2歳女王にオークス2着馬とフェアリーS覇者が挑む
春はスターズオンアースが二冠を達成した牝馬クラシック路線。しかし、この時期の3歳馬はひと夏越すとグッと成長する。それだけに、春から勢力図が変わっているのか把握するためにもトライアルから目が離せない。
さて、9月10日は3着馬までに秋華賞の優先出走権が与えられる紫苑Sが行われる。今回は第1回特別登録の中から3頭の重賞勝ち馬に注目し、データで徹底比較していく。
なお、騎手はあくまで想定。出走馬確定後、しっかり確認していただきたい。

まず注目するのは、エピファネイア産駒で昨年の阪神JF(GⅠ)を3連勝で制したサークルオブライフだ。年が明けてからはチューリップ賞3着、桜花賞4着。1番人気に支持されたオークスではまさかの12着と大敗。しかし、ここに入れば実績は最上位、主役候補だ。ここまでコンビを組み続けるM.デムーロ騎手と共に、順調な秋初戦としたいところだろう。
次にキングカメハメハ産駒のスタニングローズ。騎手は2勝目を挙げたときの坂井瑠星騎手に戻る予定。2走前のフラワーカップ(GⅢ)で初重賞制覇を果たすと、前走のオークス(GⅠ)では0.2秒差の2着と健闘。年明けからの順調さを考えると、こちらも上位争い必至だ。
最後は今年のフェアリーS(GⅢ)勝ち馬ライラック。こちらは戸崎圭太騎手と初コンビを組む予定。桜花賞16着、オークス11着と二桁着順を並べたが、桜花賞は1.1秒差と印象ほどは負けていない。近3年はオークスで二桁着順だった馬が連に絡んでいるだけに、軽視は禁物だ。
中山・芝2000mの種牡馬別成績

2017年9月1日から2022年8月31日までに中山競馬場の芝2000mでは242レースが行われた。まずは重賞勝ち馬3頭の種牡馬別のコース成績を調べてみた。
エピファネイア産駒(サークルオブライフ) [9-9-10-55]
キングカメハメハ産駒(スタニングローズ) [8-10-9-56]
オルフェーヴル産駒(ライラック) [8-9-6-107]
全体トップはディープインパクト産駒で[33-31-25-146]勝率14.0%、連対率27.2%、複勝率37.9%となっている。
サークルオブライフの父であるエピファネイア産駒は、全体6位の勝ち星で勝率10.8%、連対率21.7%、複勝率33.7%。複勝率は産駒が50レース以上走っている種牡馬の中では2位、この舞台が苦手というわけではない。実際、サークルオブライフの初勝利も中山競馬場だった。
続いてスタニングローズの父キングカメハメハ産駒は全体で8位タイの8勝、勝率9.6%、連対率21.7%、複勝率32.5%。数字の上ではエピファネイア産駒とほぼ差がない。スタニングローズも中山のフラワーカップで重賞制覇しており、坂を含め心配はなさそうだ。
最後にライラックの父オルフェーヴル産駒について見ていく。勝ち星こそ8勝と全体では8位タイだが、勝率6.2%、連対率13.1%、複勝率17.7%と他2頭に比べると数字は落ちる。とは言えライラックは中山で行われたフェアリーSを出遅れながら後の二冠牝馬スターズオンアースをクビ差差し切っている。率の上では見劣るが決して侮れない。
中山・芝2000mの騎手&調教師成績

次に中山・芝2000mの騎手別成績を見ていく。
M.デムーロ(サークルオブライフ) [11-7-13-54]
坂井瑠星(スタニングローズ) [0-0-0-9]
戸崎圭太(ライラック) [14-21-18-76]
全体トップはC.ルメール騎手で[29-16-7-36]で勝率33.0%、連対率51.1%、複勝率59.1%とずば抜けた成績。2位が田辺裕信騎手で[15-15-13-84]勝率11.8%、連対率23.6%、複勝率33.9%となっている。
サークルオブライフに騎乗予定のM.デムーロ騎手の勝ち星は6位、勝率12.9%、連対率21.2%、複勝率36.5%。実力を考えるとやや物足りない数字に見えるが、複勝率はさすがといった印象を受ける。
次はスタニングローズに騎乗予定の坂井瑠星騎手。9回しか騎乗がないとはいえ、最高着順が5着と一度も馬券に絡んだことがないのが気がかりだ。
ライラックに騎乗予定の戸崎圭太騎手は勝ち星は全体3位、勝率10.9%、連対率27.1%、複勝率41.1%。ハイアベレージなだけに当該舞台ではおさえておきたい存在だ。

最後に管理している3名の調教師成績を見ていく。
国枝栄(サークルオブライフ) [15-15-11-51]
高野友和(スタニングローズ) [0-0-1-4]
相沢郁(ライラック) [3-1-3-47]
サークルオブライフを管理する国枝栄調教師が全体1位の成績。勝率16.3%、連対率32.6%、複勝率44.6%。近10年の紫苑Sで見ると[1-1-2-3]。2012年はパララサルーで勝利、馬券圏内もホワイトエレガンス、フロンテアクイーン、カレンブーケドールなど多数。20年のマジックキャッスルも4着という成績で、軽視はもちろん禁物だ。
栗東所属の高野友和調教師はサンプルが少ないが、期間を近10年に広げると[2-0-2-11]。2014年にはGⅡ時代のホープフルSをシャイニングレイで制している。
ライラックの相沢郁調教師は出走馬の平均人気が7.8番人気とはいえ勝率5.6%、複勝率7.4%、複勝率13.0%と寂しい数字が並ぶ。
3頭とも中山競馬場で勝利経験があり、重賞実績も十分。種牡馬、騎手、調教師の数字だけを見ると、サークルオブライフが一歩リードしているといえるだろう。

《ライタープロフィール》
高橋楓。秋田県出身。
競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』にてライターデビュー。競馬、ボートレース、競輪の記事を中心に執筆している。
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