逃げに警戒すべきコース
ここ2年ほど、阪神芝1400mの重賞は1年で6つも開催されていた。改修中の京都から同距離重賞を受け持ったことによるもので、昨年末はダイアトニックがスワンS→阪神CとこのコースのGⅡを連勝して引退、種牡馬入りしたのが記憶に新しい。つい先週も京都牝馬Sがここで開催されていた。
その京都牝馬S、勝ったのは2番人気ララクリスティーヌの差しだったが、逃げ粘ってハナ差2着だったのが1番人気ウインシャーロット。逃げ切りまでわずかだった。この阪急杯の直近10年を見ても、逃げは【4-0-0-6】。逃げが決まることを十分に警戒しなくてはいけないコースである。
その逃げ切り4例を全て確認すると、2014年コパノリチャード、2016年ミッキーアイル、2018年ダイアナヘイロー、2021年レシステンシアといずれも十分な逃げの実績がある馬ばかり。逆に逃げ切れなかった馬たちは、普段あまり逃げておらず、この場の作戦として逃げた馬が多かった。
たとえば昨年のモントライゼは、デビュー以来3度目の逃げで結果は12着。1度目は未勝利戦1着、2度目は朝日杯FS10着というもので、逃げ馬として実績があったとは言い難い。3年前に逃げたニシノラッシュは15着。4走前に3勝クラスを逃げ切っていたが、このときがデビューから19戦目でようやく2度目の逃げ。その後はやはり先行で戦っていた馬だった。
まとめると、逃げ馬としての実績がある馬が出走すれば、狙いたくなる重賞だといえる。
逃げ経験豊富なホウオウアマゾン
今回の登録馬で逃げそうな馬となればホウオウアマゾンだろう。毎回逃げるわけではないが、他がいないときは逃げても戦える馬である。阪神芝1400mは全て重賞で出走して【0-1-1-1】。重馬場のほうが得意という説もあるが、今回は確固たる逃げ馬がいないため、楽に逃げられる可能性があるのは好材料。前走は初ダートの根岸Sで12着。この敗戦は度外視でいい。
ただ、他にも気になる馬がいる。アグリだ。デビューから8戦しかしておらず、逃げは2走前の2勝クラス1着のみだが、そこが阪神芝1400m。前走3勝クラスも同コースで2番手から快勝しており勢いがある。未知数の部分が多く、逃げ実績があると言えるかも微妙だが、行く馬がいなければ逃げてもいい。
大穴候補ならばメイショウチタンである。3走前にオーロCで逃げてクビ差の2着。たまたまスタートがよくて逃げてしまったとのことで、逃げを試した回数も少なく、実績があるとは全く言えない。しかし近況は後方から不発が続いていることを考えると、本質的には前々で競馬したほうがいいのだろう。
正直、今回は同コースの阪神カップで2着したグレナディアガーズが出走しており、あまり逆らう意味はないのだが、これに対抗できるとしたら後ろからの馬より逃げ馬なのではないか。
余談だが、昔、阪急の名前を冠したGⅢが他にもあった。阪急ダイヤモンド賞。かつて西宮競輪で開催されていたGⅢ(西宮記念)のことである。2002年3月をもって廃止となった西宮競輪だが、その最後の阪急ダイヤモンド賞を勝ったのはGⅠを6勝、グランプリも2回制し、昨年引退した若き頃の村上義弘選手。ちなみに、2周逃げ切りだった。
<ライタープロフィール>
佐藤永記
20代を公営ギャンブラーとして過ごし、30歳から公営競技の解説配信活動を開始。競馬を始め多くの公営競技ファンに各競技の面白さや予想の楽しみを伝えている。現在はYoutubeで配信活動を続けながらライターとして公営競技の垣根を超えて各所で執筆中。
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