンマッキンリーが豪快な後方一気を決めて勝利した。鞍上の北村友一騎手は2021年阪急杯(レシステンシア)以来の重賞制覇。落馬による長期休養を乗り越えて久々の勲章を手にした。
レースは先行馬多数ながら確たる逃げ馬がいないメンバー構成。いざゲートが開くと、好スタートを決めたオーキッドロマンスが促して先頭に立った。キャプテンネキ、クリスアーサーらが続き、前半600m通過は33.8秒のハイペースで流れた。
直線に向いても手応え十分のオーキッドロマンスは追い出しを待つ余裕すらあり、残り300m付近で満を持して仕掛けられると、後続を徐々に突き放す。しかし、そこに外からダノンマッキンリーが強烈な脚を使って追い込み、ゴール前で差しきった。3着には1番人気ソンシが入った。
勝ち時計1:20.2は(現行条件の)ファルコンS史上2位の好タイム、ダノンマッキンリーが繰り出した上がり3F33.6秒は同史上最速。レース内容は文句なしだ。
ダノンマッキンリーは英1000ギニー勝ち馬ホームカミングクイーンの仔で、22年のセレクトセール1歳で2億4200万円(税込み)の値が付いた高額取引馬。新馬戦はハイペースを先行押し切り、2戦目の秋明菊賞は一転して後方一気で連勝した。GⅠの朝日杯FSでも3番人気に推された通り、能力面の評価は高かった。ただ、ここ2戦は折り合いの難しさを出して競馬にならず。シュトラウスとも違い、クロッカスSで既に「距離短縮」というカードも切って敗れたため、今回は人気も落としていた。
しかしクロッカスSは前後半35.2-33.8のスローペース、今回は同33.8-34.7のハイペース。一概に1400mといっても中身はまるで違った。折り合い難とはつまり、スピードが有り余った競走馬の「もっと速く走らせろ!」という欲求だ。その欲求が満たされたダノンマッキンリーは強かった。33秒台の流れなら折り合いがつくという事実は大きな収穫だ。さらに短い1200mなら前半33秒台のレースには事欠かない。順調に行けば来年の今ごろ、同じ尾張の地でスプリントの頂点を争うことになるだろう。