中京開催がスタート
今週から中京開催がスタート。ダート王者決定戦・GⅠチャンピオンズCや、波乱決着の多いハンデ重賞・GⅢ中日新聞杯の開催が予定されている。中京の1200m重賞では【2-2-0-3】で単勝回収率864%、複勝回収率317%を記録している団野大成騎手など、中京コースで輝く「中京巧者」は数多く存在する。
そこで今回は、種牡馬や騎手の中京適性をデータで徹底検証。ここでは中京コースでの勝率から全場での勝率を引いたものを「中京巧者率」と定義し、この数値に基づいて各種牡馬や騎手の中京コースに対する得意/不得意を議論していく(データは2018年12月1日~2023年11月26日)。
芝ではディスクリートキャット、ダートではキタサンブラックが優秀
まずは、種牡馬別に芝コースの中京巧者率について分析する。今回は直近5年の中京競馬場での勝ち数がトップ30以内の種牡馬たちが調査対象だ。
まず取り上げるのはディスクリートキャット。代表産駒に先日のゴールデンイーグルを制したオオバンブルマイがいる。また、未勝利から3勝C までの4勝を、全て中京1600mで挙げたワールドバローズはまさに中京巧者の典型だ。巧者率は23.3%-5.6%=17.7%と抜けた値を記録。コース別成績では1600m【5-0-1-5】単勝回収率145%、1400m【2-0-1-7】単勝回収率181%が好調である。1400~1600mでは見逃し厳禁だ。
次に紹介するのはイスラボニータ。産駒のプルパレイがGⅢファルコンSを制している。巧者率は11.0%-8.7%=2.3%。最も得意としているのは中京2000mで【3-1-0-7】勝率27.3%、単勝回収率165%とプラス域をマークしている。また、内枠を得意としているのも特徴。1~4枠では【6-3-5-23】で勝率16.2%(中京芝全体では同8.5%)、単勝回収率95%と優秀だが、5~8枠では【3-4-2-36】で勝率6.7%(中京芝全体では同6.7%)、単勝回収率15%に留まっている。内枠に入った馬がいれば要チェックだ。
エイシンフラッシュも7.8%-5.5%=2.3%とこちらもまずまずの巧者率を記録。コース別成績では、1600m【5-0-3-42】単勝回収率128%、1400m【4-2-2-27】単勝回収率168%と、意外にもマイル、短距離が狙い目だ。こちらはイスラボニータとは逆で外枠が得意。1~4枠では【6-2-5-80】で単勝回収率は64%に留まっているが、5~8枠では【9-2-8-81】で単勝回収率120%と黒字域を記録している。
一方、目立ったマイナスを記録したのがドゥラメンテ。巧者率は8.1%-10.6%=-2.5%だ。その他にも、ミッキーアイルが6.7%-8.6%=-1.9%、ジャスタウェイが5.8%-7.9%=-2.1%と中京コースで苦戦している。
次にダートコースにおける種牡馬別の中京巧者率を見ていこう。芝コースと同様に直近5年の中京競馬場での勝ち数がトップ30以内の種牡馬たちが調査対象だ。
まず取り上げるのはキタサンブラック。ダートでも重賞3連勝を果たしたウィルソンテソーロなど、活躍馬を多数輩出しているオールラウンダーだ。気になる巧者率は、16.7%-12.7%=4.0%。中京で挙げた11勝のうち、8勝が1800m以上でのもの。1800m【6-4-4-24】単勝回収率118%、1900m【2-0-2-7】単勝回収率312%と積極的に狙っていきたい成績だ。
また、活躍馬の脚質が極端に前に集中しているのも同産駒ダートでの特徴。逃げ・先行で10勝を挙げているのに対して、差し・追込ではわずか1勝のみしか挙げられていない。ちなみに逃げ・先行策をとった馬の単勝回収率は200%オーバーだ。現役時代の父のように、前目で粘りこむ競馬を得意とする産駒が狙い目である。
次に紹介するのはダンカーク。20年グリーンチャンネルC(L)勝ちのメイショウテンスイなどが産駒にいる。巧者率は10.4%-7.1%=3.3%だ。外枠を得意としているのが特徴。1~4枠は【6-6-7-65】で勝率7.1%(中京ダ全体では同7.0%)、単勝回収率69%に対し、5~8枠は【15-10-6-86】で勝率12.8%(中京ダ全体では同7.4%)、単勝回収率86%を記録している。さらに条件を絞っていくと、未勝利【8-1-3-32】勝率18.2%、単勝回収率117%、1勝C【5-6-2-29】勝率11.9%、単勝回収率101%など、5~8枠×下級条件での活躍が目立っている。
ホッコータルマエも11.0%-8.6%=2.4%とまずまずの巧者率だ。産駒ではメイショウフンジンが中京でアルデバランS(OP)を制している。注目は距離短縮ローテに該当する馬たち。【7-1-4-24】で勝率19.4%と、同距離組(同9.2%)や距離延長組(同10.9%)よりも10%近く高い勝率を記録している。また、単勝回収率は138%と妙味も十分だ。
一方、オルフェーヴルは6.7%-9.1%=-2.4%とマイナスを記録してしまった。その他にも、ドゥラメンテが8.8%-10.6%=-1.8%、ヘニーヒューズが9.2%-10.6%=-1.4%と苦戦傾向にある。
浜中俊騎手はダートの外枠で狙え!
最後に騎手別の中京巧者率を見ていく。こちらも中京コースでの勝ち数トップ30の騎手を調査対象とする。
トップの巧者率を記録したのは丸山元気騎手。9.9%-6.7%=3.2%の巧者率を記録している。最も得意としているのは芝1600m。【7-2-2-16】で勝率25.9%、単勝回収率152%を記録しており、勝ち切る力が優れていることが分かる。また、1番人気での信頼度も高く、【10-3-3-5】で勝率47.6%、単勝回収率113%を記録中だ。
また、岩田望来騎手も12.7%-10.8%=1.9%と悪くない巧者率を記録。ダートより芝を得意としており、芝の単勝回収率はプラス域をマークしている。最も得意としているのは芝2000m。【26-13-10-82】で勝率19.8%、単勝回収率は166%と非常に優秀だ。中京新聞杯に騎乗予定があれば、非常に面白い存在である。
浜中俊騎手も11.7%-9.9%=1.8%で巧者率をプラスとしている。こちらは芝よりダートの方が、5%以上勝率が高い。狙い目はダートの外枠。1~4枠だと【4-7-4-42】で勝率7.0%、単勝回収率34%であるが、5~8枠だと【15-10-1-46】で勝率20.8%、単勝回収率91%と飛躍的に上昇する。4コーナーで外を回すことが不利である中京ダートで、外枠の成績の方が良いのは非常に特異的だ。チャンピオンズCではメイショウハリオへの騎乗を予定しており、JBCクラシックからの巻き返しに期待したい。
一方、ルメール騎手が20.7%-24.5%=-3.8%と大きくマイナスを記録。その他には、M.デムーロ騎手が11.1%-12.9%=-1.8%、北村友一騎手が8.3%-9.9%=-1.6%と中京コースではやや苦戦している。
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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