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【2歳馬ジャッジ】ミカエルパシャがGⅠ級の走りを見せる 逃げてラスト2F11秒5-11秒4は優秀

2023 7/17 18:00山崎エリカ
7月2週目の2歳馬ジャッジ,ⒸSPAIA
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7月2週目の2歳戦

このコラムでは古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。今回は逃げて秀逸なラップを記録したミカエルパシャや、素質馬ロカの娘レガレイラなどが出た、7月8日、9日の2歳戦について指数と評価を掲載する。

7月8日(土)福島2R 優勝馬 ヴァンヴィーヴ 指数-3 評価B
新馬戦は出遅れて後方からの追走。終始外を回るロスの大きい競馬になるも、最後の直線では外から良く伸びて3着と、光る内容の競馬を見せていた。今回も5番枠から伸び上がるような感じのスタートで良かったとは言えないが、距離が1800mに延びたこともあり、前からは離されずに追走することができた。

後方外から向正面でじわっと位置を押し上げ、3~4角の外から進出開始。4角で先頭列に並びかけ、直線序盤で先頭に立つと、そこからもジワジワ伸び続けて、2着馬に5馬身差をつけて完勝した。

ラスト2Fは11秒9-12秒8。着差のわりに指数は高いものにならなかった。このレースは2着以下の馬があまり走らなかったようだ。ただ、本馬はデビューから2戦続けて上がり3Fタイム最速を記録と、底を見せていない。ロスのある競馬ぶりからまだ上積みを期待できる。速い流れの一戦で真価を問いたい馬だ。

7月8日(土)福島5R 優勝馬 エコロヴァルツ 指数-4 評価A
9番枠からやや出遅れたが、ダッシュはついて好位の外4番手を追走。3~4角では鞍上のM.デムーロ騎手らしく、強気に外から押し上げ4角では前を行く馬に競りかけた。直線序盤で先頭に立ち、そのまま押し切って1馬身3/4差で勝利した。

ラスト2Fは11秒6-12秒0と減速。道中の流れが遅かったこともあるが、レースの上がり3Fタイムは、同日同距離の福島2R・2歳未勝利戦よりもだいぶ速く、優秀なもの。また、3着馬には5馬身以上の差をつけており、新馬戦としてはなかなか優秀な指数を記録しての勝利となった。例年、福島芝1800m新馬戦勝ちの馬は叩かれながら上昇するタイプが多いが、本馬もそういうタイプになりそうだ。

7月9日(日)福島5R 優勝馬 ヘルモーズ 指数-1 評価B
4番枠から好スタートを切って、馬なりで2番手を追走。道中は2番手で我慢できていたが、3~4角で押し出されるようにして先頭に立ち、そのまま直線へ。最後は2着馬に迫られたが、半馬身差をつけて押し切った。

ラスト2Fは11秒9-12秒3。上がり3Fタイムは36秒4で、2着馬マイファミリーの35秒7と比較してもだいぶ劣る。数字面では高く評価できる要素があまりなく、指数も高いものにならなかった。ただ、いかにも走りそうな馬体。3角過ぎから先頭に立ってしまう内容からも、まだ能力を出し切ってはいないだろう。叩かれての上昇に期待だ。

7月9日(日)中京1R 優勝馬 ブルーミンデザイン 指数-6 評価A
ギャンブルルームが勝利した前走の新馬戦は、出遅れからポジションを取りにいくロスのある競馬ながら2着に入った。今回は好スタートを決めて2番手を追走。最後の直線では前を行くコートリーバウが強く、後続を離しにかかったが、本馬はそれに離されずに食らいつき、最後は追うものの強みでしっかり捕らえ、半馬身差で差し切った。

上位2頭で3着馬には7馬身以上の差。上がり3Fタイムの35秒0はこの日の中京芝としては悪くない。上位2頭がなかなか優秀な指数を記録する結果となった。今後、どちらも楽しめるだろう。

