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【毎日王冠】きょうだいでの活躍も目立つ一戦 2016年勝ち馬ルージュバックの半弟・ポタジェが参戦

2022 10/4 06:00緒方きしん
毎日王冠過去5年間の優勝馬,ⒸSPAIA
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新興勢力がGⅠ馬に挑戦

凱旋門賞はアルピニスタが勝利。日本馬はタイトルホルダーの11着が最先着という悔しい結果となった。一方、国内ではジャンダルムがスプリンターズSを制覇。こちらは母と息子、親子での同一GⅠ勝利という偉業を達成した。

さて、今週は「スーパーGⅡ」毎日王冠が開催される。過去にはサイレンススズカやグラスワンダー、オグリキャップといった歴史的名馬が勝利している一戦。

今年は久々の勝利を目指すレイパパレやサリオス、ダノンザキッドらと、前走を勝利し勢いにのるノースブリッジやレッドベルオーブらが激突する。また、春に大阪杯を制したポタジェも参戦し、真価を問われる一戦となりそうだ。今回は、そんな毎日王冠の歴史を振り返る。

1番人気の信頼度が高く、手堅い傾向

毎日王冠過去5年間の優勝馬,ⒸSPAIA


ここ5年間で1番人気は4勝。2017年に3歳牝馬ソウルスターリングが1番人気8着に敗れたのを最後に、現在は1番人気馬の連勝が続いている。その前の2016年にはルージュバック、2015年にはエイシンヒカリがやはり1番人気で勝利しており、1番人気の信頼度が高いレースと言える。

荒れた毎日王冠といえば、2014年。5歳馬の2頭が人気を集めたが、1番人気ワールドエースが13着、2番人気グランデッツァが5着に敗れた。勝利したのは同じく5歳馬のエアソミュール(8番人気)。さらに2着、3着にも5歳馬のサンレイレーザー(11番人気)、スピルバーグ(5番人気)が入り、馬連は277.8倍、三連単は3883.5倍の波乱となった。

ただ、ここ4年は非常に平穏な決着。馬連の配当も2021年3.5倍、2020年5.8倍、2019年3.0倍、2018年6.7倍と手堅い。特に2019年は1着ダノンキングリー(1番人気)、2着アエロリット(2番人気)、3着インディチャンプ(3番人気)と人気通りの決着となっている。2017年こそ馬連が23.4倍とやや高配当となったものの、それも3番人気リアルスティールと5番人気サトノアラジンという実力馬同士の決着だった。

この5年間で馬券圏内にきた馬は一頭を除き、全てが5番人気以内という堅い決着が続いている。唯一、5番人気以下で好走したのは、2018年6番人気3着のキセキだけだ。

半兄カンパニーを彷彿とさせた、ヒストリカルの3着

2016年の毎日王冠もまた、1着、2着が1番人気ルージュバックと3番人気アンビシャスという決着となり、馬連は8.0倍となった。しかし三連単の配当は617.1倍。ワイドの配当も1着-3着、2着-3着ともに40倍を超えた。それは3着にきたのが、11番人気のヒストリカルだったからだ。

ヒストリカルは早くから頭角をあらわしたディープインパクト産駒の期待馬だった。きさらぎ賞で2着となり挑んだ毎日杯ではエアソミュールやスピルバーグ、マウントシャスタらを相手に上がり最速で快勝。ゴールドシップやディープブリランテたちが揃ったダービーでも6番人気に支持された。しかし結果は最下位。放牧明けの神戸新聞杯でも3番人気ながら7着に敗れ、そこからは低迷期が続いた。

ヒストリカルには8つ年上の半兄がいる。それが父ミラクルアドマイヤの、カンパニーである。カンパニーはきさらぎ賞では7着に敗れ、ダービーは未出走。しかしラジオたんぱ賞で2着に好走し、ヒストリカルが出走を回避した菊花賞には出走している。

カンパニーといえば、現役ラストの8歳シーズンに3連勝を飾って引退という強烈な印象を残した馬でもある。そのカンパニー最後の3走の第一戦目が、毎日王冠だった。圧倒的人気を集めたウオッカを外から交わし、1馬身差の勝利。勢いそのままに天皇賞(秋)とマイルCSを連勝した。

ヒストリカルも2016年には7歳のベテランになっていたが、11番人気という評価を覆した激走には半兄カンパニーから受け継いだ意地を感じた。

ルージュバックとの姉弟制覇なるか

ヒストリカルが3着に好走した2016年の勝ち馬ルージュバックもまた、3歳にはきさらぎ賞に出走した期待馬だった。そこでポルトドートウィユ、アッシュゴールドという良血馬を相手に勝利し、桜花賞、オークスでいずれも1番人気に推された。

しかし桜花賞はレッツゴードンキ、オークスはミッキークイーンが勝利し、ルージュバックはGⅠタイトルを逃してしまう。結局、引退までにオールカマーやエプソムCを制して実力を見せながらも、GⅠタイトルには手が届かないまま、引退となった。

そして今年、ルージュバックの5つ年下の半弟・ポタジェがGⅠ大阪杯を制覇。姉の悲願を達成した。ポタジェはクラシックとは無縁ながらも着実に力をつけていき、重賞初制覇を大阪杯で成し遂げたのだった。

今年の毎日王冠に出走を予定しているポタジェ。GⅡ、GⅢを制しながらもGⅠに手が届かなかった姉と、GⅡ、GⅢを一度も勝つことなくGⅠを制した弟。果たして、姉が制したこの毎日王冠では、どのような走りを見せるのだろうか。是非、ご注目いただきたい。

ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。

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