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【注目2歳馬】武豊騎手を背に高額馬ドーブネが新馬勝ち オーナー藤田晋氏は嬉しい初勝利

2021 9/7 11:00三木俊幸
9月4日メイクデビュー札幌を勝利したドーブネ,SPAIA(撮影:三木俊幸)
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ⒸSPAIA(写真撮影:三木俊幸)

5億1,711万円で落札

今最も“旬”な馬主の初勝利、その背中にはレジェンドの姿があった──。札幌競馬の最終週、9月4日(土)の5Rに行われた芝1500mの新馬戦を勝利したのは、ドーブネ(栗東・武幸四郎厩舎)。

父ディープインパクト、母プレミアステップスという血統。今年の千葉サラブレッドセールで5億1,711万円(税込)でサイバーエージェント代表の藤田晋氏が落札したことで大きな注目を集めた馬だ。

7月下旬に函館競馬場に入厩し、調整されて迎えた新馬戦でパドックに登場したドーブネは時折イレ込んだ様子を見せており、1頭だけ先出し。返し馬も行わずにスタート地点まで担当厩務員に曳かれていった。

スタートはゆったりで後方からレースを進める展開。2角から向正面に入るあたりでは少し力みながらの走りで、何とかなだめつつの追走。しかし、700〜900mのレースラップが12.5と落ち着いたところで鞍上の武豊騎手の手が動き始め、徐々に進出開始。4角で手前を変えた際に外に膨れる場面があったものの、勢いよく直線へと向いた。

残り200mで先頭に立ち、そこから左ムチが1発入ると後続を突き放す。最後は流す余裕がありながら1:30.5というタイムでの見事な勝利だった。これが藤田氏にとっても嬉しい馬主初勝利となり、武豊騎手はスタンドに向けて手を挙げた後、指を1本立てるポーズを見せて笑顔で引き上げてきた。注目されている中できっちりと結果を残すあたりはさすがと思わせるレースだった。

前半から7.0-11.7-11.8とペースが落ちすぎることなく流れたことがプラスに作用した印象も受けるが、あっさりと勝ち切ったのは能力が高いということ。しかし、パドックを周回していてもトモの緩さから歩様が安定していない感じも見られ、気性面の不安もある。現状では課題が山積しているので、成長とともに一つずつクリアしていけば活躍が期待できそうだ。


9月4日メイクデビュー札幌を勝利したドーブネ,SPAIA(撮影:三木俊幸)

良血馬たちがデビュー

今週末からは秋競馬がスタートし、舞台は中山、中京の両競馬場へと移る。9月11日(土)の中山5R、芝2000mの新馬戦には父ルーラーシップ、母アユサンのエンギダルマ(美浦・手塚貴久厩舎)、父ロードカナロア、母キストゥヘヴンのエールトゥヘヴン(美浦・戸田博文厩舎)という桜花賞馬を母に持つ良血馬2頭が激突。

中京5Rの芝1600m戦には父ロードカナロア、母アドマイヤミヤビという血統のアドマイヤラヴィ(栗東・友道康夫厩舎)が武豊騎手でデビュー予定。その他、ハービンジャー産駒で母キャットコインのマンクスホップ(栗東・松永幹夫厩舎)も出走を予定しており、ともに母がクイーンCを勝利している。良血馬や期待馬が続々とデビューしてくる秋競馬の2歳戦からますます目が離せなくなりそうだ。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在は競馬ライターとしてだけでなく、カメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場で取材活動を行っている。

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