3月移行後、1番人気の馬券圏外なし
大阪杯の前哨戦として3月に移った金鯱賞は波乱と堅調決着を繰り返してきた。ギベオンの単勝2万馬券、1番人気ジャックドール、プログノーシスの勝利と直近3年をみても極端だ。
今年は前年優勝馬プログノーシス、菊花賞馬ドゥレッツァが登場し、実績的に一枚抜けた存在としてレースの中心になるだろう。2頭の力関係はどれほどだろうか。4歳ドゥレッツァは同世代が年上相手に苦戦しているからこそ、きっちり勝って次へ進んでほしい。データは3月に移った過去7年分を使用する。
1番人気は【5-1-1-0】勝率71.4%、複勝率100%と馬券圏内を外していない。さすがにGⅠの前哨戦であり、実績馬は簡単には負けない。その分、2番人気以下は横並びで、6番人気【0-0-3-4】複勝率42.9%などひとひねりは必要だ。この辺は中京の重賞らしく、油断はできない。
年齢では4歳が【4-3-1-12】勝率20.0%、複勝率40.0%と抜けている。5歳も【2-3-3-20】勝率7.1%、複勝率28.6%と、若い世代が中心だ。基本的に主力を形成する組がきっちり力を出す。6歳【1-0-3-17】勝率4.8%、複勝率19.0%はギベオンが引っ張っているが、3着3頭も13、6、6番人気と人気薄で、穴を狙うならベテランから選んでみよう。
ヤマニンサルバム、得意条件で重賞連勝なるか
4歳勢ではドゥレッツァのほかにも前走菊花賞組が複数エントリーする。いずれも大敗馬だが、巻き返しはあるだろうか。
昨年の菊花賞馬は二冠をわけた2頭が顔をそろえ、レースもタスティエーラ、ソールオリエンスを中心に展開した。中盤で13秒台が2度刻まれるスローペースで、ライバルたちの意識は中団を走る2頭に集中した。それを尻目にハナを奪ったのが勝ったドゥレッツァ。中盤でじっくり息を整え、残り800m11.6-11.7-11.4-11.8に対応した。大敗したシーズンリッチもノッキングポイントも距離適性というか体力負けした印象で、2000mで見直す余地は十分ある。
プログノーシスが当てはまる前走海外は【0-3-1-2】複勝率66.7%で、香港Cは【0-1-0-1】。22年レイパパレが香港C6着以来で好走した。当然、前年優勝馬も大きく崩れることはないだろう。
前走国内に目を向けると、前走GⅠは【4-1-1-13】勝率21.1%、複勝率31.6%とさすがの成績だが、前走菊花賞は出走がなく、有馬記念が【3-0-1-9】と大半を占める。さらに前走GⅠ勝ち馬も出走がない。
金鯱賞はどちらかというとジャックドールのような上がり馬的存在がここで重賞を勝ちとるイメージが強い。ドゥレッツァは初のパターンだ。菊花賞はルメール騎手の神騎乗あっての結果であり、ステイヤーではないだろう。キャリア6戦5勝3着1回。負けたのは新馬戦しかない。競馬場や距離に関係なく力を発揮できる天才タイプで、崩れる場面は想像しにくい。
前走GⅡ【0-0-0-18】、GⅢ【1-3-2-21】勝率3.7%、複勝率22.2%、オープン・リステッド【2-0-3-8】勝率15.4%、複勝率38.5%とやはり格下からここに挑む馬が好走するイメージでいい。
金鯱賞と入れ替わる形で暮れに移った同条件・中日新聞杯が【1-1-0-2】。1着馬【0-0-0-2】、4、5着馬【1-1-0-0】と負けた組が好走する。ヤマニンサルバム、ハヤヤッコは連続好走できるだろうか。昨年の中日新聞杯は後半800m11.8-11.3-11.5-12.0と最後に時計を要した。追い込んだハヤヤッコより好位から押し切ったヤマニンサルバムが上位だろう。
昨年3着のアラタが当てはまる前走中山金杯は【0-1-1-3】。3、4着【0-1-1-0】、6着以下【0-0-0-3】。13着大敗のアラタは巻き返せるだろうか。
オープン・リステッドは前走2000mが【2-0-3-6】と好成績。勢いそのままにGⅡを通過するには、なるべく条件が変わらないほうがいい。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬中心の文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
《関連記事》
・【競馬】2023年「逃げ限定」リーディングは坂井瑠星騎手 「逃げない騎手」などデータで浮き彫りに
・【競馬】2023年新種牡馬リーディングをチェック スワーヴリチャードら10頭の覚えておきたい「買い条件」
・【競馬】2024年に産駒がデビューする種牡馬まとめ ダート馬ルヴァンスレーヴが種付け数トップ