秋の新潟開催がスタート
今週から秋の新潟開催がスタート。重賞の開催は予定されていないが、エリザベス女王杯のステップレースである新潟牝馬Sや、秋の千直オープンであるルミエールオータムダッシュなどの開催が予定されている。
新潟で重賞2勝を挙げているカラテを筆頭に、このコースを得意とする「新潟巧者」たちは数多く存在する。そこで今回は、種牡馬や騎手の新潟適性をデータで徹底検証。ここでは新潟コースでの勝率から全場での勝率を引いたものを「新潟巧者率」と定義し、この数値に基づいて各種牡馬や騎手の同コースに対する得意/不得意を議論してゆく(データは2018年10月13日から2023年10月9日までのものを使用する)。
末脚自慢のダノンバラード、生粋の新潟ダート巧者トビーズコーナー
まずは、種牡馬別に芝コースの新潟巧者率について分析する。今回は過去5年の新潟競馬場での勝ち数がトップ30以内の種牡馬たちが調査対象だ。
最初に取り上げるのはマクフィ。代表産駒にアイビスSDで2勝を挙げたオールアットワンスがいる。巧者率は9.9%-7.2%=2.7%を記録。狙い目は短距離戦の中でも、1200m以下だ。1000mでは【3-0-3-9】、1200mでは【3-1-1-12】でどちらも単勝回収率は300%オーバーと妙味たっぷりである。
次に紹介するのはダノンバラード。代表産駒のキタウイングは新潟2歳Sを制している。巧者率は8.0%-6.1%=1.9%。新潟で挙げた6勝全てが差し、追込馬によるものという特徴的な成績だ。レースで上がり最速を記録した馬は【5-0-1-2】で単勝回収率は1340%と非常に高い。末脚自慢を積極的に狙っていきたい。得意なコースは1600mで【3-0-2-4】。回収率は単複ともにプラス域である。
ノヴェリストも8.3%-7.0%=1.3%とまずまず。最も得意としているのが1600mであり、【5-1-1-15】勝率22.7%、単勝回収率167%を記録している。これに次ぐのが1400m。【4-1-5-31】複勝率24.4%となっている。
一方6.0%-10.4%=-4.4%と、巧者率が大きなマイナスとなったのがキングカメハメハ。その他、ディープインパクトが11.2%-12.7%=-1.5%、キズナが8.1%-9.9%=-1.8%と名だたるトップサイアーたちもマイナスを叩いている。
次にダートコースにおける種牡馬別の巧者率を見ていこう。芝コースと同様に過去5年の新潟競馬場での勝ち数がトップ30以内の種牡馬たちが調査対象だ。
代表産駒にソリストサンダーがいるトビーズコーナーは、18.4%-8.6%=9.8%と驚異的な巧者率を叩き出している。新潟ダートなら1200mと1800mの両方で単複の回収率が100%超えというオールラウンダーだ。末脚を使える馬の信頼度が高く、前走の上がり3Fが3位以内だと【4-2-0-5】で勝率36.4%を記録している。まさに生粋の新潟巧者であり、見かけたら必ず買い目に入れておきたい。
次に取り上げるのはディスクリートキャット。こちらも12.1%-7.5%=4.6%と高い。狙い目は1200m。【6-1-4-33】 で勝率13.6%、単勝回収率は108%である。クラス別成績は1勝クラス、2勝クラスの成績が良く、特に1勝クラスでは【3-1-1-11】で勝率18.8%、単勝回収率は236%と妙味十分。未勝利戦を突破した馬の能力は信頼して良いだろう。また、前走逃げた馬は【3-0-2-7】で勝率25.0%、単勝回収率315%とこちらも狙い目だ。
ロージズインメイも10.5%-5.4%=5.1%と非常に高い。得意コースは1800mであり、【6-6-3-39】で勝率11.1%、単勝回収率は172%である。差し、追込馬は一度も連に絡めておらず、馬券圏内に入ったのも僅か2回のみ。前目でポジションを取れそうな馬を積極的に狙っていきたい。その判断基準の1つとして使えるのが、前走の4コーナーでの位置。5番手以内だと【8-4-2-23】で勝率21.6%、回収率は単複ともにプラス域を記録している。
その他、オルフェーヴルが13.3%-9.2%=4.1%、ハーツクライが12.8%-9.4%=3.4%、ネオユニヴァースが12.5%-6.6%=5.9%と、現役時代は芝で活躍した種牡馬たちが高い巧者率を記録している。
一方、ヘニーヒューズが8.5%-10.7%=-2.2%、シニスターミニスターが6.3%-9.7%=-3.4%、パイロが5.7%-8.2%=-2.5%と、主にダートで活躍していた種牡馬たちがマイナス値を記録しており、新潟ダートの特異性が目立つ。
ダートスプリントで女性騎手たちが躍動
最後に騎手別の新潟巧者率を見ていく。こちらも同コースでの勝ち数トップ30の騎手を調査対象とする。
高い巧者率を記録したのは今村聖奈騎手。14.2%-7.2%=7.0%の巧者率を記録している。ダートでは【16-8-6-48】で勝率20.5%と好成績だ。特にダート1200mでは、【11-4-3-20】で勝率28.9%、単勝回収率127%とベタ買いするだけでプラスである。
藤田菜七子騎手も8.0%-4.9%=3.1%とまずまず。金成貴史厩舎とのコンビでは【5-1-3-3】勝率41.7%、単勝回収率255%を記録している。得意コースは、今村騎手と同様にダート1200mであり、【20-18-11-122】で勝率は11.7%だ。
津村明秀騎手は9.9%-7.1%=2.8%。新潟なら芝とダートの両方で、単複の回収率が100%超えという生粋の巧者だ。秋の開催では【13-10-11-54】で勝率14.8%、複勝率38.6%と、春や夏の開催よりも成績を上げてくる。また、新馬戦では【6-7-9-32】複勝率40.7%と信頼度が高く、単複の回収率はともに150%超えだ。
一方、横山武史騎手が9.1%-12.8%=-3.7%と大きなマイナス。その他、田辺裕信騎手が9.7%-11.3%=-1.6%、石橋脩騎手が6.1%-8.5%=-2.4%であり、比較的新潟コースを苦手としている。
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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