今年も新星登場の予感
昨年はイクイノックスが2歳秋から皐月賞へ直行し、本番へ向けてゆったりと間隔をとるローテはさらに一歩進んだ感がある。イクイノックスは使わなかったというニュアンスより、体のつくり以上に走ってしまうため、そうせざるを得なかった面も大きい。素質を信じ、間隔をとることで体質強化を促せばいずれ大輪を咲かせる。イクイノックスが示した道は必ずや今後のトレンドに影響するだろう。
現状では共同通信杯は時期、条件を踏まえた上でクラシックに向けてベストな選択だと考えられているが、これもいずれは変わっていくかもしれない。もちろん、サラブレッドとて個性が大事なので、各馬に合ったローテーションは必ずあり、みんなが同じではない。馬券もいかに馬の個性を見抜けるかにかかっている。データは過去10年分を使用する。
1番人気は【1-3-1-5】勝率10.0%、複勝率50.0%で思ったほど主役が勝っていない。21年エフフォーリアは4番人気、昨年ダノンベルーガは3番人気で1番人気は2歳重賞の実績馬が目立ち、そこが素質馬に逆転された結果でもある。そのため3番人気【4-2-1-3】勝率40.0%、複勝率70.0%、4番人気【2-1-2-5】勝率20.0%、複勝率50.0%とレース前は一歩下がった位置にいる馬のなかに原石がいる。大きな波乱はあまりなく、6番人気【2-1-0-7】勝率20.0%、複勝率30.0%以内でおおむね決着する。
素質馬登場の一戦らしく、キャリア1戦が【2-2-2-6】勝率16.7%、複勝率50.0%と強力だ。今年もジャパンC当日に東京芝1800mの新馬を0.6差圧勝のタスティエーラやマイルCS当日の阪神芝2000mの新馬を1秒ぶっちぎったタッチウッドがいる。
前走新馬の距離別成績をみると、1800m【1-2-1-1】勝率20.0%、複勝率80.0%、1800m超は【1-0-1-0】でパーフェクト。1800m未満は【0-0-0-5】なので、やはりクラシックを意識し、中距離からキャリアをスタートさせた馬がいい。タスティエーラもタッチウッドもこの条件を満たし、有力だ。ダノンザタイガー、レイベリング、ファントムシーフら実績馬に勝ち、クラシックへの道を拓くかどうか注目だ。
妙味感じるコレペティトール
とはいえ、キャリア2戦【2-0-2-14】勝率11.1%、複勝率22.2%、3戦【4-6-3-22】勝率11.4%、複勝率37.1%、4戦【2-1-2-13】勝率11.1%、複勝率27.8%と複数キャリアも負けていない。
まず新馬組と対照的に前走未勝利は【0-0-0-9】。格下からくる素質馬の青田買いといっても未勝利勝ちは好走がないので注意しよう。
複数キャリアではまず前走GⅠは【0-4-0-6】複勝率40.0%と勝ち馬を出していないが、好走確率は高い。ここは朝日杯FS【0-4-0-4】、ホープフルS【0-0-0-2】。サンプル数は少ないが、ファントムシーフの扱いは慎重に考えるべきか。マイル戦からの転戦が有効で、しかも着順は問わない。朝日杯FS3着レイベリング以外にも目を配ろう。
次にダノンザタイガーの前走東京スポーツ杯2歳Sは【2-0-1-3】勝率33.3%、複勝率50.0%。ここはすべて前走4番人気以内、かつ3着以内だった。ダノンザタイガーもここに当てはまる。賞金加算のチャンスは十分ある。
最後に前走1勝クラス【4-2-1-21】勝率14.3%、複勝率25.0%について。1勝クラス組は2勝目をあげた前走1着【3-1-1-4】勝率33.3%、複勝率55.6%または2、3着【1-1-0-4】まで。こうやまき賞を勝ったコレペティトールには注目したい。こうやまき賞は前後半800m47.2-47.4とバランスのとれたラップ構成だった。中団から上がり最速で差したコレペティトールは侮れない。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』（中央競馬ピーアール・センター）にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『テイエムオペラオー伝説 世紀末覇王とライバルたち』『競馬 伝説の名勝負 GⅠベストレース』（星海社新書）に寄稿。
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