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【函館記念】STV杯で高い適性示したアラタに期待 ペース次第で穴馬レッドライデンも

2022 7/16 17:00山崎エリカ
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函館記念はハイペースになりやすいが、今年は先行勢力が手薄

函館記念が行われる函館芝2000mは、スタンド右側のポケットからスタートし、1角までの距離は約475m。坂の頂上からのスタートで2角まで下り坂が続くため、前半のペースが上がりやすいのがポイント。 また、函館は札幌と同様に寒冷地対策として欧州と同じ洋芝が使用されているため、野芝より耐久性が低く、開催が進むほど馬場の傷みが進行し、時計を要するようになる。この時期は蝦夷梅雨になる年もあり、そうなるとなおさら悪化しやすい。 ただし、今年は逃げ馬はジェネラーレウーノとレッドライデンの2頭で大逃げ馬不在。先行馬はそこまで手薄ではないが、かなりのハイペースとなった近2年よりもペースが落ち着きそうな気配を感じる。

函館記念出走馬のPP指数一覧ⒸSPAIA

能力値1~5位馬の紹介

【能力値1位 サンレイポケット】
昨秋のGⅠ天皇賞4着、ジャパンC4着、今年に入っても京都記念3着、前走の鳴尾記念で3着と好成績を残している実力馬。同馬は最後までしぶとい粘りを見せる一方、前走の鳴尾記念でかなり押して位置を取ろうとしても取れず、後方3番手からの競馬になったように、二の脚が遅いタイプ。そのうえ抜けて速い脚で上がれるタイプでもないことが弱点である。

その弱点をカバーするという意味で、トップスピードの重要度が下がる時計の掛かる馬場&ハイペースの函館記念は合っている。実際に同馬が直近で優勝した昨春の新潟大賞典は、良馬場ではあったが時計がかなり掛かっており、ペースもマイスタイルの大逃げで前半5F57秒1-後半3F62秒2の極端なハイペースだった。

しかし、今回は新潟大賞典時ほどの馬場&ハイペースは見込みづらく、斤量もトップハンデ57.5Kgと重い。また同馬が崩れずに走ってこれているのは上手く内目を立ち回った時で、13番枠からやや出遅れ、中団外々からの競馬となった前々走の金鯱賞では7着と崩れている。このことから今回の12番枠というのも好ましくないと言える。ここが目標と言った雰囲気もなく、手放しで信頼できる状況ではない。

【能力値2位 アラタ】
昨年一気に上昇、昨年函館3勝クラスのSTV杯では、促して好位の外から向正面では先団の後ろの内目に入れ、3~4角で徐々に外から進出し、直線早め先頭の競馬で快勝。ここでオープン級の指数を記録して勝利したように、今回の舞台に対して高い適性を示す。その後はオープンのケフェウSを勝利、福島記念3着と成績をまとめた。ただ昨秋の2戦は成績こそまとまっていたが、福島記念以降はやや行きっぷりが悪く調子自体は落ちていたと見ている。

今年は金鯱賞8着でスタート。前走の都大路Sでは逃げて5着。ようやく軽快な先行力が戻って復調を感じることができた。昨夏の走りから函館芝に高い適性、オープンで通用する能力があるのは明らか。ここで能力全開を期待する。

【能力値2位 マイネルウィルトス】
昨年4月新潟の福島民放杯では、超不良馬場を大差勝ち。当時は1番枠を利して好位の内目でレースを進め、最後の直線で外に出されると、他馬が伸びずにどんどん失速していく中、1頭だけ伸びて後続を突き放すという異様な強さだった。

同馬はその次走の函館記念は、福島民法杯で激走した後の始動戦で調教不足だったために8着に大敗したものの、その後の札幌記念4着、アルゼンチン共和国杯2着、目黒記念2着と重賞で善戦。極端な道悪巧者ではない。標準的な馬場であれば芝2000mもこなせるし、芝2500mなら超高速馬場でもこなせる。

今回の函館芝2000mは同馬の好走範囲内の条件。本来の走りができれば勝ち負け必至だが、今回は休養明けの目黒記念で2着と好走した後の一戦。追い切りの動きは悪くなかったが、完全ピークに持っていくのも難しそうだ。

【能力値4位 スカーフェイス】
今年の中山金杯の2着馬。中山金杯は前半こそ62秒0と遅いが、向正面でジェットモーションが捲って一気にペースアップ。これにより前が厳しい展開になっており、ここで動かずに外からワンテンポ仕掛けを遅らせて動いたことが功を奏した結果となっている。

前走の大阪杯では6着。1番枠から促しても進みが悪く、中団後方からの競馬になったが、上手く最短距離を通せてはいる。しかし、最後までジリジリ伸びて6着に善戦したのは同馬の能力である。このように近走、自分の能力分はしっかりと走れていることから好調ぶりがうかがえる。

今回は春の大阪杯以来の競馬でここが目標と言った強い意思は感じないが、リフレッシュされたことで疲れはなさそう。今回も自分の能力は出せそうな気配を感じる。

【能力値5位 ギベオン】
2019年の中日新聞杯と昨年の金鯱賞で重賞2勝を挙げた馬。昨年の金鯱賞は、まずまずのスタートからじわっと先行してハナを取り、外から上がって並びかけようとしてくるサトノフラッグを制してハナを主張し、10番人気の低評価ながら逃げ切った。昨年の金鯱賞時は重発表でかなり時計のかかる馬場だった。

同馬は今年も金鯱賞で5着、鳴尾記念4着と力のあるところを見せている。舞台は中京から函館に変わるが、時計の掛かる芝2000mは合っていると言えるだろう。今回はその実績からハンデが57Kgと重くなってしまったが、前でレースの流れに乗れればチャンスはある。

穴馬はマイペースで行ければレッドライデン

2勝クラスと3勝クラスの初富士Sを逃げて連勝した馬。前々走の初富士Sは11番枠から好発を決め、二の脚の速さで楽々と先頭に立っての逃げ切りだった。前走の福島民法杯はスタミナが不足する休養明けで、1回福島開幕週でありながら稍重でかなり時計の掛かる馬場状態。大外16番枠からオーバーペースで逃げるウインアグライアを追い駆けたために16着に失速した。

しかし、今回は前走時と比べると逃げ、先行型が手薄なメンバー構成。相手を考えればハンデも54Kgと恵まれており、自分の力が出せる形、マイペースならばここでも十分に通用すると見る。

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。


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