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【ファンタジーS】早生まれは三文の徳?1月生まれ連対率42.9%など気になるデータ

2020 11/1 17:00門田光生
ファンタジーSデータⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

今年は阪神開催

本来ならこの時期は京都の折り返し開催となるのが通例だが、京都競馬場は大規模改修に入るため、GⅠは感動の菊花賞を最後にしばしお休み。代わりに例年より1か月早く阪神開催が始まり、またこれによってエリザベス女王杯やマイルCSなどのGIも同競馬場で行われる。

11月7日(土)に行われるファンタジーSも阪神競馬場で開催。これまで24回の歴史の中で、京都以外で施行されたことはない。過去のデータがどれだけ参考になるか難しいところだが、今回の施行条件である阪神芝1400mの傾向も混ぜ合わせながら検証していくことにする。参考にするのは2010~2019年までの過去10回、また阪神芝1400mにおいては2010~2020年第4回阪神競馬までの期間のデータを参考にしている。

内枠の先行馬が狙い

ファンタジーS枠順

阪神芝1400m枠順



本来なら京都外回りで行われるこのレース。連続開催の2開催目ということもあって、勝ち馬は4枠より外に集中。特に4枠は5頭の1着馬を出しているラッキー枠。6枠も4頭の連対馬を出している。勝ち馬が出ていないのは2、3、5枠。

ただし、同じ距離で行われるとはいえ今回は阪神開催。しかも内回りである。阪神芝1400mの枠順傾向はというと、1~4枠の勝率が7%を超えているのに対し、5~8枠は7%を下回っている。内枠有利の条件といっていいだろう。今回に関してはレース傾向よりコース傾向の方が大事ということで、内枠有利と考えたい。

ファンタジーS脚質

阪神芝1400m脚質



脚質も枠順と同様に考えていいだろう。参考までにファンタジーSの傾向だが、先行、差し馬はともに7連対。逃げ馬も4連対なら悪くない数字。追い込み馬は2連対とやや苦戦の傾向。差し馬は連対数こそ多いが、勝率が最低で勝ち切るとなると厳しそう。やや前有利の傾向といった感じか。

対する阪神芝1400mは分かりやすい傾向が出ていて、逃げ(20.3%)、先行(10.4%)、差し(5.6%)、追い込み(1.9%)と、脚質が後ろへいくほど勝率が下がっていく。こちらは十分なサンプル数があるので信頼度はかなり高いといえる。阪神1400mは内枠の逃げ、先行馬が有利な条件のようだ。

早生まれに注目

ファンタジーSの人気



ファンタジーSは牝馬限定戦。牝馬限定といえば愛知杯やマーメイドSなど「荒れる」イメージが強いのだが、このファンタジーSはどうなのか。1番人気の成績は【2-2-3-3】とやや物足りず、2番人気にいたっては【1-0-1-8】と1頭しか連対していない。逆に6番人気以下で連対した馬は7頭もいる。馬単、3連複の平均配当が1万円を超えており、3連単は9頭立てだった2018年以外は全て万馬券で、うち5回は10万円オーバー。頭数が多くなれば多くなるほど荒れ方がきつくなっている。

ファンタジーSのキャリア



ファンタジーSの前走クラス

2歳戦なのでキャリアの浅い馬が多く、新馬勝ち直後で挑んでくる馬も少なくない。新馬勝ち、つまりキャリア1戦で挑んできた馬の成績は【3-2-0-24】。勝率10%はトップの数字である。続いてキャリア2戦の勝率7.7%が続く。キャリア5戦以上から勝ち馬は出ておらず、2着馬も1頭だけ。

ここではキャリア1戦=新馬勝ちなので、新馬戦から挑んだ馬もキャリア1戦と同じく勝率10%なのだが、その上をいくのが前走で重賞を使った組。特にGⅡを使った馬は2戦1勝、2着1回と好相性。この2頭はともにデイリー杯2歳Sを走った馬。ただし、デイリー杯2歳Sは2014年から施行時期が1か月後ろ倒しになっており、当然ながら今回もこの組からの参戦はいない。GⅢ組の成績も優秀で、GⅡ組を除くと勝率、連対率ともトップ。重賞経験はキャリアの浅い馬同士の戦いにおいて、大きなアドバンテージとなっているようだ。

阪神芝1400m種牡馬

阪神芝1400mに強い種牡馬を調べてみたところ、トップはディープインパクト。さすがのひと言だが、2位ダイワメジャーもディープと1、2着の数が同じ。連対馬の数はこの2頭が抜けている。だが、ここで取り上げたいのはロードカナロア。最近デビューした種牡馬なのでサンプル数が少ないはずなのに、何と4位にランクイン。アーモンドアイやサートゥルナーリアというクラシックホースが代表産駒になるが、産駒全体で見れば自身と同様に短距離向きが多いのだろう。

ファンタジーSの生まれ月別



2歳牝馬戦なので早熟馬有利の傾向があるのかもと思い、生まれた月も調べてみた。すると、1月生まれの馬が何と連対率42.9%の好成績。対する5月生まれは勝率0%。今回、1月生まれの馬が出走していれば要注意だ。

今年はいつもと違う競馬場で行われるが、キャリアの浅い馬が集まる牝馬限定戦、という性質を考えると、今年も荒れる可能性は高いと思われる。特に、頭数が揃えば揃うほど大荒れになる傾向にある。データの強みは何といっても人気に惑わされないところ。成績に関係なく内枠の先行馬、ロードカナロア産駒、そして1月生まれの馬が出走していれば狙い目となりそうだ。

ファンタジーSデータインフォグラフィック



《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。
秋の京都開催といえば、楽しみのひとつが「関西ラーメンダービー」。しかし、コロナの影響で2020年は開催中止。なお公式Facebookによると、京都競馬場が改修工事に入る影響で、2021、2022年も開催なしとの残念すぎる発表が。代わりに阪神競馬場で開催してもらえると、いつもとまた違ったお店が楽しめたと思うのですが……。2023年まで自力で食べ歩きします。