前走で人気になっていたかが超重要!
「アルテミス」と聞いて、額に月のマークがある白猫を思い出してしまったのは私だけではないだろう。
しかし、隣のデスクに座っている若手の20代に「アルテミスと言えば?」と話題をふってみたら即スマホゲームのキャラクターで返され、キョトンとしてしまった。
そうか、あのアニメが流行っていたのは平成の初期。まだ産まれてもいないという事か。私が誕生した昭和は過去になりにけり。頭を常にバージョンアップしていなければ、と痛感した一週間だった。
2012年に新設されたアルテミスステークス。まだ9年の歴史だが2016年リスグラシュー、2017年ラッキーライラックなど後の活躍馬がすでに誕生している。まずは前走のクラス別成績を振り返ってみよう。

新馬戦[2-3-1-33]
未勝利戦[4-2-3-19]
1勝クラス[0-2-3-26]
オープン特別[1-1-1-18]
GⅢ[1-1-1-15]
GⅡ[1-0-0-1]
新馬戦や未勝利戦からここに転戦してきた馬でも即通用している事が分かる。新馬戦組で気をつけたいのは、「何番人気になるか」である。5番人気以内なら[2-3-1-8]に対し、6番人気以下だと[0-0-0-25]と1頭も馬券に絡めていない。
次にオープン特別からの転戦馬。経験もあり上位評価されるケースもあるが、2015年以降は[0-0-0-13]と不振が続いている。2013年には芙蓉S組のマーブルカテドラル、パシフィックギャルがワンツーフィニッシュを決めた事もあるのだが、強調しにくいデータである。
また、過去9年で連対した18頭を振り返ってみると13頭が前走で2番人気以内に支持されていた。下記、前走の人気別成績を紹介していく。

1番人気[3-6-4-30]
2番人気[4-0-1-16]
3番人気[0-1-2-18]
4番人気[0-0-0-10]
5番人気[1-1-1-8]
6~9番人気[1-1-1-18]
10番人気以下[0-0-0-14]
前走で2番人気以内に支持されていると[7-6-5-46]なのに対し、3番人気以下では[2-3-4-68]とやはり見劣ってしまう。頭狙いの馬券派にとっては気にしておいて良いデータだろう。
府中のマイルは「C.ルメール騎手&ディープインパクト産駒」に逆らえない

2012年1月1日から2021年10月22日までに行われた2歳馬による東京の芝1600m戦は合計で406レース。得意騎手を探ってみよう。
第1位 C.ルメール[52-23-7-45]
第2位 戸崎圭太[33-25-20-138]
第3位 田辺裕信[21-27-27-159]
第4位タイ 北村宏司[20-28-13-169]
第4位タイ 三浦皇成[20-19-12-136]
第4位タイ 横山典弘[20-12-12-105]
やはり圧倒的な成績をあげているのはC.ルメール騎手。勝率40.9%、連対率59.1%、複勝率64.6%となっている。想定の段階では2008年にマイルチャンピオンシップを制したブルーメンブラットの仔、フォラブリューテに騎乗予定となっている。
また、騎乗回数が少ないためランクインしていないがM.デムーロ騎手にも要注意だ。[13-9-10-38]で複勝率は45.7%とハイアベレージを記録している。

次に種牡馬別ランキングだ。
第1位 ディープインパクト産駒[45-25-15-75]
第2位 ハーツクライ産駒[14-13-9-86]
第3位 ダイワメジャー産駒[13-18-16-106]
第4位 キングカメハメハ産駒[13-17-15-63]
第5位 ロードカナロア産駒[13-10-5-34]
予想通りと言っては何だがディープインパクト産駒が抜けた数値となった。当レースの舞台は府中の1600m戦。向こう正面右奥からスタートし3、4コーナー以外は全て直線で構成されている。
最後の直線は長い上になだらかな坂があって、スピードだけでなくスタミナも要求されるタフなコースだ。古馬のランキングの場合は圧倒的に中距離向きの種牡馬が名を連ねたが、2歳に限定するとダイワメジャーやロードカナロアといったスピード型種牡馬の名前がランクインする。
過去9年の勝ち馬の中で6頭が一口クラブ馬!
一口馬主クラブの所有馬が過去6勝をあげている当レース。今年はシンティレーション、フォラブリューテ、ベルクレスタの3頭が出走予定だ。奇しくも3頭とも前走1番人気でしっかり勝ち上がり、上がり時計も最速をマークしている。本命はサンデーレーシングのベルクレスタにしたい。
デビュー戦は上がり34.3を記録するも、その後連勝で新潟2歳Sを制するセリフォスをとらえきれず2着敗退。その後、即未勝利戦を圧勝してきた。特に前走は単勝1.3倍の圧倒的人気に応えるべく、ただ1頭別次元のレースを披露した。左回りの競馬も経験していて、ここもあっさり勝つようだとクラシックまで意識できる逸材と見ている。
対抗はキャロットファームのフォラブリューテ。新馬戦は力の違いを見せつける圧勝劇。騎手はC.ルメール騎手を確保し気合が入る一戦だ。3番手はシルクレーシングのシンティレーション。2歳戦においては府中のマイルでも十分に力を発揮できるロードカナロア産駒。
デビュー戦では札幌2歳Sにて2番人気5着だったトップキャストに及ばず2着だったが、3着以下を1.9秒も突き放す大差のマッチレース。そのレースで3着、6着に敗れた馬もすぐに未勝利戦を勝ち上がっており、このレースのレベルの高さを際立たせた。
その他に気になるところではミント、シンシアウィッシュ、トーセンシュシュあたり。まずミントは父エピファネイア×母父ルーラーシップの配合でサンデーサイレンスの4×3、俗にいう「奇跡の血量」。まだこの組み合わせでデビューした馬は本馬を含め2頭しかいないのだが、ともに新馬勝ちを飾っている。
ちなみにもう1頭は新冠町細川農場生産のテラフォーミング。今後、黄金配合になってもおかしくないと睨んでいる。シンシアウィッシュは武豊騎手を背に、トーセンシュシュは府中マイル巧者の三浦皇成騎手でここに挑んでくるだけに軽視は禁物だ。
◎ベルクレスタ
◯フォラブリューテ
▲シンティレーション
△ミント
×シンシアウィッシュ
×トーセンシュシュ
《ライタープロフィール》
高橋楓。秋田県出身。
競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』にてライターデビュー。競馬、ボートレース、競輪の記事を中心に執筆している。
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