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【朝日杯FS】阪神移設後は10番人気以下も3着内に好走 配当妙味のある注目の穴馬は?

阪神移設後の朝日杯FS3着内馬の人気別成績 インフォグラフィック
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ⒸSPAIA

阪神に移設後は紐荒れが目立つ

12月20日に阪神競馬場で行われる朝日杯FS(GⅠ・芝1600m)。同舞台でレコード勝ちのあるレッドベルオーブ、京王杯2歳S覇者モントライゼ、サウジアラビアRCを勝利したステラヴェローチェなど、重賞勝ちの実績があるメンバーが多数揃った。2歳マイル王の称号を手にして来年へ弾みをつけるのはどの馬か。阪神移設後の傾向や2歳重賞戦線の変遷も踏まえて予想していく。

過去12年の朝日杯FS3着内馬の人気


朝日杯FSは2014年に中山から阪神に移設されたが、阪神移設後は1番人気が【3-1-1-1】、2番人気が【2-1-1-2】と安定している。移設前の6年間では1番人気が【2-1-1-2】、2番人気が【1-1-1-3】だったことからも、人気馬の信頼度はやや上がったと言っていい。

これはすぐにコーナーが来る小回りの中山マイルから、コーナーまでの距離が長く広い阪神マイルに変わったことで、紛れが少なくなったことが一因だろう。

しかし、紐荒れの傾向も強まってきており、中山開催だった2008年〜2013年の6年間では10番人気以下の馬が全く馬券に絡んでいないのに対し、2014年に阪神に移設されて以降は6年のうち4年で10番人気以下の馬が馬券に絡んでいる。

メンバーレベルが低下?

その理由として朝日杯FSのメンバーレベルの低下が考えられる。やはり同時に中山へ移設・格上げされたホープフルSが関係しているように思う。

年末の2歳重賞の本賞金と収得賞金


2013年以前は年末の大きなレースとして朝日杯FSとラジオNIKKEI杯2歳Sがあったが、前者の1着賞金は7,000万円なのに対し後者は3,200万円。

その後2014年からラジオNIKKEI杯2歳SがホープフルSに引き継がれGⅡに昇格し、賞金も6,500万円となった。これにより実利も伴ったため、将来クラシックを目指す馬たちは2,000mであり、皐月賞と同舞台のホープフルSを使うようになった。

さらに大きいのは2着賞金が1,300万円から2,600万円に増加したことである。これにより加算される収得賞金が650万円から1,300万円になり、2着でも翌年のクラシックで賞金ボーダーをクリアしやすくなったのだ。

さらにその後はホープフルSがGⅠに昇格し、名実ともに格が同等となったため、クラシックを意識する強い馬はよりホープフルSに流れ、朝日杯FSのレベルは一部上位を除き低下してしまったと考えることができる。そのため実力のある上位人気馬が順当に結果を出しやすくなった一方で、メンバーが手薄となり伏兵が馬券内に入る余地が生じているのだろう。

軸はレッドベルオーブ

以上の点から、能力が高い馬を中心にし、相手に穴馬も含めながらピックアップしていきたい。

本命はレッドベルオーブ。2走前の未勝利戦はよどみないペースの中、先行して後続を突き放す内容で強かった。前走は、道中抑えながら、直線で内を突く器用さや競り勝つ勝負根性も見せた。確かに前走は引っ掛かっていた部分もあったが、それは1Fのラップタイムが遅い12.9だったスタートから200mの部分が中心で、そのあとはそれほど引っ掛かっていない。今回も距離延長組が何頭もいて、先行したい馬もいるのでペースは流れると考えられ、この馬には向いたペースになるとみる。

対抗にドゥラモンド。前走のアスター賞は出負けして後方からになったが、4コーナーで大外から進出して差し切り勝ち。父ドゥラメンテの皐月賞をほうふつとさせるレースで力を示した。かなり大味な競馬をするので安定感に欠けるが、まとめて差し切るならこの馬だろう。

3番手はモントライゼ。前走は差し馬勢が上位に来る中、ただ1頭先行して押し切っており十分強い内容だった。距離延長は課題で、恐らくマイルはギリギリだと思うが、朝日杯FSは短距離馬でも何とかこなせるレース。1着まで来るのはやや厳しいだろうが、2、3着候補としてなら十分に信頼できる。

4番手はバスラットレオン。2走前の札幌2歳Sで1、2着となった馬は先週の阪神JFで好走しており、レースレベルは高かったといえる。この馬自身も、前が苦しい流れの中で先行して粘っているので十分力はある。

前走の京都2歳Sでは完全に最後の100mで止まってしまい6着に敗れたが、これはプラス20キロの馬体重が響いたものだろう。叩いた今回は上積みが見込め、今までのレースぶりからも距離短縮も向いていると考える。前走の負けで人気を落とすなら是非狙ってみたい。

以下、堅実な先行力としぶとさが持ち味のホウオウアマゾン、距離延長が課題も連勝して臨んできたブルースピリットを挙げる。ブルースピリットの前走は、前半33.8のハイペースを先行して押し切っているので能力は高い。距離延長が不安視されて全く人気しないなら、狙ってみる価値は十分にある。

逆に評価を下げたいのはステラヴェローチェとショックアクション。前者は渋った馬場で2連勝、バゴ産駒でもあり良馬場への適性は未知数だ。前走のインパクトによって人気するなら思い切って消しとする。後者は新潟2歳Sの覇者だが、レースレベルに疑問が残る。2着馬は京王杯2歳Sで惨敗しており、展開に恵まれた面も否めないので評価を下げたい。

買い目は3連複1頭軸で◎レッドベルオーブから5頭に流しとする。◎○▲で決まった際だけトリガミのリスクがあるが、それ以外で決まれば十分にプラスになるので、人気薄が予想されるバスラットレオンやブルースピリットに期待したい。(文:川崎)

▽朝日杯FS予想印▽
◎レッドベルオーブ
○ドゥラモンド
▲モントライゼ
△バスラットレオン
×ホウオウアマゾン
☆ブルースピリット

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で25周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。