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【スプリングS】フリージア賞に大物の相 東大HCの本命はホウオウビスケッツ

2023年スプリングSの前走4着以内馬の2歳重賞出走経験別成績,ⒸSPAIA
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クラシックの勢力図は変わるか

今週日曜、中山競馬場を舞台にGⅡスプリングSが行われる。京成杯で直線不利を受けながら3着に好走したセブンマジシャン、デイリー杯2歳S覇者オールパルフェ、2戦2勝組のべラジオオペラ、ホウオウビスケッツ、中山でキャリアを積んだメタルスピードなどが皐月賞トライアルに挑む。

今年の3歳牡馬クラシック路線は稀にみる大混戦。出走枠をめぐる争いも最終盤に差しかかる中、本番に有力馬として名乗りを上げる存在は現れるか。今週も過去のデータを参考に馬券戦略を考えていく。


セブンマジシャンは安泰、牙城を崩すのは?

スプリングS・前走着順別成績,ⒸSPAIA


<スプリングS・前走着順別成績>
前走4着以内【10-10-9-68】勝率10.3%/連対率20.6%/複勝率29.9%
前走5着以下【0-0-1-34】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率2.9%

<スプリングS・前走4着以内の馬 2歳重賞経験別成績>
経験あり【5-4-6-18】勝率15.2%/連対率27.3%/複勝率45.5%
経験なし【5-6-3-50】勝率7.8%/連対率17.2%/複勝率21.9%
※過去10年

スプリングSは前走着順がキーポイントとなるレースで、過去10年の馬券圏内30頭中29頭が前走4着以内だった。5着以下から巻き返したのは昨年3着のサトノヘリオス(前走ホープフルS13着)のみ。同馬は2歳時に芝2000m戦で2度のレコードタイムを記録しており、距離適性と脚力が担保された存在だった。今年の該当馬にそれほどの戦歴を持つ馬は見当たらず、オールパルフェ、グラニット、シーウィザード、ドンデンガエシの評価を下げたい。

前走4着以内の馬に限って分析を進めると、2歳時から重賞に出走していた馬の活躍ぶりが浮き彫りになる。5割に迫る複勝率のみならず、単勝回収率170%、複勝回収率117%と妙味も兼備。過去10年では2021年(この年は重馬場)を除いて馬券に絡んでおり、まずここから検討するのが得策といえそうだ。今年はアイスグリーン、シルトホルン、ジョウショーホープ、セブンマジシャンの4頭が該当する。

この組のうち、2歳GⅠで5番人気以内の支持を受けていた馬は【1-3-1-1】複勝率83.3%で、セブンマジシャンは素直に上位評価が必要だろう。

2歳重賞の経験がない馬は好走率が半分以下に落ちるが、母数が多いことから無視できない存在。このうち、中山芝で勝ち鞍があった馬は【2-2-1-17】複勝率22.7%、東京芝で勝ち鞍があれば【3-2-3-13】複勝率38.1%と、 実は後者の方が結果を出している。メンバーレベルの問題が関係するのだろう。特に、東京芝で0秒3以上の着差を付けて勝っていると【2-1-2-2】複勝率71.4%。ホウオウビスケッツだけが条件をクリアするため、ここを最上位としたい。


混戦を断って皐月賞へ

◎ホウオウビスケッツ
3代母マンファス、つまりキングカメハメハの近親にあたる良血。初戦の逃げ切りは特に強調材料がないものの、2戦目のフリージア賞が強烈な内容。好発からハナを奪うと前半5F61秒6のスローに落とし、追い込んだサスツルギ以下を寄せ付けない快勝。後半5Fは全て11秒台、57秒7での押し切りだった。

1986年以降の芝2000m戦で後半5F57秒7以下がマークされたのは62レース。3歳2月以前に限るとこのレースとワグネリアンの新馬戦しかない。レースセンスなど現状での完成度が高く、初の重賞挑戦でも実績馬に引けは取らないだろう。皐月賞に最後の新星として殴り込むためにここは結果が求められる。

◯セブンマジシャン
デビュー2連勝の内容は平凡だったが、ホープフルSは前残りを差して勝ち馬から0秒4差の6着。試金石といえる京成杯では4角で外に膨れたソールオリエンスのアオりを受け、さらにオメガリッチマンがヨレた影響で進路を塞がれるという二重の不利がありながら3着にまとめた。並の馬なら大敗してもおかしくない中での健闘は高い能力の証拠だろう。メンバー中随一の実績馬として上位争いが濃厚とみる。

▲ベラジオオペラ
ホウオウビスケッツと同じ2戦2勝馬。2戦ともラスト3F勝負にきっちり対応して勝ち切っている。新馬戦は3着だったショウナンバシットがのちに未勝利、1勝クラスを連勝し、すみれSでも素質馬シャザーンに0秒1差と、メンバーレベルも高かった。

ただ新馬戦が9頭立て、セントポーリア賞が8頭立てと多頭数の経験に欠け、ともに緩い流れでの勝利。これまでとは違うスタイルの運びを余儀なくされる可能性が高い。軸としての信頼感は薄いとみて3番手評価とした。

以下アイスグリーン、ジョウショーホープ、ウィステリアリヴァ、押さえにパクスオトマニカまで印を回す。買い目は◎の単勝、◎-◯のワイドを本線に、◎から▲以下への馬連を抑える。

▽スプリングS予想▽
◎ホウオウビスケッツ
◯セブンマジシャン
▲ベラジオオペラ
△アイスグリーン
×ジョウショーホープ
×ウィステリアリヴァ
×パクスオトマニカ

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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