記録にも記憶にも残る1勝
実に40年ぶりの7頭立てという少頭数で施行された2023年のシンザン記念は、武豊騎手騎乗のライトクオンタムが優勝した。
日本競馬が誇るレジェンドは、この勝利でJRA重賞350勝の節目、ならびに37年連続の重賞勝利を達成した。手綱をとったライトクオンタムは弟・武幸四郎厩舎の管理馬で、現役時に全14戦をともに戦ったディープインパクトの、国内にわずか6頭しかいないラストクロップ。縁深い人馬と決めるあたりはさすがの一言。記録にも記憶にも残る1勝となった。
レースは短距離を使ってきたペースセッティングが大外枠から勢いよくハナを切る展開。ライトクオンタムは出遅れ気味のスタートからガッチリと抑えて、後方で折り合いに専念する。4角の出口からスパートをかけていき、外差し有利の傾向になった馬場の大外へ迷いなく誘導されると、ぐんぐんと伸びて直線一気を決めた。
新馬戦は逃げて、直線軽く追われただけで2着に2馬身半、さらに3着と3馬身半の着差をつけるスケールの大きい競馬ながら、前に馬を置く競馬を経験できず。今回、差す形を教えつつ、賞金を加算して桜花賞への切符をつかむミッションに成功した収穫は極めて大きい。
思えば、シンザン記念を勝った牝馬の代表格として語られるアーモンドアイの年も、桜花賞は4戦無敗の阪神JF勝ち馬ラッキーライラックが断然という前評判だった。今年はリバティアイランドがおそらく1番人気になるであろう桜の舞台、強力なライバルにどのような戦いを見せるのか楽しみにしたい。