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【キーンランドC】前走で成長を見せたレイハリアが中心 不完全燃焼続くヴェントヴォーチェも要警戒

2022 8/25 06:00坂上明大
2022年キーンランドCの参考レース、アイキャッチ,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

レースレベルは低め!?

サマースプリントシリーズ第5戦・キーンランドC。シリーズ終盤戦としても目が離せないが、他方ではGⅠスプリンターズの前哨戦としても重要度の高いステップレースのひとつだ。今年も3歳世代トップクラスの参戦があり、世代間の勢力図にも大きな影響を与える一戦となるだろう。

【葵S】
木〜金曜に計97.5mmの降雨があったが、開催時には概ね回復しており終日良馬場での競馬。時計は水準以上の数字を記録しており、内外のトラックバイアスも認められなかった。レースは内枠2頭での逃げ争いで前後半3F33.2-35.0の前傾1.8秒。ただ、当時は向正面追い方向の強風が吹いており、数字ほど厳しい展開ではなかっただろう。

1着ウインマーベルは中団馬群で脚をタメ、直線では2着馬を2馬身半突き放しての快勝。2着以下はその後に2勝クラスを勝ち上がれていない馬が多く全体のレベルは低めだが、本馬の勝ち時計は昨年のレイハリアより0.1秒遅い程度。アローワンスを考慮すれば、古馬相手でも勝負になる力関係だろう。

復調を感じさせる負け方

2022年キーンランドC参考レース,ⒸSPAIA


【函館スプリントS】
開幕週でトラックバイアスは内有利。レースはビアンフェが馬群を引っ張り、前後半3F32.8-34.4のハイペース。トラックバイアスの分、極端な追い込み決着にはならなかったが、ベストはイン差しの形だっただろう。

2着ジュビリーヘッドは中団外目を追走し、直線も脚色は衰えなかった。トラックバイアスが向いたわけではないが、持ち味であるレースセンスの良さは重賞クラスでも通用することを証明。GⅢクラスであれば今後も安定したパフォーマンスを披露してくれるだろう。

3着タイセイアベニールは後方のラチ沿いで脚をタメ、直線も内から馬群を捌いて追い込む形。トラックバイアスと展開を味方につけた感は否めない。

4着レイハリアは早めに逃げ馬を捕まえに行く形で展開は向かなかったが、それでもしぶとく粘って掲示板内を確保。馬体重8キロ増で成長力も感じ、冬場のスランプを抜け出した感がある。

新時代の新潟芝1000m戦

【アイビスサマーダッシュ】
新潟芝1000m戦らしい外有利の競馬。ただ、昨年内ラチから3着と好走したバカラクイーンの影響もあり、今年は内ラチ沿いに4頭が進路を取る新時代の新潟芝1000m戦となった。開幕週の綺麗な馬場でもあり、特に内ラチ沿いは好走が目立つゾーン。今年も5、6着を確保しており、開催時期によっては無視できない戦法となるだろう。

1着ビリーバーは8枠16番から外ラチ沿いを追走。残り200mから逃げ馬を捉えに行き、鋭い末脚で初の重賞制覇を果たした。7歳牝馬の重賞勝ちには賞賛の一言だが、新潟芝1000m戦のセオリー通りの競馬っぷりではあったか。

9着ヴェントヴォーチェは終始内々にモタれながらの追走となり、馬群を捌くのにも一苦労。久々の直線競馬に戸惑った感があり、不完全燃焼の一戦であった。

昨年勝ち馬の成長力

昨年の勝ち馬レイハリアは函館スプリントSが成長を感じさせる競馬っぷり。昨年から4キロの斤量増にはなるが、それに見合った成長力をしっかりと見せている。今年も中心の一頭だ。重賞では凡走続きのヴェントヴォーチェにも要注意。ここ2戦はスムーズさを欠いており、3走前に見せたGⅠ級のパフォーマンスは無視できない。

注目馬:レイハリア、ヴェントヴォーチェ

※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません。

ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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