また、今回で再認識させられたのはギャンブルルームの強さだ。ブルーミンデザインは新馬戦で0.9秒差をつけられていたわけで、今回記録した指数にその分を上乗せすると、例年のやや強い札幌2歳Sの勝ち馬、東京スポーツ杯2歳Sで勝ち負けレベルの指数となる。ギャンブルルームが次走で本馬と同等の上昇力を見せる保証はないが、おおよその強さはわかった気がする。

7月9日(日)中京5R 優勝馬 ミカエルパシャ 指数-6 評価AAA
5番枠から五分のスタートだったが、他に行こうとする馬がおらず、押し出されるようにして逃げる形となった。5F通過65秒2のかなりのスローペースで、最後の直線は強烈な瞬発力勝負となった。迫る後続馬たちも必死の追い上げを見せるが、最後まで脚色が衰えることなく堂々の2馬身半差の完勝だった。

何と言っても逃げてラスト2Fを11秒5-11秒4でまとめた走りは秀逸。また、この日の中京芝はかなり時計が掛かるタフな馬場。2Rの芝2200mの3歳未勝利戦は、勝利したケイアイサンデラが1クラス上でも勝てる指数で5馬身差の圧勝だったが、上がり3Fタイムは35秒7。7Rの芝2000mの3歳未勝利戦もなかなかの好指数決着だったが、勝利したゴートゥファーストの上がり3Fタイムは36秒1。今回の本馬の上がり3Fタイムは34秒6で、この点もかなり優秀と言える。

芝の中距離新馬戦で、減速することなくラスト1Fが11秒0ならGⅠ級と言えるが、今回の中京芝はかなりタフな馬場状態。ラスト1F11.0秒並みとはいかなくとも、それに準ずる価値はありそうだ。無事なら重賞を勝てる馬になるだろう。評価AAかAAAで悩むところだが、ちょっとオマケでAAAとした。

7月8日(土)函館5R 優勝馬 ドナベティ 指数-6 評価A
9番枠からトップスタートを切って、そのままハナへ。逃げるかとも思われたが、内からサトミノキラリがハナを主張すると、すっと控えて2番手につけた。最後の直線では同馬を目標に仕掛け、キッチリ捕らえて1馬身差で勝利した。

芝1200mの走破タイム1分9秒3はこの日の函館の馬場を考慮するとかなり速い。4着馬には6馬身3/4差もつけている。今年のここまでの函館芝新馬戦では最も優秀な指数での勝利となった。

ラスト2Fは11秒1-11秒4。それなりに速いタイムで走破しながら、最後の減速度も0.3秒なら悪くない。次走で疲れが残るかは微妙なレベルで判断が難しいが、勝ったり負けたりしながらかなり上を目指せそうだ。

7月9日(日)函館5R 優勝馬 レガレイラ 指数-4 評価AA
白毛馬カルパのデビュー戦として注目が集まった新馬戦。そんな中でも圧倒的な1番人気に支持されたのが本馬だった。よほどの評判馬なのだろうと見てみると、母の欄にはロカの名前がある。ロカと言えば新馬戦のラスト2Fで11秒0-11秒0を記録。次走の阪神JFではデビュー2戦目ながら1番人気に支持されるほど素質が高かった馬だ。

その後はポイントとなるレースで二冠馬ミッキークイーンとぶつかることになってしまい結果を残せず、運がない馬だった。新馬戦ではラスト1F11秒0を記録したが、差しだった点で当時やや懸念していた。やはり競馬は先行して勝利してこそ価値が高いと、再認識させてくれた馬でもあった。

本馬も6番枠から母同様に出遅れ、二の脚もひと息で道中は中団の外を追走。3~4角では好位の外から位置を押し上げるカルパをマークし、4角でその外に出された。そこから逃げて直線早めにスパートしたセットアップを捕らえ、1馬身半差でゴールした。

ラスト2Fは11秒4-11秒5。母ロカのようなド派手な数字ではないが、函館芝の中距離ということを考えればなかなか優秀な数字だ。スタートが悪い点など当てにならない面はあるが、重賞で活躍する馬になっていくだろう。

2023年7月2週目の2歳馬PP指数,ⒸSPAIA


※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ミカエルパシャの指数「-6」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも0.6秒速い

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

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