傾向解説
2歳女王決定戦の阪神ジュベナイルフィリーズ。地力差の大きい2歳戦だけに素質の見極めが最重要ですが、仕上がりの早さやハイペース適性など素質が高いだけではクリアできない壁も多いです。本記事では2歳戦に強い血統を中心に、阪神JFのレース傾向を整理していきます。
まず、紹介したいデータは前走距離別成績。朝日杯FSや桜花賞でも同様の傾向にありますが、阪神JFにおいても1600m以上からのローテーション成績が高水準となっています。日本競馬は芝1600~2500mを中心に番組が構成されており、2歳戦においても1500m以下のレースレベルは総じて低い傾向にあります。そのため、よほど強い競馬を見せた馬でない限りは距離延長馬は軽視がセオリーといえるでしょう。
<前走距離別成績(過去10年)>
距離延長【3-1-4-75】勝率3.6%/連対率4.8%/複勝率9.6%/単回収率28%/複回収率30%
同距離【5-8-5-63】勝率6.2%/連対率16.0%/複勝率22.2%/単回収率22%/複回収率59%
距離短縮【2-1-1-10】勝率14.3%/連対率21.4%/複勝率28.6%/単回収率124%/複回収率82%
また、馬体重別成績も要注目。馬体重にはさまざまな要素が関係しており、あくまで一側面ではありますが、阪神JFでは一定以上の馬体重がある馬の方が好走率が高い傾向にあります。筋肉質でガッチリとした馬体の馬であればスピードや早熟性の面でも期待が持てるため、2歳GⅠで好走するための素質につながるというわけです。馬体重460キロ以上を基準にしてみてはいかがでしょうか。
<馬体重別成績(過去10年)>
~419kg【1-0-0-19】勝率5.0%/連対率5.0%/複勝率5.0%/単回収率73%/複回収率17%
420~439kg【0-3-1-33】勝率0.0%/連対率8.1%/複勝率10.8%/単回収率0%/複回収率34%
440~459kg【0-3-4-42】勝率0.0%/連対率6.1%/複勝率14.3%/単回収率0%/複回収率66%
460~479kg【6-3-5-36】勝率12.0%/連対率18.0%/複勝率28.0%/単回収率53%/複回収率58%
480kg~【3-1-0-18】勝率13.6%/連対率18.2%/複勝率18.2%/単回収率80%/複回収率34%
血統面ではオーストラリアで一大父系を築き上げたデインヒルに注目。オーストラリア競馬は2歳戦と短距離戦が充実しており、そのカテゴリーを牽引してきたのがデインヒル父系です。
同父系がつたえるスピードと早熟性は日本の2歳戦においても非常に強力で、馬券圏内の好走馬以外にも昨年の5着馬ミシシッピテソーロ(16番人気)や一昨年の5着馬ナムラクレア(6番人気)、2020年の5着馬ヨカヨカ(10番人気)など早期から活躍している馬を多く輩出しています。ただ、日本で種牡馬入りしたハービンジャーは明らかに欧州の芝中長距離馬のため、同血脈は避けた方がベターです。
<デインヒル(ハービンジャー経由を除く・過去10年)>
該当馬【2-1-1-11】勝率13.3%/連対率20.0%/複勝率26.7%/単回収率93%/複回収率95%
また、サンデーサイレンスを経由しないHalo系の血も活躍が目立ちます。サンデーサイレンスは1990年代以降の日本の血統地図をたった一頭で塗り替えた大種牡馬ですが、JRAでのGⅠ勝ちの2/3は芝2000m以上でのものという芝中距離で強いタイプです。
現2歳馬で同血脈を持たない馬は少ないですが、母方からHaloらしさを強化するような仕掛けがあると本レースでの好走率は高くなるでしょう。代表的な血筋には、Glorious Song=Devil's Bag、Machiavellian=Coup de Genie(バゴの母母)、グッバイヘイロー(キングヘイローの母)などが挙げられます。