盛り上がりを見せるダート路線
ウシュバテソーロのBCクラシック挑戦やミックファイアの無敗での南関東三冠達成、3歳ダート三冠の新設などで、ダート路線が空前の盛り上がりを見せつつある。
そこで今回は「ダート戦に強い種牡馬」をテーマに、「短距離戦」、「マイル・中距離戦」、「長距離戦」の3つの距離区分でデータ検証を行う(参照するデータは2020年11月1日~2023年10月29日の過去3年)。
ウシュバテソーロのBCクラシック挑戦やミックファイアの無敗での南関東三冠達成、3歳ダート三冠の新設などで、ダート路線が空前の盛り上がりを見せつつある。
そこで今回は「ダート戦に強い種牡馬」をテーマに、「短距離戦」、「マイル・中距離戦」、「長距離戦」の3つの距離区分でデータ検証を行う(参照するデータは2020年11月1日~2023年10月29日の過去3年)。
まずはダート短距離戦について。調査対象は1400m以下のダート戦だ。
<ダート短距離戦に強い種牡馬>
ヘニーヒューズ【175-138-118-1051】勝率11.8%/連対率21.1%/複勝率29.1%
ロードカナロア【106-90-77-863】勝率9.3%/連対率17.3%/複勝率24.0%
シニスターミニスター【74-67-71-527】勝率10.0%/連対率19.1%/複勝率28.7%
ドゥラメンテ【36-30-15-327】勝率8.8%/連対率16.2%/複勝率19.9%
最初に取り上げるのはヘニーヒューズ産駒。注目したいのは新馬戦の成績で、【22-10-14-57】勝率21.4%、単勝回収率137%と非常に優秀だ。東京競馬場の新馬戦に限定すると【6-2-2-9】勝率31.6%、単勝回収率244%で、信頼度と妙味の両方がさらに上昇する。距離短縮で結果を出す産駒が多く、この条件では【50-39-27-255】で勝率13.5%、複勝率31.3%、単勝回収率98%。これは距離延長組(勝率8.6%、複勝率26.7%、単勝回収率95%)や同距離組(勝率10.9%、複勝率27.1%、単勝回収率56%)を上回る数字だ。また、サンプル数は少ないが、500m以上の距離短縮では【6-1-0-22】で勝率20.7%、単勝回収率320%と特に良い。
次に取り上げるのはロードカナロア産駒。現役時代は芝のスプリンターとして活躍したが、ダートの短距離戦にも活躍馬を送り出している。距離短縮ローテに該当する馬は【40-26-29-298】で単勝回収率106%とプラス域。適性より長い距離で成績を落とし、短距離戦に戻って来たタイミングで妙味が生まれているのだろう。競馬場別成績では、新潟と中山が狙い目。新潟コースでは【12-7-6-74】で勝率12.1%、単勝回収率134%、中山コースでは【19-10-11-116】で勝率12.2%、単勝回収率147%を記録している。
シニスターミニスター産駒は、短距離戦全体の単勝回収率が107%、複勝回収率100%と好調だ。2歳戦に限るとさらに妙味が上昇し、【19-13-13-77】で勝率15.6%、単勝回収率は255%と仕上がりの早さが際立つ。また春競馬(1~5月)では【27-26-32-268】で勝率7.6%、単勝回収率54%と伸び悩む一方、秋競馬(9~12月)では【32-31-25-155】で勝率13.2%、単勝回収率171%と好調である点も特徴だ。競馬場別では札幌、東京、中京、京都、阪神、小倉の6場で単勝回収率100%超えを果たしており非常に優秀。特に狙い目は、東京ダ1400mと中京ダ1200mであり、前者は【17-13-14-70】で勝率14.9%、単勝回収率161%、後者は【12-7-7-43】で勝率17.4%、単勝回収率262%を叩き出している。
芝を中心に活躍馬を続々輩出しており、早逝が惜しまれているドゥラメンテ。実はダート短距離戦での単勝回収率は165%と妙味十分である。特に東京競馬場では、【10-9-1-61】で単勝回収率484%、複勝回収率163%と、見かけたら即買いレベルだ。ただ、芝からのダート替わりでは【4-5-2-71】で勝率4.9%、単勝回収率52%と低調。前走もダート戦だと【30-24-13-236】で勝率9.9%、単勝回収率200%と飛躍的に成績がアップ。狙うならダート2戦目以降がオススメだ。
