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「京都巧者」をデータで徹底調査 京都ダートに抜群の適性を誇る種牡馬とは?

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再開する京都、狙い目は

今週ついに京都競馬場がリニューアルオープン、約2年半ぶりに京都開催が再開する。1回京都開催ではGⅡマイラーズカップやGⅠ天皇賞(春)が予定されており、ともに複数のGⅠウィナーを含む豪華メンバーが集結した。

予想の上で当然気になるのが京都コースへの適性。GⅠ・全3勝を京都であげたライスシャワーを代表として、癖のある淀の舞台を得意とする京都巧者の馬は多く存在する。しかし、改修が約2年半という長期間に及んだ影響で、京都コースを走ったことがない現役馬も多くなってきた。こうなると鞍上や血統といった側面から類推していくしかない。

そこで今回は、種牡馬や騎手の京都適性をデータで徹底検証する。ここでは京都での勝率から全場での勝率を引いたものを「京都巧者率」と定義し、この数値に基づいて得意、不得意を議論してゆく(種牡馬、騎手いずれもJRA通算成績を参照)。


芝のディープインパクト、ダートのマジェスティックウォリアー

種牡馬別「京都巧者率」一覧(芝),ⒸSPAIA


まずは、種牡馬別の「京都巧者率」について、芝コースから分析する。

圧巻はやはりディープインパクト。「京都巧者率」は、15.4%(京都芝コース勝率)-13.3%(全場芝勝率)=2.1%。まず勝率が非常に高い上に「京都巧者率」もプラスの数値であり、やはり京都はディープインパクト産駒の庭と言っても過言ではないだろう。天皇賞(春)にも、有力馬のジャスティンパレスとアスクビクターモア含む4頭が出走を予定している。

このディープインパクトを上回る値を叩き出したのが、その子であるキズナ。現役時代にも、同競馬場の京都新聞杯を制している。「京都巧者率」は、13.5%-9.7%=3.8%と驚異の値を記録、京都芝での単回収率も107%と黒字域をマークしている。積極的に狙っていきたい。

他にも、ジャスタウェイが10.3%-8.0%=2.3%、ミッキーアイルが11.1%-8.5%=2.6%で、ディープインパクトと比べて高い「京都巧者率」を記録。ちなみにミッキーアイルは自身もマイルCS勝ちがあるが、ジャスタウェイは現役時代、京都で2戦して4着、5着だった。

逆に「京都巧者率」がマイナス、つまり京都の芝コースを苦手とする種牡馬についても見ていこう。

エピファネイアは6.4%-9.6%=-3.2%。現役時代に菊花賞を圧勝したイメージとは裏腹の結果となった。しかし重賞に限ると【1-1-1-5】で勝率12.5%とまずまず。秋華賞のデアリングタクトや菊花賞のアリストテレスなどGⅠクラスでの好走も多いため、このデータの取り扱いには注意したい。

モーリスは6.7%-11.4%=-4.7%とより壊滅的。京都芝では【1-0-1-13】と2頭しか馬券に絡んでいないが、現状ではサンプルが少ないのも確か。出走頭数が増えてくるまでは様子見が妥当だろう。

種牡馬別「京都巧者率」一覧(ダート),ⒸSPAIA


次にダートコースについても見ていこう。

特筆すべきは、マジェスティックウォリアー。20.3%-8.6%=11.7%と衝撃の「京都巧者率」を記録、単回収率152%と妙味も十分だ。プロミストウォリアやサンライズホープなど、近年重賞戦線で活躍馬を多く輩出しており、京都ダートでの活躍も間違いないだろう。

近年、ダート種牡馬としても評価が急上昇中のオルフェーヴルは11.7%-9.4%=2.3%。上がり3F1位を記録したケースでは【6-5-1-2】で勝率42.9%、単回収率377%。安定感と妙味を兼ね備えており、末脚を武器とする産駒が出走してきた場合は狙い目だ。

その他、ルーラーシップは10.3%-7.3%=3.0%、パイロは10.0%-8.0%=2.0%、キングカメハメハは11.9%-10.4%=1.5%とまずまずで、この辺りは比較的の京都ダートとの相性がいい。ただし、単回収率は順に97%、88%、70%とそこまで高くない。

一方でよくないのはディープインパクト。芝では高い京都適性を見せていたが、ダートでは7.1%-8.4%=-1.3%と苦戦傾向にある。単回収率も46%と低く、過剰人気に注意したい。

京都巧者率、種牡馬の芝・ダート(通算成績),ⒸSPAIA


トップジョッキーが苦戦

騎手別「京都巧者率」一覧,ⒸSPAIA


最後に、騎手別の「京都巧者率」を見ていこう。意外にもプラスとなった騎手は非常に限られていて、川田将雅騎手は14.0%-16.0=-2.0%、C.ルメール騎手は14.8%-21.3%=-6.5%、横山典弘騎手は8.0%-13.9%=-5.9%と、名だたるトップジョッキーがマイナス値を記録。京都コースの難しさが如実に現れている。

数少ない「京都巧者率」プラスのジョッキーは、まず京都のGⅠで4勝をあげているM.デムーロ騎手が17.3%-16.8%=0.5%。また、京都競馬場で最多勝の武豊騎手は19.0%-18.4%=0.6%でこちらもプラス、今週末のGⅡマイラーズカップではエアロロノアに騎乗予定だ。あとは岩田康誠騎手が11.8%-11.8%=±0.0%で、京都でも他場と同等の勝率を残している。

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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