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【朝日杯FS】デインヒル、ノーザンテースト内包馬が好成績 有力馬の血統解説

2022 12/15 06:00坂上明大
2022年朝日杯FSの傾向と血統,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

傾向解説

中山芝2000mのホープフルSがGⅠに格上げされてから、短距離~マイル路線の2歳チャンピオン決定戦という位置付けにシフトした朝日杯FS。短距離馬も多く参戦するためハイペースになることが多く、完成度の高さとハイペース適性が求められる一戦です。2歳戦に強い血統を中心に、朝日杯FSのレース傾向を整理していきましょう。

先週と重なりますが、まず注目したいのはオーストラリアで一大父系を築き上げたデインヒル。オーストラリア競馬は2歳戦と短距離戦が充実しており、そのカテゴリーを牽引してきたのがデインヒル父系です。同父系がつたえるスピードと早熟性は日本の2歳戦においても非常に強力で、阪神JFでも取り上げた重要血統。朝日杯FSでも(阪神開催となった)過去8年の勝ち馬のうち4頭がデインヒルの血を内包しています。ただ、日本で種牡馬入りしたハービンジャーは欧州の芝中長距離馬のため、むしろ避けた方がベターです。

また、スピードとタフさに長けたノーザンテーストにも注目。ノーザンテーストは1982~88、90~92年と10度の日本リーディングサイアーに輝いた大種牡馬ですが、血統的にはLady Angelaの3×2という野心的なインブリードが最大の特徴で、2022年の現在においても強い影響力を持つ血統のひとつです。特にここ3年はハイペースの朝日杯FSが続いているだけに、今年もノーザンテースト持ちの伏兵には注意が必要です。

血統別成績(過去8年),ⒸSPAIA


血統解説

・ダノンタッチダウン
母エピックラヴはフランスの3歳牝馬GⅠ・サンタラリ賞の2着馬で、その父の父は注目血統に挙げたデインヒル。半兄ダノンザキッドは2020年ホープフルSを制して最優秀2歳牡馬に輝いており、父がジャスタウェイからロードカナロアに替わった本馬は兄以上のスピードを有した素質馬です。決して早熟血統ではありませんが、適性とスケールは十分にクリアしており、今年のメンバーであれば十分にチャンスのある1頭といえるでしょう。

・ドルチェモア
母アユサンは2013年桜花賞馬で、その全妹マウレアも2017年阪神JFで3着に入るなど、仕上がりの早さには定評のある一族です。ただ、本馬は父にルーラーシップを配したスレンダーな中距離馬で、近年の朝日杯FSの好走馬とはややタイプが異なります。それでも、前走のパフォーマンスは非常にレベルが高く、クラシックに向けて楽しみな一頭といえるでしょう。

・ティニア、レイベリング
血統面から注目したのはFrankel産駒の2頭。父の産駒からは2020年優勝馬グレナディアガーズが出ており、その他にもソウルスターリング、モズアスコットと数少ない産駒から3頭のGⅠ馬を出す日本適性の高い種牡馬です。そして、その母の父は注目血統に挙げたデインヒルで、特にFrankelの発達したトモはデインヒルの影響を強く受けた証といえるでしょう。両馬ともコンパクトにまとまったスピード馬でもあり、2歳GⅠから楽しみな存在です。

2022年朝日杯FS出走馬の血統解説,ⒸSPAIA



ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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