次はマイル、中距離戦について。調査対象は1600~1900mのダート戦だ。
<ダートマイル・中距離で強い種牡馬>
シニスターミニスター【97-81-78-597】勝率11.4%/連対率20.9%/複勝率30.0%
ヘニーヒューズ【96-124-96-693】勝率9.5%/連対率21.8%/複勝率31.3%
キズナ【96-76-80-630】勝率10.9%/連対率19.5%/複勝率28.6%
ドレフォン【87-60-58-486】勝率12.6%/連対率21.3%/複勝率29.7%
短距離戦に引き続き好成績を残しているのがシニスターミニスター産駒。この距離でも阪神競馬場を得意としており、【27-18-13-77】で勝率20.0%、単勝回収率128%。その他、中山や京都コースでも単複の回収率が100%を超えている。ただ、短距離戦で得意としていた東京コースは【4-9-12-83】で勝率3.7%、単勝回収率29%と低調である点に注意したい。クラスが上がるほど妙味が高くなる傾向があり、3勝クラス以上では【17-9-7-74】勝率15.9%、単勝回収率121%で黒字域となっている。
ヘニーヒューズの産駒も短距離戦と同様に好成績を記録。競馬場別では札幌コースが【10-5-4-44】で勝率15.9%と最も得意としている。複勝回収率は173%とプラス域であり、来年の夏競馬まで覚えておきたいデータだ。また、上級条件ほど信頼度が高くなるのも特徴。OP以上では【16-14-14-63】で複勝率は41.1%に至る。単複の回収率は共にプラス域であり、安定感と妙味のどちらにおいても優秀だ。
芝とダートの二刀流で活躍するキズナ産駒も好成績だ。1800m戦が得意で、なかでも狙い目は中京と中山コース。中京ダ1800mは【18-12-16-98】で勝率12.5%、単勝回収率296%、中山ダ1800mは【11-4-9-76】で勝率11.0%、単勝回収率137%とベタ買いするだけでプラスだ。
ドレフォン産駒は牝馬が好成績で、【41-27-27-228】勝率12.7%。単勝回収率は140%と妙味もある。主場では中山が【14-6-5-73】で勝率14.3%、単勝回収率146%と好調。ローカルでは福島が【4-4-3-28】で勝率10.3%、単勝回収率216%、函館が【4-1-4-19】で勝率14.3%、単勝回収率246%と狙い目。小回りコースを得意としている。
最後はダート長距離について。調査対象は2000m以上のダート戦だ。この条件に合致するコースでレース数が多いのは、東京ダ2100m、阪神ダ2000mの2コース。この章ではこれらのコースを得意とする種牡馬をそれぞれ取り上げる。
<ダート長距離で強い種牡馬>
キングカメハメハ【27-17-16-113】勝率15.6%/連対率25.4%/複勝率34.7%
ホッコータルマエ【13-9-13-74】勝率11.9%/連対率20.2%/複勝率32.1%
東京ダ2100mからはキングカメハメハをピックアップ。このコースでは16勝を挙げ、2位のディープインパクトに9勝差をつけており、絶対的な存在だ。【16-10-8-56】で勝率17.8%、複勝率37.8%。単勝回収率462%、複勝回収率151%と妙味も十分であり、見かけたら必ず紐には入れておきたい。
阪神ダ2000mならホッコータルマエに注目。【7-4-2-18】で勝率22.6%、複勝率41.9%。単勝回収率は驚異の414%であり、該当馬がいればこちらも即買いレベルだ。その他、ブラックタイドも【7-3-1-8】で複勝率57.9%と、ホッコータルマエを上回る安定感。単複の回収率もプラス域であり、ホッコータルマエほどではないが、妙味十分だ。
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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